中間申告の要否について

Q.当社は過去に消費税を600万円申告しており、年3回の中間申告が必須です。今回の3か月間の仮決算での申告税額が70万円となりましたが、中間申告税額が100万円以下の場合、中間申告は不要と聞きました。当社もこのルールに従い中間申告を省略できますか?

A.消費税の中間申告は、直前の課税期間の消費税の申告額を基に計算された金額が100万円を超える場合に必要です。前課税期間に申告した消費税600万円を基に計算すると、必要となる中間申告税額は150万円となり、100万円を超えるため、仮決算での税額が100万円以下であっても中間申告が必要となります。従って、貴社も中間申告を行う必要があります。

参考:法42④、基通15-1-4、地法72の87

仮決算による中間申告制度

Q.仮決算による中間申告もできるようですが、その方法について教えてください。

A.仮決算による中間申告とは、最近の課税期間の消費税額に基づいて計算した中間申告すべき税額が、1ヶ月で400万円を超える場合、3か月で100万円を超える場合(1ヶ月で400万円を超える場合は除く)、または6か月で24万円を超える場合(1ヶ月で400万円を超えるか、3か月で100万円を超える場合を除く)のいずれかに該当する場合に、原則的な方法で計算した税額の申告・納付の代わりに、その期間内での課税資産の譲渡等の対価や課税仕入れの金額などに基づいて納付すべき税額を計算し、中間申告及び納付を行う制度です。仮決算を行う場合でも、消費税額の中間申告税額に対して78分の22を乗じた金額を地方消費税の中間申告として合わせて行う必要があります。

参考:法43、地法72の87、地法附9の5

中間申告制度

Q.中間申告制度について教えてください。

A.消費税法では、年に11回、3回、そして1回の中間申告制度が用意されています。それぞれの中間申告が必要になるケースは以下の通りです。

1. **年に11回の中間申告が必要なケース**: 直前の課税期間の消費税額が4800万円以上の場合です。この場合、中間申告は毎月行う必要があり、中間申告対象期間が課税期間開始日から数えて最初の1ヶ月であれば、その課税期間開始の日から2カ月を経過した日を含む2ヶ月以内に行います。それ以外の期間では、その中間申告対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内に行う必要があります。ただし、計算した税額が400万円以下の場合は、中間申告の必要はありません。

2. **年に3回の中間申告が必要なケース**: 直前の課税期間の消費税額が400万円を超える場合です。この場合、中間申告は3カ月ごとに行い、その中間申告対象期間の末日の翌日から2カ月以内に行う必要があります。ただし、計算した税額が100万円以下の場合、または1カ月中間申告対象期間が含まれている場合は、中間申告は不要です。

3. **年に1回の中間申告が必要なケース**: 直前の課税期間の消費税額が48万円を超える場合です。この場合、中間申告は6カ月ごとに行い、その中間申告対象期間の末日の翌日から2カ月以内に行う必要があります。ただし、計算した税額が24万円以下の場合、または1カ月あるいは3カ月中間申告対象期間が含まれている場合は、中間申告の必要はありません。

また、消費税の中間申告が必要な場合は、地方消費税の中間申告も同時に行う必要があります。地方消費税の中間申告税額は、消費税の中間申告税額に22/78を乗じた金額になります。

年に11回の中間申告が必要なケース: 直前課税期間の消費税額が4800万円以上

年に3回の中間申告が必要なケース: 直前課税期間の消費税額が400万円を超える

 年に1回の中間申告が必要なケース: 直前課税期間の消費税額が48万円を超える

参考:法42、 地法72の 87、 地法「119の 5

高額特定資産を購入した場合の簡易課税制度の適用制限

Q.課税事業者や資本金1,000万円以上の新設法人が高額特定資産を購入した場合、簡易課税制度の適用制限はどのようなものですか?

A.課税事業者が高額特定資産を購入した際、または自己建設高額特定資産の建設に1,000万円以上を要した場合、簡易課税制度の選択届出ができない期間が発生します。具体的には、該当する高額特定資産を購入した日または自己建設高額特定資産の建設が完了した日から3年間、簡易課税制度の選択ができません。また、この制限は該当資産を処分した後も続きます。

高額特定資産:課税仕入れの対価が1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産。

自己建設高額特定資産:自ら建設した、課税仕入れの対価が1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産。

参考:法12の 4、 37③ 三、令25の 5、 基通1-5-22の 2

調整対象固定資産を購入した場合の簡易課税制度の適用制限

Q.課税事業者や資本金1,000万円以上の新設法人が調整対象固定資産を購入した場合、簡易課税制度の適用に制限はありますか?

A.はい、制限があります。課税事業者を新たに選択した場合、課税事業者としての活動を始めてから2年間は、調整対象固定資産の課税仕入れがあった場合、その仕入れを行った課税期間において一般課税で申告している限り、その仕入れを行った日が属する課税期間の開始日から3年を経過する日が属する課税期間の最初の日が来るまでは、簡易課税制度の選択をすることができません。また、資本金1,000万円以上の法人が基準期間がない事業年度中に調整対象固定資産の課税仕入れを行い、その仕入れを行った課税期間に一般課税で申告する場合でも、仕入れを行った課税期間の開始日から3年を経過する日が属する課税期間までは、免税事業者となることや簡易課税制度の選択をすることはできません。ただし、事業開始日や新設法人の設立日を含む課税期間から簡易課税制度を選択する場合、その課税期間の末日までに選択届出書を提出する必要があります。

参考:法2十六、37、令5、56①②

消費税法第37条の2における災害等の範囲

Q.消費税法第37条の2の「災害その他やむを得ない理由」にはどのようなものが該当しますか。

A.「災害その他やむを得ない理由」とは、以下に示す例が該当します。

1. 地震、暴風、豪雨、豪雪、津波、落雷、地すべりなどの自然現象による災害

2. 火災、火薬類の爆発、ガス爆発などの人為的に起こった異常な災害

3. 上記1や2に記された災害に準じる、自らの過失でない不可抗力の事態

参考:法37の2、基通13-1-7

災害等があった場合の簡易課税制度の届出に関する特例

Q.災害等があった場合の中小企業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の届出に関する特例の概要を教えてください。

A.災害やその他のやむを得ない理由で被害を受けた事業者が、簡易課税制度の適用を変更する必要がある場合、税務署長の承認を受けることで、災害が起きた課税期間から簡易課税制度を選択し直したり、やめたりできる制度があります。通常、簡易課税制度の変更には前もっての届出が必要ですが、災害による特別な事情がある場合は、承認を受けた時点からその適用の変更が可能です。この特例を利用したい事業者は、災害等が終わった日から2ヶ月以内に特例承認申請書を提出し、税務署長の承認を受ける必要があります。

参考:法37の2

簡易課税制度における事業区分未実施時の取扱い

Q.簡易課税制度で、第一種事業から第六種事業までの区分を行っていない場合の取扱いについて教えてください。

A.簡易課税制度では、第一種事業から第六種事業までを区分していない場合、その課税売上全体を最も低いみなし仕入率を適用する事業の売上として扱います。例えば、第一種と第二種事業の売上が区分できていなければ、全てを第二種事業の売上として扱います。同様に、第一種から第三種まで、あるいは第一種から第四種まで区分できていない場合は、それぞれ全てを第三種、第四種事業の売上とします。第五種事業の売上とその他の売上が区分されていない場合も、全て第五種事業の売上と扱います。この取扱いの例外として、例えば第一種と第二種事業の合計売上が全体の75%以上で区分できていない場合、その売上を全体の75%以上とみなして特例を適用できます。

参考:法37、令57④

簡易課税制度における事業の区分方法

Q.簡易課税制度において、複数の異なる事業を営んでいる場合に、課税売上高を事業の種類ごとにどのように区分するのですか。

A.簡易課税制度では、第一種事業から第六種事業まで複数の事業を営む場合、それぞれの事業に応じたみなし仕入率を適用するため、課税売上高を事業ごとに区分する必要があります。この区分は以下の方法で行うことができます:

1. 帳簿に事業の種類を明記する。帳簿を事業ごとに分ける必要はありません。

2. 納品書、請求書、売上伝票の控えなどに事業の種類を記載する。記号等で事業の種類が判明する場合でも良いです。

3. レジペーパーに販売商品の品番等が印字されている場合、その印字を基に区分する。

4. ひとつの事業場で一種類の事業のみを行っている場合は、事業場ごとに区分することもできます。

また、2種類の事業を行っている場合に、一方の事業の課税売上高が明確に区分されている場合、残りの売上高は自動的にもう一方の事業のものとして区分できます。

参考:法37、令57②③、基通13-3-1、13-3-2

簡易課税制度におけるみなし仕入率の適用について

Q.3種以上の事業に関する課税売上がある場合、簡易課税制度におけるみなし仕入率の適用関係はどうなりますか?

A.簡易課税制度では、事業の種類に関係なく特定の1種の事業が全体の75%以上の場合、その事業のみなし仕入率を全体に適用できます。また、特定の2種類の事業が全体の75%以上の場合は、他の事業にはその2つの中で低い方のみなし仕入率を適用できます。例えば、第二種事業の課税売上が全体の75%以上の場合、全体に第二種事業のみなし仕入率を適用できます。加えて、第一種事業と第二種事業の課税売上の合計が75%を超える場合、第一種事業にはそのみなし仕入率を、それ以外には第二種事業のみなし仕入率を適用することが可能です。

参考:法37、令57③、基通13-4-2