Q.100%グループ内の法人間で譲渡損益調整資産の譲渡取引があった場合、その譲渡損益を繰延べるという規定が設けられていますが、その内容を説明してください。
A.100%グループ内の法人間で譲渡損益調整資産の譲渡がある場合、譲渡による利益や損失はすぐに計算に入れず、繰り延べることが可能です。この規定は、法人税法第61条の11に定められております。以下に詳細を説明します。
まず、「譲渡損益調整資産」とは、主に固定資産、土地、有価証券、金銭債権、そして繰延資産などを指しますが、売買目的の有価証券や一定の小額資産などは含まれません。
利益が出た場合、通常はその利益(譲渡利益額)は課税所得に加算されますが、100%グループ内の法人間での譲渡の場合には、この利益を損金として計上することができ、損失が出た場合にはその損失(譲渡損失額)を益金として計上できます。これによって、譲渡による損益は、すぐに税の計算に影響せず、繰り延べられます。
繰り延べられた譲渡損益は、譲受法人(資産を受け取った法人)がその資産を譲渡し、償却するなどした場合に、譲渡法人(資産を譲渡した法人)の課税所得の計算で考慮されます。具体的には、譲渡した資産が特定の事由で価値の変動があった時に、その変動分を課税所得に加えるか、または減らすことになります。
さらに、この制度では、譲渡法人と譲受法人が互いに、資産の譲渡や価値の変動などの特定の事項を通知しなければなりません。この通知は、法令で特定の方法が定められていないため、両法人が適切と考える方法で行います。