返品調整引当金の廃止と経過措置

Q.製薬業を営む当社は以前から返品調整引当金を計上してきましたが、平成30年度の税法改正で返品調整引当金が廃止されたと聞きました。廃止の理由と今後の繰入れについて教えてください。

A.平成30年度の税法改正で返品調整引当金は確かに廃止されました。廃止の主な理由は、平成30年3月に公表された収益認識会計基準の導入により、返品権付きの商品や製品の売り上げを異なる方法で計上するようになったためです。従来は、返品が発生する可能性を考慮して、返品調整引当金を計上していましたが、新しい会計基準では、返品が見込まれる商品や製品については当初から収益を計上しないという処理に変わりました。法人税法もこの変更に対応して返品調整引当金を廃止しましたが、返品の可能性がある場合でも、その可能性を考えずに収益を計上する必要が生じます。ただし、経過措置として、返品調整引当金の制度対象事業を営んでいる法人には、令和3年3月31日以前に開始する事業年度では従来通り繰り入れが許され、令和3年4月1日以後に開始する事業年度からは繰入限度額が毎年10%ずつ縮減し、令和12年4月1日以後に開始する事業年度からは繰り入れが認められなくなります。また、収益認識会計基準に準拠した会計処理を行う会社については、返金負債勘定と返品資産勘定の金額を差し引いた金額を、経過措置期間中は返品調整引当金とみなすことができます。

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