Q.100%グループ内の法人で、譲渡損益調整資産を譲渡したときの譲渡損益の申告調整方法を教えてください。譲受法人での当該資産の取得価額は、譲渡法人の譲渡直前の帳簿価額を引き継ぐのですか?
A.譲渡損益調整資産を100%グループ内の法人間で譲渡する場合、通常は譲渡法人は譲渡価格を当該資産の譲渡原価と同じに設定することなく、譲渡による利益または損失を計上しません。しかし、法人税法では、譲渡法人がそのような資産を譲受法人に譲渡すると、その譲渡に関連する利益または損失の額をその年度の所得計算上、損金または益金に算入すると規定しています。これにより、譲渡利益または譲渡損失の額を譲渡法人は計上し、申告調整を行います。
譲受法人においては、譲受けた資産の取得価額は、譲渡時の実際の価額(時価)になります。事例を通して説明すると、A社が帳簿価格70百万円の建物を時価50百万円でB社に譲渡した場合、A社は建物譲渡損20百万円を益金として申告調整を行いますが、B社においては、特に申告調整する事項はありません。また、C社が帳簿価格25百万円の土地を時価40百万円としてD社に譲渡した例では、C社は寄附金15百万円を損金不算入とし、土地譲渡益15百万円を損金算入して申告調整を行います。D社では、受贈益15百万円を益金算入する申告調整を行いますが、完全支配関係があるため益金不算入となります。
これらの処理の結果、譲渡損益調整資産の取得価額は、実際に譲渡された価額(時価)として計上されることになります。