建設業者の事業区分

Q.建設業を営む私たちの場合、全ての取引が第二種事業に該当し、みなし仕入率70%で計算することになるのでしょうか。

A.事業者が行う事業の区分(第一種から第六種まで)は、各取引ごと(社会通念に基づく取引単位)に基づいて判断されます。一般的に、建設業は第三種事業に区分されますが、これは日本標準産業分類に従って判断されます。ただし、建設業の中でも「加工賃やその他類似の料金をもらって役務を提供する場合」は第四種事業(みなし仕入率60%)に該当します。具体的な例としては、ガス管の埋設工事など、他者の原材料を使用して他者の建設工事の一部を担うような人的役務の提供がこれに該当します。改造や修繕工事を行う場合も、原則として第三種事業に該当します。

参考:法37、令57⑤三、基通13-2-4、13-2-7

製造業者の事業区分

Q.製造業者が行う事業の事業区分はどのようになりますか。

A.事業者が行う事業をどの事業区分に分けるかは、課税対象となる資産を売るなどの行為ごとに(通常の取引として扱われる単位で)決めます。製造業の場合、主に日本標準産業分類に従って第三種事業に分類されます。しかし、原材料を無料で提供されて組み立てや加工を行う場合は「加工賃やその他の料金を受け取るサービスの提供」とみなされ、第四種事業(みなし仕入率60%)に該当します。こうしたサービスには、例として以下のような事業があります:

1. 食料品製造業者が原料を提供されての製粉や缶詰加工

2. 食品加工者が貝やエビを提供されてむき身製造

3. 繊維製品製造業者が糸や生地を提供されての巻取り、染色、裁断

4. 木製品製造業者が木材を提供されての製造や組立て

5. 紙加工業者が紙を提供されての紙製品製造

6. 印刷業者が紙を提供されての印刷

7. 製本業者が印刷物を提供されての製本

8. なめし革製造業者が革を提供されてのなめしや塗装

9. メッキ業者が金属を提供されてのメッキ

10. 金属製品製造業者が金属を提供されての加工

11. 機械製造業者が部品を提供されての組立

12. 指輪のサイズ直しや宝石の加工

参考:法37、令57⑤三、基通13-2-4、13-2-7

簡易課税制度における第二種事業の範囲

Q.簡易課税制度において、第二種事業に何が含まれますか?

A.簡易課税制度における第二種事業には、農業、林業、漁業(食料品の販売を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造した商品の小売りも含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業(これらを「製造業等」とします)が含まれます。これらの範囲は主に総務省の日本標準産業分類の大分類に基づいていますが、以下の点が異なるため注意が必要です。

1. 日本標準産業分類では付随する事業も含めて分類されますが、消費税では各課税資産の譲渡ごとに第一種事業や第二種事業に分類されます。

2. 製造した商品を直接消費者に販売する製造小売業は、日本標準産業分類では小売業に分類されますが、消費税では製造業として第三種事業に含まれます。

3. 情報通信業に分類されるサービス業であっても、新聞業や出版業は第二種事業に含まれます。

4. 日本標準産業分類で製造業等に分類されていても、加工賃その他これに類する料金の役務の提供は、消費税法では第四種事業に該当します。

参考:法37、 令57⑤ 三、基通13-2-4、 13-2-5(4)、 13-2-6、 13-2- 7

デパートのテナントと卸売業の範囲

Q.デパートに店舗を出店している場合、支払っている手数料に基づく売上高を経理上どのように計上すれば良いですか?また、簡易課税制度を適用する際、この売上は第一種事業に関する売上げとして扱っても良いのでしょうか?

A.デパートのテナントとしての売上げが小売に該当するか卸売に該当するかは、デパートとの契約内容に応じて判断されます。手数料契約の場合(売上高の一定割合をテナント料として支払う場合)、行われる販売活動は小売業とみなされますが、事業者に対しての販売は第一種事業に該当します。商品販売契約の場合(テナントが販売した商品をデパートがテナントから仕入れる取引がある場合)、テナントのデパートに対する売上げは卸売業として扱われます。

参考:法37、令57⑤⑥

デパートのテナントと卸売業の範囲

Q.デパートに店舗を出店している場合、支払っている手数料に基づく売上高を経理上どのように計上すれば良いですか?また、簡易課税制度を適用する際、この売上は第一種事業に関する売上げとして扱っても良いのでしょうか?

A.デパートのテナントとしての売上げが小売に該当するか卸売に該当するかは、デパートとの契約内容に応じて判断されます。手数料契約の場合(売上高の一定割合をテナント料として支払う場合)、行われる販売活動は小売業とみなされますが、事業者に対しての販売は第一種事業に該当します。商品販売契約の場合(テナントが販売した商品をデパートがテナントから仕入れる取引がある場合)、テナントのデパートに対する売上げは卸売業として扱われます。

参考:法37、令57⑤⑥

食料品小売業における軽微な加工

Q.食料品の小売業を営んでおり、簡易課税制度を適用しています。この制度において、購入した商品をその性質及び形状を変更しないことが第二種事業に該当する要件としてありますが、ハムをスライスしたり、詰め合わせセットにするような加工は、性質及び形状を変更したことになるのでしょうか。

A.事業者が販売用の商品に軽微な加工をして販売する場合、その加工が一般的に加工前の商品を販売している店舗で行われるものと認められ、加工後の商品が同一の店舗で販売される場合は、その加工後の商品の譲渡を第二種事業として扱っても問題ありません。従って、スライスや詰め合わせ程度のものは軽微な加工であり、問題なく第二種事業として扱って良いとされています。軽微な加工には、例えば切る、刻む、つぶす、挽く、たれに漬け込む、混ぜ合わせる、こねる等の行為が該当します。

参考:法37、令57⑥、基通13-2-3

製造問屋の事業区分について

Q.当社は繊維製品の卸売業を営んでいます。簡易課税制度を選択しているのですが、外注先に染色をさせた白生地を小売業者に納入する場合、この売上も簡易課税制度における卸売業にあたる課税売上げとして考えて良いのでしょうか。

A.簡易課税制度における卸売業とは、「他から購入した商品をその性質や形状を変えずに他の事業者に販売する事業」を指します。しかし、原材料を購入し、加工させて完成品を販売する「製造問屋」は、加工を自ら行わないとしても、購入から販売までの過程で商品の性質や形状に変更を加えるため、卸売業には含まれません。従って、ご質問のケースでは、染色加工を施すことで製造問屋に該当し、第二種事業、つまり製造業に該当すると考えられます。

参考:法37、令57⑤⑥、基通13-2-5

第一種事業における「性質及び形状を変更しない」ことの意義

Q.まぐろの卸売りを行っている当社は、市場で購入したまぐろを皮を剥いだり四つ割りにするなどして小売店へ販売しています。この取引状態の場合、第一種事業に該当するか知りたいです。

A.簡易課税制度において第一種事業とは、他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで他の事業者に販売する事業を指します。ただし、商品に一定の行為(例えば、商標を添付する、複数の商品をセットで販売する、液状商品を容器に詰める、裁断するなど)を施しても、その性質及び形状を変更しないと見なされます。貴社の場合、購入したまぐろに対して行われている行為は、第一種事業として問題なく該当すると解釈できます。

参考:法37、令57⑤⑥、基通13-2-2

固有事業者と受託事業者の簡易課税制度適用基準

Q.法人課税信託の受託者が固有事業者と受託事業者として、それぞれ簡易課税制度の適用を受ける場合、課税売上高の判定はどのように行われますか?

A.固有事業者が簡易課税制度を適用する際は、基準期間内の課税売上高を固有事業者自体の売上高と関連する法人課税信託の受託事業者の売上高を加えた合計金額で判断します。この合計金額が5,000万円以下なら簡易課税制度を利用できます。受託事業者は、関連する固有事業者が簡易課税制度を利用している場合、自動的にその課税期間で簡易課税制度の適用を受けます。また、固有事業者は特定の被災課税期間において簡易課税制度の適用または非適用の承認を受けた場合、その適用状態に応じて扱われます。

参考:法15 

分割と簡易課税制度の適用可能性

Q. 当社は今期4月1日に新設分割を行い、子法人を立ち上げました。この子法人は資本金1,000万円で、当社と兄弟会社A社の事業の一部を承継し設立されました。この分割があった日の課税期間から、この新設分割子法人は簡易課税制度を適用できるでしょうか?また、この分割が吸収分割だった場合、簡易課税制度の適用は可能でしょうか?当社、A社、そして新設分割子法人は全て3月末決算です。当社の今期の課税売上高は4,500万円、A社は5億円でした。

A. 新設分割により事業を承継した新設分割子法人が、分割があった日の課税期間中に、簡易課税制度の適用を選択する届出を行った場合、原則として簡易課税制度を選択することができます。しかし、新設分割子法人または新設分割の親法人の基準期間における課税売上高が5,000万円を超える場合や、特定要件に該当し、合計が5,000万円を超える場合は、簡易課税制度の適用ができません。このケースでは、A社の基準期間における課税売上高が5億円と5,000万円を超えているため、新設分割子法人は簡易課税制度を適用できません。

吸収分割の場合、分割により事業を承継した承継法人が、分割があった日の課税期間中に簡易課税制度の適用を選択する届出を行った場合は原則として適用が可能です。ただし、分割承継法人の課税売上高が1,000万円を超えるなどの条件を満たす場合は、簡易課税制度を選択することができません。

参考:法12、37、令23、24、55、56、基通13-1-3の4