Q.売掛債権が回収不能となり貸倒処理する場合、貸倒処理する金額に係る消費税額を課税標準額に対する消費税額から控除することができるとのことですが、事例で説明してください。一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額を計算する場合の貸倒実績率は、当該消費税額控除前、控除後のいずれの貸倒損失額によって計算するのですか。
A.貸倒れに伴う消費税額の控除は、消費税法第39条第1項に基づき、課税資産の譲渡等から生じた売掛金などの債権が回収不能になった場合、その売掛金に関連する消費税額を課税標準額の消費税から控除できると定められています。たとえば、ある事業者が商品を販売し、売掛金5,500千円が発生した後に回収不能となった場合、この売掛金に対する消費税500千円(税率10%として)は、事業者が消費税申告をする際に控除対象となります。具体的には、仮付けの消費税500千円から、国税としての消費税390千円と、地方消費税である110千円を控除します。これにより、売掛金の損失が認められた場合は、課税標準額から該当の消費税額を差し引くことができるのです。また、一括評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額を計算する際の貸倒実績率は、貸倒損失の合計額と個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の増減額の平均を分子とし、過去3年以内に開始した各事業年度終了時の一括評価金銭債権の帳簿価額の平均を分母として計算されます。この計算において貸倒損失の額を税込価額で考えれば、計算結果としての貸倒引当金繰入限度額が税抜価額となり、結果として不合理な状況は発生しません。