Q.私は、A社の代表取締役でしたが、3年前A社の運転資金をB農協から借り入れる際に、B農協の要求により私個人名義で借り入れました。これは、A社がB農協の組合員でないため組合員である私名義で借り入れたもので、借入金は全額会社が受け入れ、帳簿及び決算書にもB農協よりの借入金として計上しています。ところが、A社が倒産しましたので、B農協の借入金は、名義人の私が農地を譲渡して返済することになりました。この借入金は、実質上A社の債務ですので保証債務の履行があったものとして取り扱われますか。
A.はい、実質上の債務者であるA社に対する求償権を行使できない場合、保証債務の履行があったものとして扱われます。これは、名義上の借り手であるあなたがその資金を直接運用せず、またその資金から利益を得ていない場合に、実質上の債務者のために債務を保証したものと見なされるためです。ただし、この特別の取り扱いが適用されるには、以下の条件をすべて満たす必要があります:1) 実質上の債務者が農業協同組合等の組合員ではないことにより、組合からの借入れが不可能で、その組合員が自身の資格を利用して組合から資金を借り、それを実質上の債務者に融資した場合のように、債務保証に代わるものとして行われたこと、2) 実質上の債務者が融資を受ける際に資力を喪失していなかったこと、3) 名義上の借り手が借り入れた資金を直接実質上の債務者に融資し、その運用がなかったこと、4) 名義上の借り手が、その融資により実質上の債務者からの利益や金利相当の金銭を受け取っていなかったことです。もし、実質上の債務保証に関して保証料等の利益を受け取っている場合、この特例は適用されず、求償権の行使不可能な額は損失としてその年の雑所得の費用となります。