Q.合併又は分割によって、被合併法人又は分割法人が合併法人又は分割承継法人へ資産及び負債を移転させた場合、原則として移転時の価額による譲渡があったものとして所得の金額を計算するとのことですが、帳簿価額で移転する処理をしたときは、どのように申告調整をするのですか。
A.合併や分割によって、被合併法人や分割法人が合併法人や分割承継法人へ資産や負債を移転した際、通常はその時の価額で譲渡があったと見なして所得金額を計算します。これによって生じた譲渡利益や譲渡損失は、合併があった最終事業年度、つまり被合併法人が合併日の前日を含む事業年度において、所得からの控除(益金あるいは損金)として計上します。しかし、合併や分割が特定の条件を満たす適格合併や適格分割の場合は、合併日前の最終事業年度終了時や分割前事業年度の終了時に帳簿価額で移転したとみなされ、この場合、譲渡損益は先延ばしにされます。また、合併の日から見て前日までの期間を最終事業年度とします。分割の場合には、分割承継法人が受け取った資産や負債の譲渡利益や損失は、分割の日が属する事業年度における益金または損金として計上されます。そして、被合併法人等が帳簿価額で資産や負債を移転した際は、この譲渡に関連する利益や損失を最終事業年度や分割の日が属する事業年度の所得計算を行った後、別表四の「非適格合併又は残余財産の全部分配等による移転資産等の譲渡利益額又は譲渡損失額」欄に、プラスまたはマイナスとして記録し、その形で申告調整を行います。この移転による利益や損失は、所得金額の計算には含まれないため、寄附金の控除限度額や特定同族会社に課される留保金額の特別税率の計算には影響しない点に注意が必要です。