適格請求書の交付義務

Q.適格請求書発行事業者は、どのような場合に適格請求書の交付義務が課されるのですか。また、交付義務が課されない場合はあるのですか。

A.適格請求書発行事業者は、国内で税に関わる商品やサービスの売買を行った場合、相手方(税を払う事業者に限る)から求められたときに適格請求書を渡さなければなりません。ただし、適格請求書を紙ではなくデジタルの記録として提供することも可能です。何も販売しない場合や非課税の取引のみを行った場合は、適格請求書を渡す義務はありません。

参考:新法57の 4①⑤、新令70の 9②

登録番号の構成

Q.登録番号は、どのような構成ですか。

A.登録番号の構成は以下のとおりです。

1. 法人番号を有する課税事業者は、「T」(ローマ字)に続けて法人番号(数字13桁)が来ます。

2. 法人番号を持たないその他の課税事業者(個人事業主、人格のない社団など)は、「T」(ローマ字)に続けて数字13桁が来ます。この13桁の数字は、マイナンバー(個人番号)とは異なり、法人番号とも重複しない事業者ごとのユニークな番号です。

一度付番された登録番号は変更できません。

登録番号の記載例

「1234567890123」

「T1234567890123」

請求書などに記載する際には、半角・全角は問いません。

参考:インボイス通達2-3

登録事項の公表方法

Q.適格請求書発行事業者の情報は、どのような方法で公表されますか。

A.適格請求書発行事業者の情報、例えば登録日など登録された詳細は、「国税庁適格請求書発行事業者公表サイト」というウェブサイトで公開されます。適格請求書発行事業者の登録が取消されたり、効力を失ったりした場合、その具体的な日付も同サイトで公表されます。公開される情報は以下の通りです:

1. 法定公表事項:

   – 適格請求書発行事業者の名前または商号

   – 法人の場合、本社または主な事務所の所在地

   – 特定国外事業者を除く国外事業者の場合、日本国内での事業所または類似するものの所在地

   – 登録番号

   – 登録年月日

   – 登録が取り消された日や失効した日

個人事業者が外国人の通称や旧姓を公表すること、またはそれらを公式名として併記することを希望する場合は、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申請書」を提出する必要があります。

2. 追加で公表可能な事項(本人の申出に基づく):

   – 個人事業者の主な屋号や主な事務所の所在地

   – 人格のない社団等の主な事務所の所在地

これらの追加情報を公表する希望がある場合、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申請書」の提出が必要です。

参考:新法57の2④⑪、新令70の5①②

適格請求書発行事業者が免税事業者になる条件

Q.当社は適格請求書発行事業者の登録を受けています。翌課税期間の基準期間において課税売上高が1,000万円以下の場合、当社は免税事業者となることができますか?

A.課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は一般的に消費税の納税義務から免除され、免税事業者となります。しかし、適格請求書発行事業者については、課税売上高が1,000万円以下であったとしても免税事業者にはなれません。従って、適格請求書発行事業者である貴社は、翌課税期間に免税事業者となることはできません。

参考:新法9①、インボイス通達2-5

登録の取りやめ

Q.適格請求書発行事業者の登録を取り消したい場合、どうすればいいですか?

A.適格請求書発行事業者は、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」(以下、登録取消届出書と呼ぶ)を、納税地を所轄する税務署長に提出することで、登録の効力を失わせることが可能です。通常、登録取消届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間の初日から登録の効力がなくなりますが、登録取消届出書を翌課税期間の初日から15日前後の日を過ぎてから提出した場合は、翌々課税期間の初日から登録の効力がなくなる点に注意してください。また、「翌課税期間の初日から起算して15日前の日」が日曜日や国民の祝日、その他の休日、土曜日、12月29日から31日であっても、これらの日の翌日となるわけではありません。

適格請求書発行事業者が事業を廃止した場合、「事業廃止届出書」を提出した場合に限り、事業を廃止した日の翌日に登録の効力が失われます。

適格請求書発行事業者である法人が合併により消滅した場合、「合併による法人の消滅届出書」を提出した場合に限り、法人が合併により消滅した日に登録の効力が失われます。

参考:新法57の 2⑩一 、二 、三 、 イ ンボイス通達 2-7、 2-8

登録の任意性

Q. 当社は軽減税率対象品目の販売を行っていませんが、適格請求書発行事業者の登録を必ず受けなければならないのでしょうか?

A. 適格請求書を交付できるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者だけですが、登録するかどうかは事業者の選択に委ねられています。登録をしない場合、適格請求書を交付することができず、その結果取引先が仕入れた商品の税額控除を受けられない状況となりますので、登録の必要性については、この点を考慮してください。また、販売する商品が軽減税率の対象かどうかに関わらず、取引の相手方が税金を納める事業者である場合に適格請求書を求められたら、登録を受けた事業者は適格請求書を交付しなければなりません。しかし、消費者や免税事業者など課税事業者以外には交付する義務はないため、顧客が消費者のみの場合などでは適格請求書を交付する必要がない場合もあります。これらの点を踏まえて、登録するかどうかを検討してください。

参考:新法57の20、57の4①

簡易課税制度の選択に関する手続き

Q. 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間中に課税事業者として登録を受けた場合、その課税期間から簡易課税制度を適用できますか?

A. 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間中に課税事業者として登録を受けた場合、登録日の属する課税期間中に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、その課税期間の初日の前日に提出したものとみなされます。これにより、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。

参考:平成28年法律第44条の4、平成30年政令第18条、インボイス通達5-1

免税事業者の登録と税制への移行時期

Q.令和5年10月1日から令和11年9月30日の間に免税事業者が登録を受ける場合、登録にあたり課税選択届出書の提出は必要ですか?また、その場合、いつから課税事業者となりますか?

A.この期間中に登録を受ける場合、課税選択届出書を提出する必要はありません。免税事業者がこの期間内で登録を行い、登録希望日を登録申請書に記載することで、その日から課税事業者となることができます。この場合、登録を受けた日から課税事業者として扱われ、登録日からその課税期間の末日まで消費税の申告が必要となります。また、この期間外での登録希望日については、申請の15日前までに登録申請書を提出する必要があります。この特例措置を利用した場合でも、税務署長による登録が完了した日が登録希望日後になっても、登録希望日に登録されたとみなされます。

免税事業者である個人事業者が令和5年10月1日に登録を受けるため、令和4年中に登録申請書を提出し、令和5年10月1日に登録を受けた場合

参考:新法57の 2②、新令70の 2、 平28改 法附袈④⑤、平28改 令附15②③、イン ボイス通達2-1、 5-1

登録の経過措置

Q.適格請求書等保存方式が開始される令和5年10月1日から登録を受けるためには、いつまでに登録申請書を提出すればよいですか?

A.適格請求書等保存方式が開始される令和5年10月1日から登録を受けようとする事業者は、令和5年9月30日までに登録申請書を納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。免税事業者が登録を受ける場合、通常は消費税課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者となる必要があります。しかし、登録日が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間中であれば、課税選択届出書を提出しなくても登録を受けることができます。

参考:新法9の2①、平28改法附44①④、平30改令附15、インボイス通達5-1

登録の効力

Q.適格請求書発行事業者の登録の効力は、いつから発生するのですか。

A.事業者が適格請求書発行事業者として登録される効力は、税務署長に登録申請書が提出された後、登録拒否の要件に該当しない場合に限り発生します。法律に定められた事項を適格請求書発行事業者登録簿に記入し、登録が行われた日(登録日)からその効力が生じます。事業者は、登録日以降の取引において相手方が課税事業者であれば、彼らの要求に応じて適格請求書を提供する義務があります。もし令和5年10月1日より前に登録通知を受けた場合でも、その登録の効力は令和5年10月1日から生じることになります。

参考:新法57の2③④⑤⑦、インボイス通達2-4