Q.過年度遡及会計基準について、その概要を説明してください。会計方針の変更があった場合以外に、この基準による会計処理が必要になるのは、どのような場合ですか。
A.過年度遡及会計基準とは、会計上の変更や過去の誤りをどのように取り扱うかについて定めたルールです。この基準では、会計方針の変更、表示方法の変更、過去の誤謬の訂正は遡及処理を行い、会計上の見積りの変更は遡及処理をしないとされています。会計方針の変更と見積りの変更を区別することが難しい場合は、見積りの変更と同じく遡及処理をしません。たとえば、固定資産の償却方法の変更は本来会計方針に当たりますが、この変更は見積りの変更として扱われ遡及処理はされません。
遡及適用は、新しい会計方針を過去の財務諸表にも適用し、誤謬の訂正は過去の財務諸表における誤りを訂正します。そして、遡及処理によって、過去の財務諸表を改めて処理し、最も古い期間の期首の資産、負債、純資産の額に反映させます。会社法では、計算書類の開示は当期のみが必要ですが、遡及適用や修正再表示を行うと、前期と当期の計算書類の繰越額に不一致が生じ、法人税申告書に影響を及ぼす可能性があります。
この基準による会計処理は、会計方針の変更、表示方法の変更、過去の誤謬の訂正が必要な場合に適用されます。