Q.なぜ法人税基本通達 9-6-1の①には、破産債権について貸倒処理ができる事実が示されていないのですか?破産債権は破産手続上、どのような段階になれば貸倒処理をすることができるのですか?
A.法人税基本通達 9-6-1の①に破産債権に関する貸倒処理が示されていないのは、破産法に根拠があるからです。具体的には、もし破産手続が完了しても、配当を受けていない債権については、裁判所が免責を許可するまでは債権が消滅しないためです。加えて、免責が許可されたとしても、保証人やその他の者に対する債権者の権利や、第三者が提供した担保は維持されます。破産手続の終結には、「破産手続開始の決定の取消し」「廃止決定(同意廃止や費用不足による廃止)」「終結の決定」の3種類があります。②の費用不足による廃止決定や③の終結の決定がされた際、破産法人は消滅し、破産債権者に分配できる財産がないことから、債権の全額が失われたとみなすことが適切であり、貸倒処理が可能です。また、終結前でも配当金が0であることが証明された場合や、資産の処分が終了して今後回収が見込まれない状況であれば、貸倒損失を計上することが認められます。ただし、破産手続開始の決定の取消しや同意廃止の場合は、別の手続きで回収が可能なため、貸倒処理はできません。