外国税額控除制度における地方税の取扱い

Q.外国税額控除制度における地方税の取扱いはどのようになっていますか?

A.外国税額控除制度において、外国の地方税は税額控除の対象になりえます。これは、外国の法律に基づいて、外国またはその地方公共団体が企業の収入に対して課税する税金が対象です。このため、外国の地方税であれば、税額控除を受けることが可能です。

一方で、日本国内の場合も、税額控除は国税(法人税や地方法人税)だけでなく、地方の道府県民税(都民税を含む)や市町村民税に対しても適用されます。この際、法人税、地方法人税、道府県民税、市町村民税の順に各税金から順に控除していきます。

地方税からの控除限度額は、法人税の控除限度額に対して標準税率を乗じた金額で計算されます。計算方法は以下のようになります。道府県民税からの控除限度額は法人税の控除限度額に対して1%を乗じた金額に、市町村民税からの控除限度額は法人税の控除限度額に対して6%を乗じた金額になります。ただし、この計算では、標準税率を超える地方税率が適用される場合、各法人が選択した税率に基づいて計算することも可能です。また、複数の道府県や市町村に事業所がある場合、従業員数に基づいて控除限度額を分配し、それぞれの地方税率で計算することになります。

外国税額控除の控除余裕額と控除限度超過額の繰越しの計算例

Q.外国税額控除の控除余裕額又は控除限度超過額の前事業年度からの繰越額を、当事業年度に生じた控除限度超過額又は控除余裕額に充当する場合、当該繰越額の発生事業年度による充当の順序はどのようになりますか。また、法人税と地方税についての控除の順序はどのようになりますか。事例で説明してください。

A.税法では、過去3年以内の事業年度に生じた外国税額控除の余裕額や超過額を翌年度に繰り越すことができます。この際の繰り越し額の利用順序について、以下のようなルールがあります。

1. 繰り越しの控除余裕額がある場合:まずは当事業年度の控除限度額から外国法人税額を控除し、残った控除余裕額を前年度から繰り越した控除余裕額に充てます。このとき、最も古い年度から順に使い、同一年度では法人税、道府県民税、市町村民税の順で充当します。ただし、地方法人税の余裕額は繰り越せません。

2. 繰り越しの控除超過額がある場合:当事業年度での外国法人税額から控除限度額を差し引いた余裕額がある場合、その余裕額に対して最も古い年度の繰り越し控除超過額を充てていきます。

【事例1】では、控除限度額の繰り越しがあり、当事業年度の外国法人税控除で余った額(繰り越し控除余裕額として)を次年度に繰り越します。この繰り越しは、法人税、道府県民税、市町村民税の順に適用されます。

【事例2】では、控除対象外国法人税額の繰り越しがあり、当事業年度の控除余裕額からこれを充てます。この場合も、繰り越しは最も古い年度から順に使用され、繰り越しされる額の内訳が変わることがあります。

以上のように、外国税額控除の繰り越しは、法定の順序に従って適切に適用され、控除の可能性を最大限に活用することができます。

外国税額控除の控除余裕額と控除限度超過額の繰越し

Q.当社の外国支店が前事業年度に黒字だったが、今事業年度に赤字となった場合、外国法人税の納税義務がこの年に確定し、国外所得金額がマイナスのため控除限度額が0になるが、前事業年度の所得に基づく外国法人税額で控除限度額が発生する場合、どう調整できるか。

A.外国法人税の納税義務が確定した事業年度に外国税額控除を行います。外国法人税の発生する事業年度と国外所得が発生する事業年度は必ずしも一致しないため、控除余裕額や控除限度超過額の3年間の繰越制度があります。控除余裕額は、控除限度額が外国法人税額を上回る差額で、この金額は今後3年以内に控除対象外国法人税の額が控除限度額を超えた場合に利用できます。また、控除限度超過額は控除対象外国法人税の額が控除限度額を上回る差額で、これも翌事業年度以降3年間繰り越すことができ、控除余裕額が生じた場合に使用できます。外国支店が赤字で控除限度額が0になった場合、当事業年度の控除対象外国法人税の全額が控除限度超過額となりますが、前事業年度に控除余裕額が生じていれば、当事業年度に繰り越され、納付義務が確定した税額を限度に税額控除を受けられます。控除余裕額がなければ、控除限度超過額を翌事業年度以降3年間繰り越し、将来控除余裕額が生じるときに適用できます。

外国で課せられた法人税の税額控除制度とその控除限度額の計算

Q.外国にある法人から受領したロイヤルテイにその所在国の法令により課された源泉税は、外国税額控除の適用が受けられるそうですが、その金額はどのように計算するのですか。

A.内国法人が海外で収益を上げ、その収益が源泉地国で課税された場合、その税金は外国税額控除を受けることができます。これは、利子、配当、ロイヤルティなどの海外収益に対して、その国で課された税金に適用されます。日本は全世界の所得に対して税金を課しているので、そのままでは海外収益に二重に税金がかかってしまいます。外国税額控除とは、この二重課税を防ぐための制度です。控除対象となる外国税は、その国や地方公共団体が海外収益に基づいて課税する税ですが、特定の税率が選択できる税や、納税後に還付を請求できる税などは含まれません。

控除限度額は、日本で課される法人税に対する海外収益の割合に基づいて計算されます。具体的には、海外収益から海外税が課されない収益を差し引いた金額の90%を限度として、そのうちの実際に日本で課税される部分が控除可能です。もし控除できなかった外国税額がある場合は、地方税や次年度以降に繰り越して控除することができます。

人格のない社団等の受け取る預金利息に係る所得税の税額控除

Q.人格のない社団で税金がかからないところもあるにも関わらず、預金利息に15%の所得税と0.315%の復興特別所得税がかかっているのですが、これに関してどのような手続きをすればよいですか?

A.人格のない社団等は、法人とみなされており、収益事業の有無にかかわらず、預金利息に15%の所得税と0.315%の復興特別所得税が適用されることになります。しかし、もしこれが収益事業の一部として適切に管理されているなら、所得税額控除が適用されることもあります。ただし、収益事業を営んでいない場合、法人税がそもそもかかっておらず、法人税に関連する控除の対象とはならないため、15%の所得税と0.315%の復興特別所得税が最終的な税金として徴収されます。公益法人など一部の例外を除き、人格のない社団もこの規則の対象となっています。

所得税額控除計算における元本所有期間のあん分計算

Q.12月31日決算の会社で、令和5年2月に甲社の株式を購入し、その後6月に配当を受け取りました。甲社の前回の配当からこの配当まで、他の配当を行っていません。令和5年12月期の配当に関する所得税額控除計算での元本所有期間のあん分計算方法を教えてください。

A.法人から受ける株式等の配当や利益の配当、剰余金の分配などに対する所得税や復興特別所得税の税額控除額の計算は、その元本を持っていた期間に基づいて行う必要があります。元本所有期間の計算には2つの方法があり、①個別法と②銘柄別簡便法です。これらの方法で元本を所有していた期間に相当する部分に対して計算を行います。選択する方法は、利子や配当などの収入源となっている元本が株式や集団投資信託の受益権に区分され、その計算期間が1年を超えるかどうかによって変わります。

個別法では、元本の所有期間に対する割合を月数に基づいて計算し、その結果に基づいて税額控除を行います。銘柄別簡便法は、計算手続きを簡略化した方法で、元本所有期間を基に税額控除額を計算します。

甲社の例の場合、2月に株式を購入し、令和5年3月31日を基準日とする配当を受けました。株式を所有していたのは2月から3月までの2ヶ月です。個別法を使うと、所有していた2ヶ月分に相当する税額控除額を計算することができます。一方、銘柄別簡便法では、配当を受けた期間全体に対する元本の所有期間の割合を用いて、簡便に税額控除額を求めます。

なお、適格合併や適格分割など特定の事情がある場合には、元本の所有期間を前の法人のものとして見なして計算することもあります。

未収預金利息に対する所得税の税額控除

Q.事業年度終了の日までに利払期が到来していない定期預金について、経過利息相当額を未収利息に計上した場合、未収利息の額に係る所得税額の税額控除は、未収利息を計上した事業年度に行うことができますか。それともこの利息を受け取る翌事業年度以後に行うことになりますか。

A.未収利息や配当に関する所得税額控除は、未収計上した事業年度で行うことが許されていますが、これは定期預金の利払期がその事業年度の終了日までに到来している場合、または配当が通常の期間内に支払われる見込みがある場合に限ります。そのため、利払期が到来していない定期預金の経過利息相当額を未収計上しても、その未収計上した事業年度での所得税額に対する税額控除の規定は適用されません。例えば、定期預金の利息が100,000円(所得税額等が15,315円)であり、決算日時点での経過利息相当額が40,000円の場合、経過利息相当額を未収計上する事業年度の仕訳は以下の通りです。未収入金40,000円/受取利息40,000円。そして、翌事業年度に利息を受け取った時の仕訳は、預金84,685円/未収入金40,000円、法人税、住民税及び事業税15,315円/受取利息60,000円となります。

法人が所得税の納税義務者となる場合

Q.法人が所得税の納税義務者となるのは、どのような場合ですか。また法人が納めた所得税は、法人の所得の金額の計算及び法人税額の計算に当たって、どのように取り扱われますか。

A.内国法人が国内で特定の収益を得た場合、所得税が源泉徴収されます。この源泉徴収される所得税には、利子所得、配当所得、定期積金からの給付、抵当証券の利息、金貯蓄投資口座の利益、外貨預金の為替差益、一時払い保険契約に基づく差益、匿名組合からの利益分配、競馬賞金、懸賞金付預貯金の懸賞金などが含まれ、それぞれ特定の税率で課されます。収集した所得税は、復興特別所得税としても2.1%が追加徴収されます。法人が支払った所得税は、事業年度の法人税額から前払い分として控除され、足りない場合には確定申告に基づき還付されます。ただし、これを法人税計算上の損金とするかは法人の選択によります。税額控除を選択しない場合、所得税額は損金に算入できますが、選択することにより税額が少なくなり、法人にとって有利になります。

資産整理に伴う債務免除等による損金算入の事例

Q.業績不振のため、主たる債権者の管理下に入り、債権の一部を切り捨て再建を図る中小法人の場合、法人税法第59条の規定の適用はどのようになるのか事例を通して説明してください。

A.このケースでは、法人税法第59条第3項の定めにより、債務免除によって生じた収益のうち最も少ない金額を損金(経費)として計上することが可能です。具体的には、適用年度の所得を超える部分の金額を控除した金額が損金に算入できます。表で表された事例を基に説明すると、A、B、Cそれぞれのシナリオにおいて、債務免除益、前期繰越損失、そして当期の所得から損金算入できる額が算出されています。事例の表では、債務免除益の金額全額または一部が損金に算入できるケースが示されており、その損金算入後の所得金額が計算されています。最終的には、各シナリオに応じて損金の算入と税務上の所得金額の調整が行われ、企業の税負担に影響を与えます。

会社更生等による債務免除等の税法の規定

Q.法人税法第59条の「会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入」の規定について説明してください。また、債権者会議の決定により債権者から受けた債務免除益や役員等から受けた金銭その他の資産の受贈益が益金不算入となるのですか。

A.法人税法第59条によりますと、特定の事態(たとえば、会社の更生手続開始の決定があった場合など)が発生した際に、その事態に関連して債権者から債務の免除を受けたり、役員から資産を贈与されたりした場合に得られる利益(債務免除益や受贈益)について、一定の条件のもとで損金として計上することができることを定めています。これにより、損失を相殺し税金計算上の利益を減らすことができます。

この仕組みには、具体的には三つのケース(I、Ⅱ、Ⅲ)があり、それぞれに該当する場合には特定の計算方法に従って、債務免除益などが損金として認められます。具体的には、適用年度末における事業年度の損失額や債務免除益の合計額などを基に計算し、最も低い金額を損金として計上します。

質問の後半に関するところでは、債権者会議の決定が合理的で恣意性がなければ、これが特定の条件に合致する場合(法人税法第59条第3項に基づく)、債務免除益等を通常通り益金に算入した上で特定の金額を損金として計上できるように規定しています。つまり、条件次第で債務免除益は益金不算入とはならず、通常の益金計算に含めた後で特定の計算により損金算入が可能となります。これによって、実質的に債務免除益等が益金にならない場合が考えられます。