売上げに係る対価の返還等がある請求書等

Q.販売奨励金を取引先に支払う際、その精算を請求書で行う場合、飲食料品とそれ以外の資産が含まれている場合、販売奨励金の額を税率ごとに区分して記載する必要はありますか?

A.販売奨励金は売上げに係る対価の返還等に該当し、取引先の仕入れに対する対価の返還等にも該当します。このため、販売奨励金に関連して行われる取引の税率を適切に決定する必要があります。そして、その金額を適切に区分して記載していない場合は、関連する課税資産の譲渡等に基づき、税率ごとに区分して記載する必要があります。また、これに関連した請求書等の保存は求められていませんが、必要な事項が記載された帳簿の保存が必要です。販売奨励金に係る消費税額を計算するために、企業と取引先はそれぞれ、税率ごとに区分した販売奨励金の金額など、特定の事項を帳簿に記載する必要があります。

税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込み)を記載税率ごとの販売奨励金の額を記載

参考:法38② 、58、 令58、 71、 規27、 平28改 法附34② 、平28改令附 8、 平28改規 附11

レシートの値引き記載方法

Q. 割引券を使用して値引きを行った場合、レシートにはどのような記載が必要ですか?

A. 割引券などを利用して飲食料品とその他の商品を同時に販売し、総額から一括で値引きを行う場合、消費税率ごとに区分された値引き後の販売価格に対して消費税がかかります。そのため、レシートには税率ごとに区分した値引き後の販売価格を明記する必要があります。税率ごとに区分された値引き前の販売価格と値引き額が明確な場合、これらに基づいて値引き後の販売価格が算出できるとされます。顧客が割引券を利用したことで全体の価格から値引きが行われ、値引き前の販売価格や値引き後の価格が税率ごとに適切に区分表示されない場合は、割引額を商品の販売価格比率で按分して、税率ごとの値引き後の価格を表示する必要があります。適用税率ごとの値引き後の販売価格がレシート等で確認できる場合、適切に区分されたとみなされます。

参考:軽減通達15

相手方の確認を受けた仕入明細書等

Q.仕入明細書を仕入税額控除の要件を満たす請求書として保存するためには、どのような対応が必要ですか?

A.仕入明細書等を作成し、相手方の確認を受けて保存することで、仕入税額控除の要件を満たす請求書等として扱うことができます。そのために以下の事項が記載されている必要があります:1. 書類の作成者の氏名または名称、2. 課税仕入れの相手方の氏名または名称、3. 課税仕入れを行った年月日、4. 課税仕入れに係る資産または役務の内容、5. 税率ごとに合計した課税仕入れに係る支払対価の額(税込価格)。これらの記載を確実に行い、相手方の確認を得た仕入明細書等を保存する必要があります。

参考:法30⑨ 二、平28改法附34②

軽減税率の適用対象外商品の請求書記載内容

Q.軽減税率の適用対象外の商品を販売している場合、請求書の記載内容を変更する必要はありますか?

A.軽減税率の適用対象外の商品のみを販売している場合、請求書で「軽減対象資産の譲渡等である旨」を記載する必要はありません。また、課税資産の販売価格(税込価格)を記載していれば、税率別に合計した課税資産の譲渡等の対価の額を記載したものとみなされます。そのため、請求書の記載事項を変更する必要はありません。

参考:平28改法附34②

商品の全てが軽減税率の対象である請求書等

Q.請求書に記載されている商品が全て飲食料品などの軽減税率の対象となる場合、区分記載請求書等保存方式においては、「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載が必要ですか?

A.はい、必要です。仕入税額控除の要件として、保存すべき請求書(領収書を含む)には、税率ごとに区分して経理するのに必要な、「軽減対象資産の譲渡等である旨」と「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」の記載が求められます。つまり、請求書に記載されている全ての商品が軽減税率の対象の場合、請求書に「全商品が軽減税率対象」などと明示することで、「軽減対象資産の譲渡等である旨」が記載されていることを確かめる必要があります。これは、請求書を発行する事業者も注意すべき点です。

参考:平28改法附34②

仕入税額控除のための帳簿代用書類の保存について

Q.法人税において帳簿代用書類を保存している場合、消費税の仕入税額控除の適用においてその保存が帳簿及び請求書等の保存に代わると認められるか。

A.法人税における「帳簿代用書類」とは、法定事項を帳簿に書き込む代わりに、その事項を含む取引関連書類を整理・保存することを指します。しかし、この帳簿代用書類は消費税法における帳簿として扱われるものではありません。そのため、このような書類が保存されていたとしても、帳簿が不完全であるため、帳簿及び請求書等の保存があるとは認められません。ただし、課税仕入れに関連する記載事項が帳簿に記載されており、課税仕入れの相手方から受け取った書類が通常の「請求書等」に該当する場合は、仕入税額控除の要件を満たすことができます。

参考:法30⑦ 、③一、⑨一、二

コンビニエンスストアにおける帳簿の取扱い

Q.コンビニエンスストアのフランチャイズ店は、本部から送付されたPOSシステムに基づく書類を仕入税額控除のための帳簿として保存してよいですか?

A.フランチャイズ店でPOSレジから入力されたデータを基に本部で作成・編集した書類は、本部が記帳代行を行っているとみなされるため、会計帳簿と実質的に同じものと認められます。そのため、課税仕入れの相手方の氏名や名称、課税仕入れの日付、課税仕入れに関する資産や役務の内容、課税仕入れに関する支払い価格が記載された書類をまとめて保存することで、帳簿の保存要件を満たすことができます。

参考:法30条3項一、平成28年改正法附則34条2項

買掛金集計表の取扱い

Q.当社は、毎月仕入先から送られてくる請求書に基づいて買掛金集計表を作成し、総勘定元帳に転記しています。この買掛金集計表は、仕入税額控除を受けるために必要な帳簿に該当するか。

A.買掛金集計表は、課税仕入れに関する法定記載事項を含んでおり、それが適切に整理・集計され、保存されている場合は、帳簿保存の要件を満たします。ただし、各取引の詳細を記した請求書などの保存も必要です。

課税仕入れの相手方の氏名や名称

課税仕入れを行った年月日

資産や役務の内容

支払対価の額

参考:法30⑦ 、③一

伝票会計の場合の帳簿の保存

Q.伝票会計を採用している事業者の場合、作成した伝票を帳簿の代わりとして保存してもよいのでしょうか?

A.消費税法に定められた記載事項を含む伝票で、これを勘定科目別、日付別に整理し、日計表や月計表等を付加した伝票綴りは「帳簿」とみなされます。そのため、このように整理された伝票綴りを保存することは、帳簿を保存することとして扱っても問題ありません。ただし、請求書など課税仕入れの相手方から受け取った書類も保存しなければならず、これは通常の帳簿を保存する場合と同様です。

参考:法30⑦ 、③一

帳簿の範囲

Q.仕入税額控除の適用要件として保存することが必要な帳簿は、いわゆる元帳でなければならないのですか?

A.仕入税額控除の適用要件として保存すべき帳簿には、課税仕入れの相手方の氏名や名称、課税仕入れが行われた年月日、課税仕入れに関する資産や役務の内容など、重要な4点が記載されている必要があります。これらの情報について記載されている帳簿であれば、総勘定元帳や仕入先元帳など、いわゆる元帳である必要はありません。仕入帳、経費帳、現金出納帳などの補助簿や仕訳帳も含まれます。また、複数の帳簿に分散して記載されていても、これらの帳簿が関連付けられていて、全ての記載事項が網羅されていれば、帳簿の記載要件を満たしているとみなされます。

参考:法30③一、平28改法附34②