輸入手続を委託した場合の仕入税額控除の取扱い

Q.我々の会社が米国から工場で使用する機械を輸入するにあたり、国内のB社に輸入手続きを委託しました。この機械の輸入に伴い、B社が輸入申告を行い、輸入消費税を納付しましたが、その税金相当額を我々がB社に支払います。この場合、我々は支払った輸入消費税を消費税の確定申告で仕入税額控除として計上できますか?

A.輸入手続を委託して輸入申告を行ったのがB社である場合、輸入消費税に関する仕入税額控除はB社が行うこととなります。したがって、あなたの会社が消費税の確定申告において、支払った輸入消費税を仕入税額控除の対象とすることは出来ません。ただし、輸入申告をあなたの会社が行う場合には、手続きをB社に委託したとしても、あなたの会社が輸入消費税を仕入税額控除の対象とすることができます。

参考:法30①

事業分量配当金の対価の返還等について

Q.法人税法上、協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金はどのように取り扱われ、消費税法上の取扱いはどのようになるのでしょうか?

A.法人税法では、協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金は、事業の利用分量に応じて分配される剰余金であるため、損金に算入されます。消費税法上、この事業分量配当金は組合員との取引価格の修正とみなされ、そのため組合側では売上に係る対価の返還に該当します。

参考:法32、基通12-1-3

代理店助成のために支払う奨励金の消費税法上の取り扱い

Q.保険会社として代理店に契約高に応じて奨励金を支払っていますが、この奨励金は消費税法上、課税仕入れとして扱えますか?

A.お問い合わせの奨励金について、それは契約の成約件数を伸ばすための奨励として、代理店の契約高に応じて支払われていると認識されています。従って、この奨励金は一種の成果報酬としての性質を持ち、代理店が提供する役務に対する対価として消費税の課税対象になります。したがって、保険会社が支払うこの種の奨励金は課税仕入れになります。一方で、割戻しとして知られる返戻金は、物品の販売高または販売数量に基づいて支払われており、販売に関する対価の一部返戻と捉えられ、奨励金とは異なる取り扱いになります。割戻しに関連する消費税額は、割戻しを行った課税期間における課税売上高から控除されます。

参考:税務法32、基通12-1-2、12-1-4

売上割引と仕入割引における消費税の扱い

Q.売上割引や仕入割引の際、これらは消費税の非課税対象になるのでしょうか?

A.売上割引は資産の譲渡等に係る対価の支払いを受けたことを理由に行われ、仕入割引は支払いを受けることを理由に行われます。これらは利息計算に似た方法で算定されるため、会計上は受取割引料または支払割引料として扱われます。しかし、消費税の観点からは、これらの割引は売上や仕入れの対価の返還として扱われるため、売上割引は課税する売上の対価から差し引かれ、仕入割引は課税される仕入れの金額から差し引かれます。

参考:法32、38、基通6-3-4、10-1-15、12-1-4

割賦、延払いの方法による課税仕入れの場合の税額控除

Q.割賦販売または延払い条件付きの販売で課税される仕入れを行った場合、税額控除はどのように行うべきですか?

A.割賦販売や延払い条件付き販売で課税される仕入れの場合でも、仕入れに関する消費税額全額をその仕入れ資産の引き渡しがあった課税期間内に一度に控除することになります。ただし、割賦販売などの契約で手数料が別途明記されている場合、その手数料には消費税が課されないため、課税仕入れにはできません。

参考:法2①十二、30、令10③九、十、基通11-3-2

新株発行費用等の仕入れに係る消費税額の控除

Q.繰延資産とされる新株発行や社債発行をする際の事務委託費等について、その消費税を支払い時に一括して控除できるか。

A.創立費、開業費や開発費などの繰延資産に含まれる課税仕入れに対する消費税額は、繰延資産の償却時期に関係なく、課税仕入れがあった課税期間内で控除対象となります。ですから、新株発行や社債発行に伴う事務委託費等も課税仕入れに該当するので、それが行われた課税期間内で消費税額の控除が可能です。

参考:法 2①八、九、十二 、30①② 一 、基通 11-2-13

海外工事に要する課税仕入れ

Q. 海外での建設工事に要する資産の国内における課税仕入れは、個別対応方式による場合、課税売上げにのみ要する課税仕入れとなるのですか、あるいは、課税・非課税共通用の課税仕入れとなるのでしょうか。

A. 海外での建設工事に使用する資産のための国内での課税仕入れは、消費税法の規定により、その課税仕入れにかかる消費税額の控除が可能です。個別対応方式で仕入控除税額を計算する場合、課税仕入れは、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、非課税資産の譲渡等にのみ要するもの、課税・非課税資産の譲渡等に共通して要するものに区分されます。非課税資産の譲渡等は、国内で行われる資産の譲渡等で、消費税法の特定の項目に該当するものです。したがって、国外で行う資産の譲渡等のための課税仕入れは、課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当します。この場合、課税仕入れに対する消費税額の全額が控除対象になります。

参考:法2①八、九、十二、30①②一、基通11-2-13

貸ビル建設予定地上の建物の撤去費用等

Q.当社が貸ビルを建設するために取得する土地上に建っている借地権者の店舗を撤去し、その間仮店舗を自社の土地に建設して無償で貸し付ける場合、これらにかかる費用は消費税法上、仕入税額控除の対象になりますか?

A.土地上の店舗を撤去するための費用および仮店舗の建設費用は、両方とも課税仕入れに該当します。これらの費用は、土地の取得(非課税取引)とは異なり、建物の撤去や仮店舗の建設という具体的な役務提供の対価として支出されるものだからです。したがって、このような場合、個別対応方式を用いて仕入れ控除税額を計算している場合は、これらの費用に関して仕入税額控除を受けることができます。この控除は、費用がビルの建設およびこれを貸し付けるため、すなわち課税資産の譲渡等に直接必要な課税仕入れとして認められるからです。

参考:法30②、基通11-2-12

休業補償金の消費税取扱い

Q.貸ビルの建替えのためにテナントに一時退去を求め、休業補償金を支払う場合、この補償金は消費税の仕入税額控除の対象になりますか?

A.消費税は、国内の事業者が資産の譲渡、貸付け、またはサービスの提供で得た対価に対して課税されます。休業補償金や収益補償金、営業補償金などは資産の譲渡やサービスの提供の対価とは認められないため、これらは消費税の非課税対象となります。そのため、これらの補償金に対して消費税の仕入税額控除を受けることはできません。

参考:法 2(1)八、十二、令 2(2)、基通 5-2-10

グリーン・エネルギー・マークの使用料に関する消費税の扱い

Q.製造小売業を営む当社は、「グリーン・エネルギー・マーク」を製品に添付することにしました。このマークの使用料は消費税の仕入税額控除の対象となりますか?

A.「グリーン・エネルギー・マーク」の使用許諾契約に基づいて支払う使用料は、製品の製造に必要な電力を再生可能エネルギーから得たことを示すためのもので、広告宣伝効果を期待して支払うものです。マークの使用料は使用量に応じて設定されており、対価性があるため、仕入税額控除の対象となります。

「グリーン・エネルギー・マーク」とは、製品の製造に再生可能エネルギー由来の電力を使用していることを示すマークで、2008年5月に制定されました。

マークは、風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーによる発電からの電力を使用していることを製品に添付して表現します。

マークの使用許諾は、マークの商標権を持つ財団法人日本エネルギー経済研究所との契約により、特定の企業への使用を許可します。