完全支配関係がある他の内国法人の残余財産が確定した場合の未処理欠損金額の引継ぎ

Q. 法人税法第57条第2項に規定されている、完全支配関係にある他の法人の残余財産が確定した場合の未処理欠損金額の引継ぎについて、この規定が設けられている理由とその内容を説明してください。

A. 法人税法第57条第2項で規定される未処理欠損金の引継ぎは、100%グループ内で親会社が子会社の株式を保持している場合に、その子会社が解散して残余財産の分配が確定する状況を対象としています。この規定は、グループ内で株式の譲渡が発生した際、譲渡損益を計上しないという100%グループ法人税制の考え方に基づいて設けられています。たとえば、全額出資の子会社が解散し、その残余財産がない(ゼロ)と確定した場合、この子会社の株式にかかる費用は税務上損金として認められず、親会社の資本金等の算定に際して減算されることになります。このような場合に、残された未処理欠損金は、親会社に引き継がれることができますが、これはグループ内の法人を一体とみなす税制上の処理によるものです。

内容については、この規定の適用を受けるためには、内国法人間に完全支配関係があり、その内国法人が解散して残余財産が確定した場合に限られます。完全支配関係は、株主などによる直接的な完全支配や、第三者を通じた間接的な完全支配関係がある場合に適用されます。また、残余財産が確定した法人に複数の株主がいる場合には、特定の計算式に基づいて各株主が引き継げる未処理欠損金の額が決定されます。重要な点は、親会社が解散する場面でも、子会社が一時的に親会社の株式を保有している場合は、この引継ぎの適用を受けることはできないとされています。

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