メーカーズリスク特約が付されている外貨建債権債務の換算

Q.「商社を通じて物品の輸出又は輸入を行うメーカーが為替差損益の負担を行う」といういわゆるメーカーズリスク特約が付されている取引の場合、商社とメーカーそれぞれの為替差損益の計上時期、計上方法はどのようになりますか。

A.税法では、外貨建債権は外国通貨で受け取るべき金、外貨建債務は外国通貨で支払うべき金と定義しています。メーカーズリスク特約がある取引では、外貨での決済は商社が行うため、商社は外貨建の債権または債務を持ち、メーカーは商社に対する円建ての債権または債務しか持ちません。しかし、商社とメーカーが特約によって、商社の外貨建債権債務に関する為替差損益の全部または一部をメーカーに負担させる契約を結んでいる場合、以下のように取り扱われます。

1. 商社は、外貨建債権または債務について期末時換算法を使用している場合(発生時換算法を使用しているが、事業年度中に外国為替相場が大きく変動したため、事業年度終了の時の為替相場で換算する場合を含む)、その決済が事業年度終了の時に行われたものと仮定した場合にメーカーに負担させるか帰属させる金額を、当該事業年度において益金または損金に計上します。これは、為替差損益を商社の損益計算上キャンセルするためです。

2. メーカーは、商社に対するすべての契約に関する金銭債権及び金銭債務について、事業年度終了の時にその決済が行われたものと仮定された場合に自らが負担するか自らに帰属する金額を、当該事業年度において損金または益金に計上することが認められます。

メーカーズリスク特約があることで実質的に取引額が外国通貨で表示されているとみなせる場合、それはメーカーにとって外貨建取引に該当します。しかし、税法ではメーカーが行う取引でメーカーズリスク特約のあるものは、支払いが本邦通貨で行われるため外貨建取引に該当しないとしています。したがって、メーカーの外貨建て円払い取引に関連する金銭債権または金銭債務は、税務上外貨建債権債務の換算規定が適用されませんが、述べた取扱いが示されています。

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