渡切り交際費

Q.当社では、営業担当の役員及び幹部社員に対して、毎月一定の金額を交際費用として支給しています。この交際費は得意先等の接待や贈答を目的として支給するものですが、その精算は行っていません。このような状況の場合、支給された交際費は課税仕入れとして扱えるでしょうか。

A.御質問の交際費は、精算が行われておらず、その使用目的が明確にされていないため、課税仕入れとはみなされません。また、支給された役員等に対しては、給与として扱われます。課税仕入れとするためには、支給された交際費について精算を実施し、出費の証拠と、その費用が会社の業務に関連するものであることを明確にする必要があります。

参考:所得税法第2条第12項

贈答品等の仕入れ

Q.事業者が得意先に贈る中元や歳暮品、創業記念で社員や株主、得意先に配布する物品を購入した場合、仕入税額控除の対象となるか。

A.事業者が課税対象となる資産を購入して贈与する場合、その購入が課税仕入れに該当すれば、仕入税額控除の対象になります。従って、質問の中元や歳暮品、創業記念で配布する物品も、課税仕入れに該当する場合は仕入税額控除の対象となります。さらに、これらの物品の仕入控除税額の計算を業者が個別対応方式で行う場合は、消費税の課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する費用として扱われます。

参考:法2①十二

祝金、せん別と仕入税額控除

Q.使用人や得意先に祝金やせん別を渡した場合には、それを課税仕入れとすることができますか。

A.得意先への祝金やせん別を支払う場合でも、これらは対価性がないため、資産の譲渡等の対価として支払われるものではなく、消費税の課税対象外となります。そのため、仕入税額控除の対象とはなりません。しかし、使用人や得意先に物品をせん別等として手渡し、その物品の取得が課税仕入れに該当する場合、その課税仕入れに関わる支払対価は仕入税額控除の対象となります。

参考:法2①八、十二

交際費等に対する仕入税額控除

Q.法人税上の交際費等に該当する課税仕入れについて、その仕入れに係る消費税額は仕入税額控除の対象となるのでしょうか。

A.事業として他社から資産を譲り受けたり、サービスを提供された場合、その取引が課税仕入れに当たり、消費税が免除されるもの(例:輸出免税)でない限り、仕入税額控除の対象となります。したがって、交際費等に該当する贈答品の購入費用や接待費用も、これに該当すれば仕入税額控除の対象です。ただし、商品券やビール券等の非課税取引や、軽減税率対象の取引は課税仕入れに該当しないこともあります。このため、税率ごとに区分する必要があります。

参考:法第二十二条、法別表第一第4号ハ、基本通達11-1-3

大学で行う社員研修の授業料に関する税金処理

Q. 社員研修のために社員を派遣し、大学や各種学校、研究機関などで受講させた場合、支払う授業料や受講料は支払先に関係なく課税仕入れとなりますか?

A. 社員を大学等に派遣し、支払う授業料や受講料に対する消費税の取り扱いは、以下の通りです:

1. 大学や大学院での研修:

   – ① 社会人向け開講講座:これらは正規の授業とは異なり、消費税が課税され、支払った受講料は仕入税額控除の対象となります。

   – ② 正規の授業聴講:消費税が非課税であり、支払った授業料や聴講料を仕入を仕入税額控除の対象とすることはできません。

2. 各種学校(外国語学校、ビジネス学校等)での研修:

   – ① 修業期間と授業時間が特定基準を満たす場合:消費税が非課税とされ、支払った授業料は仕入税額控除の対象外です。

   – ② それ以外の場合:消費税が課税され、支払った授業料は仕入税額控除の対象です。

3. 研究機関での研修:

   – 消費税法上、非課税の教育役務に該当しない場合、研修料に消費税が課税され、支払った研修料は仕入税額控除の対象となります。

参考:消費税法別表第一第11号イ、消費税法別表第一第11号ハ

神主に支払ったおはらいの謝礼の扱い

Q.当社は、社屋の新築にあたり地鎮祭を行い、その際神主におはらいの謝礼を支払いました。この謝礼は課税仕入れに該当しますか?

A.宗教活動に対する支出、例えば祈祷や読経に対し信者等が支払うお布施などは、その行為の対価というよりは寄進とされ、対価性がないため消費税の対象外です。したがって、貴社が支払ったおはらいの謝礼も課税仕入れには該当しません。

参考:法2①八

特約店のセールスマンへの販売奨励金と消費税法

Q. 特約店等のセールスマンに対して、一定の販売目標を達成した際に支払われる販売奨励金は消費税法上、課税仕入れとなるのでしょうか。

A. 特約店などのセールスマンに、あらかじめ決められた条件に基づき販売量に応じて支払われる金品は、直接の営業員への報酬支払いと同様のものとみなされますので、課税仕入れに当たり、仕入税額控除の対象となります。

参考:医法2第12条

建設協力金

Q.内装工事業を営む当社がK建設が建築中のビルのテナントFから内装工事を依頼され、K建設に対して建設協力金を支払った場合、この建設協力金は課税仕入れに該当するか?

A.建設協力金は、電気・水道の使用やその他のサービスを提供するための費用であり、これらのサービスの役務提供の対価として支払われます。したがって、消費税法における課税仕入れに該当します。

参考:法2①十二

専属下請先の従業員への災害見舞金

Q.建設機械等製造業の我が社は、専属の下請けとしてA社に運送や据付工事を委託しています。災害などの際にA社の従業員にも見舞金を支払っていますが、この費用は課税仕入れになりますか?

A.専属の下請け企業の従業員は、あたかも自社の従業員であるかのように考えることができ、その見舞金は福利厚生の一環として、また業務委託費の一部と見なされます。しかし、見舞金自体に対価性がないため、消費税の課税対象にはなりません。結果として、貴社が支払う災害等の見舞金は課税仕入れに該当しません。

参考:法2①十二

物品切手の仕入税額控除

Q.福利厚生の一環として従業員に支給している物品切手等について、仕入税額控除の対象にできるか。

A.支給された物品切手等は、従業員が直接物品や役務と引換えるため、事業者が引換給付を受ける場合と同様に、仕入税額控除の対象となります。ただし、入場券や旅行券などは、従業員が実際に引換給付を受けた日が属する課税期間における課税仕入れとみなされます。また、特定の条件下で、物品切手等を支払った日や支給した日の属する課税期間の課税仕入れとして扱っても問題ありません。物品切手等の取得にかかった費用が課税仕入れに関わる支払対価となり、割引を受けた場合は割引後の価格が対価とみなされます。

参考:法2①十二、基通11-3-7、11-4-3