利子等を明示した場合のリース資産の仕入税額控除

Q.所有権移転外ファイナンス・リース取引において、利子等が明示されており、据付工事費及び運賃等を含むリース資産の取得費用について、消費税額はどのように計算するのか。

A.個別対応方式を採用している場合、リース契約で利子等が明示されていると、リース料は課税取引とされる資産の譲渡対価と非課税取引とされる利子等の対価に区分されます。この場合の仕入税額控除計算では、課税・非課税売上げに共通して要するものを区分して算出します。据付工事費及び運賃等を含むリース資産の取得費用は、課税取引に対する費用として扱われ、課税仕入れに係る消費税額を計算する基礎となります。これにより、仕入税額控除額を①課税資産の譲渡等にのみ要するものとして計算することになります。

参考:法30② 一

土地付建物の仲介手数料

Q.土地と建物をセットで1億円で売却した場合、土地の売却価格が8,000万円、建物が2,000万円の時、仲介手数料に関して消費税の仕入控除を個別対応方式で計算することは可能ですか?

A.はい、可能です。個別対応方式では、課税売上と非課税売上に直接関わる仕入れ、または課税売上と非課税売上の両方に関わる仕入れを明確に区分する必要があります。土地付建物の仲介手数料は原則として、課税売上と非課税売上の両方に関わるものと考えられます。しかし、土地売却の8,000万円と建物売却の2,000万円を合理的に分けている場合、仲介手数料を課税売上のみ、または非課税売上のみに要するものとして分けることができます。そして、このように区分した後の仲介手数料については、消費税法の規定に従って仕入控除を受けることができます。

参考:法30②一、基通11-2-19

株式の売買に伴う課税仕入れの取扱い

Q. 当社が行っている財務テクニックとしての株式の売買において、委託売却手数料、投資顧問料、保管料等の支払いに関して、個別対応方式で仕入税額控除を計算する場合、これらの費用は非課税資産の譲渡等の際だけに発生する課税仕入れに関する支払いとして仕入税額控除の対象にはならないか。

A. はい、それらの支払いはすべて、非課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに関する支払い対価となります。例えば、株式を売却する際の委託売却手数料は、株式の譲渡に伴う費用であり、仕入税額控除の対象とはなりません。また、株式購入時の委託売却手数料も、売却時に要する支払いと認識され、非課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに関する支払い対価に該当します。投資顧問料も、専門的な助言を受けるための支払いであり、これも同様に非課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに関する支払い対価となります。さらに、株式の保管料も、将来的な売却を目的とした支出であり、非課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに関する支払い対価です。

参考:法30②

試作用、サンプル用資材の税額控除

Q.試作目的やサンプル用途で無償提供する物品の製造に使用された原材料についても、仕入税額控除を適用できますか?

A.はい、適用できます。消費税法上、事業者が事業として他の者から資産を購入、借り受けるか、またはサービスを受けること(給与等の対価とするサービスを除く)が課税仕入れとみなされます。受け取る相手方が事業として行う税対象の場合に限ります。従って、試作目的やサンプル用途であっても、それに関連した原材料の購入が課税の対象となるものであれば、仕入税額控除の対象になります。また、個別対応方式で仕入控除税額を計算している場合において、試作品やサンプルが販売促進目的で配布される場合、その原材料の課税仕入れは課税財産の譲渡等に直接必要なものとみなされます。

参考:法30、基通11-2-14

宅地の造成費とその取り扱い

Q.不動産業者が宅地を造成して販売する場合、消費税法上で個別対応方式によって計算される税額に関して、支出する造成費用や私道の工事、給排水設備等の付帯工事に関する費用の取り扱いはどうなりますか?

A.宅地の造成費用は、消費税が非課税とされる土地の譲渡にのみ要する費用であるため、仕入税額控除の対象とはなりません。同様に、私道の工事や給排水設備等の付帯工事も、宅地造成の一部として行われるものなので、仕入税額控除の対象外です。ただし、分譲マンション等の建設のために行う土地の造成費用は、土地と建物の譲渡に必要であるため、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものとして扱われます。

参考:法30②、基通11-2-12、11-2-15

建設現場で支出する交際費について

Q.建設工事の現場で支出する交際費は、課税売上げにのみ関係する課税仕入れとして計算しても問題ないでしょうか?

A.交際費が課税仕入れかどうかは、その交際費の使用目的や取引内容に基づいて判断されます。例えば、課税売上に関連する相手方への贈り物は、課税仕入れとして控除可能です。そのため、消費税が課せられるサービス提供の現場で明確に交際費が課税仕入れである場合、そのように計算することが許されます。ただし、交際費が課税仕入れに該当するかどうかの詳細については、関連する資料を参照してください。また、軽減税率の対象となる取引がある場合は、税率ごとに区分して計算する必要があります。

参考:法30② 、基通11-2-12 

カタログ印刷や企業イメージ広告の税額控除区分について

Q.カタログの印刷費や企業イメージ広告の広告費は課税用資産と非課税用資産のどちらに区分されますか?

A.課税資産と非課税資産の両方の譲渡に関連する場合、包装紙、カタログの印刷費、企業イメージ広告の費用は共通して要する費用に該当します。ただし、これらの費用を使用枚数などの合理的な基準で課税資産の譲渡専用、非課税資産の譲渡専用に区分することができます。特に、印刷されるカタログに掲載されている商品が全て消費税の課税対象の場合、該当するカタログは課税資産の譲渡にのみ必要とされるものとみなされます。

参考:法30②、基通11-2-12、11-2-19

カタログ印刷や企業イメージ広告の税額控除区分について

Q.カタログの印刷費や企業イメージ広告の広告費は課税用資産と非課税用資産のどちらに区分されますか?

A.課税資産と非課税資産の両方の譲渡に関連する場合、包装紙、カタログの印刷費、企業イメージ広告の費用は共通して要する費用に該当します。ただし、これらの費用を使用枚数などの合理的な基準で課税資産の譲渡専用、非課税資産の譲渡専用に区分することができます。特に、印刷されるカタログに掲載されている商品が全て消費税の課税対象の場合、該当するカタログは課税資産の譲渡にのみ必要とされるものとみなされます。

参考:法30②、基通11-2-12、11-2-19

薬品の仕入れにおける消費税の仕入税額控除

Q.病院で消費税の仕入れた薬品に関して、個別対応方式を採用する場合、薬品を課税売上と非課税売上に分けるべきですか?そして、課税・非課税共通の薬品に関して、課税売上割合に基づく割合の適用はどうすれば良いですか?

A.保険診療と自費診療で同じ薬品を使う場合が多いため、仕入れた薬品を保険診療の非課税売上か自費診療の課税売上かで分けるのは難しいです。このように分けることが難しい場合、薬品は課税・非課税共通として扱われます。この状況では、保険診療と自費診療の患者数比率や使用薬品の価格比率など、課税売上割合に準ずる合理的な割合を用いることが考えられます。このような割合を適用したい場合は、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出し、所轄税務署長の承認を受ける必要があります。承認申請を課税期間の末日までに提出し、翌日から1ヶ月以内に承認を得た場合、提出した課税期間からその割合の適用が可能です。

参考:法30②③、令47、 基通11-5-7、 様式通達第22号 様式

課税売上割合の端数処理

Q.当社のこの課税期間の課税売上割合が94.856…%となりました。当社では、課税売上割合を小数点以下を四捨五入して95%として計算し、これにより課税仕入れ等の税額の全額を控除できると考えていますが、消費税法上このような処理は可能ですか?

A.消費税法においては、課税売上割合の端数処理を行わず、具体的な数値(この場合94.856…%)をそのまま使用することが求められています。そのため、94.856…%を四捨五入して95%にする処理は認められていません。しかし、仕入控除税額の算出時には、課税売上割合の任意の位以下の端数を切り捨てた数値を使用しての計算は許容されています。ただし、課税売上高が5億円を超える事業者の場合、課税売上割合が95%以上であっても課税仕入れ等の税額の全額を控除する制度は適用されません。

参考:法30② 、30⑥、令48、 基通11-5-6