Q.同族会社ですが、今般社長の出身高等学校の後援会から校舎増築のための寄附の要請を受けました。同高等学校は市立ですので、校舎は完成後市に帰属します。地方公共団体に対する寄附金として、全額損金の額に算入することができますか。
A.国や地方公共団体に対する寄附金は、原則として全額が損金として認められます。この場合、寄附が国や地方公共団体の施設の建設や拡張のためであり、その施設が完成後にすぐに国や地方公共団体の所有となることが明確な場合は、寄附金が損金に算入されます。ただし、この質問のケースでは、寄附金の受益者が社長の出身校であり、社長の個人的な負担が会社によって行われた疑いがあるため、問題が生じます。法人の役員が個人として負担すべきものを会社が負担した場合は、それが役員に対する給与と見なされます。そのため、このケースでは損金には算入できない可能性が高いです。しかし、この寄附金が社長にとって特定寄附金の支出に該当する場合、社長は所得税の確定申告において、寄附金控除や税額控除の特例を利用できるかもしれません。また、社長の出身校であっても、例えば会社がその学校の卒業生を毎年採用するなど密接な関係がある場合は、会社が寄附を行うことが適切と認められることもあります。