任意の中間申告制度を適用した事業者が中間申告書を期限までに提出しなかった場合の取扱い

Q.中間申告義務のない事業者が、「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出した後、その申告期限までに中間申告書を提出しなかった場合、どのように取り扱われますか?

A.「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出した事業者が、6ヶ月の中間申告期限内に中間申告書を提出しなかった場合、中間申告対象期間の末日に、中間申告書の提出を取りやめたとする「取りやめ届出書」が提出されたものとみなされます。しかし、中間申告義務がある事業者が申告期限までに中間申告書を提出しなかった場合は、中間申告書が提出されたものとみなす規定がありますが、この「みなし規定」は任意の中間申告制度で提出された中間申告書には適用されません。

参考:法42⑪、44、基通15-1-1の2(注)、15-1-7

任意の中間申告制度における納付税額

Q.中間申告義務のない事業者が、「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出した場合の中間納付額はどのようになりますか?

A.任意の中間申告制度を適用した場合、中間納付税額は、直前の課税期間が12ヶ月である場合、直前の課税期間の確定消費税額の半額となります。この場合、中間納付税額として消費税のみならず地方消費税の納付も必要になります。ただし、任意の中間申告制度を利用する場合でも、仮決算を行いその結果得られた消費税額および地方消費税額によって中間申告・納付を行うことが可能です。また、6ヶ月の中間申告対象期間の終了翌日から2ヶ月以内に中間申告書を納税地の所轄税務署へ提出した場合、該当する消費税額および地方消費税額を納付する必要があり、期限内に納付されない場合には延滞税が発生する場合があるため注意が必要です。

参考:法42③、基通15-1-2

任意の中間申告制度の概要

Q.任意の中間申告制度について教えてください。

A.確定消費税額(地方消費税を含まない)が48万円以下の事業者で、中間申告の義務がない場合でも、所轄の税務署長に「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出すれば、その届出書を提出した日の後で最初に来る6ヶ月間の期間を中間申告・納税の対象として自分で申告・納税を行うことができます。「6ヶ月中間申告対象期間」とは、課税期間の開始日から続く6ヶ月間で、年に1回この期間に中間申告を行います。例えば、事業年度が1年で3月末決算の法人が任意の中間申告をする場合、その6ヶ月中間申告対象期間の末日までに届出書を提出する必要があります。

参考:法42③

提出期限を過ぎた中間申告書について

Q.中間申告期限までに中間申告書を提出できなかった場合、仮決算による期限後申告をすることはできますか?また、直前の課税期間の消費税額を基に算出した中間申告税額による中間申告を忘れた場合はどうなりますか?

A.消費税の中間申告期限までに中間申告書を提出していない場合、消費税法は直前の課税期間の消費税額を基に算出した中間申告すべき税額により中間申告がされたものと見なします。したがって、期限後に仮決算による中間申告書を提出することはできません。これは、直前の課税期間の消費税額を基にした中間申告税額に基づいて中間申告を行う場合も同様に、中間申告がされたものと見なされ提出はできません。

参考:法44、 基通15-1-6

課税売上げがない場合の中間申告納税義務

Q.建設業を営む会社ですが、前課税期間の確定消費税額が78万円でしたので、次の課税期間では中間申告が必要です。しかし、その課税期間には課税売上げが全くありませんでした。この場合、中間申告は必要ないと考えても良いでしょうか。

A.消費税の中間申告では、前課税期間の確定消費税額に基づき算出した金額に応じて、課税期間開始後一定期間ごとに中間申告をする必要があります。この場合、仮決算で算出した消費税額が基準以下であっても、中間申告書を提出する必要があります。具体的には、直前の課税期間の消費税額を月数で割り、さらに定められた倍数を乗じた金額が、一定の基準を超える場合(例:24万円を超える場合)は、開始日から数えて一定期間(例:6カ月)が経過した日から2カ月以内に中間申告書を提出し、納税することが求められます。もし、提出期限内に中間申告書を提出しなかった場合、提出期限時点で自動的に原則的方法による中間申告をしたものとみなされ、計算された消費税額の納税義務が発生します。したがって、課税売上げがない場合でも、中間申告の義務は発生しますので、期限内に仮決算に基づく中間申告を行うことをお勧めします。

参考:法44、 地法72の87、 地令35の 8

中間申告が必要な事業者

Q.私は令和5年5月に以前経営していた食料品小売業の営業権を譲渡し、現在はサラリーマンとして働いています。令和4年分の消費税と地方消費税を納付した後、令和5年はサラリーマンになったので中間申告は不要だと思っていいでしょうか?

A.たとえ中間申告書を提出する時期に実際に事業を営んでいなくても、事業から得た対価で資産を譲渡した場合には、消費税及び地方消費税の納付義務があります。そのため、中間申告及び納税の必要があります。質問の状況では、前課税期間の確定消費税額が78万円とありますので、これを12ヶ月で割って6をかけた金額が消費税で、地方消費税はその22%に相当する11万円を、本年8月末までに中間申告して納付する必要があります。また、仮決算による中間申告も可能です。

参考:法42、地法72の87

中間申告と修正申告の関係性

Q.第2四半期に間違いに気づき修正申告をした場合、その年の中間申告はどのように影響を受けますか?

A.直前の課税期間の消費税額に基づいて中間申告が必要かどうか判断されるため、修正申告による消費税額の変更は中間申告への影響を及ぼします。修正申告が提出された日を基に、その時点で確定している消費税額を用いて中間申告の必要性を判定します。

例えば、修正申告で消費税額が780万円に変わった場合、それ以降の中間申告対象期間では修正後の消費税額に基づいて中間申告が必要か検討します。ただし、780万円と修正した場合の計算でも、次に来る中間申告対象期間では必要な中間申告額が400万円以下となり、中間申告は不要です。

もし、修正後の消費税額が390万円だった場合も、計算結果中間申告が必要な金額が400万円以下になるため、中間申告は不要になります。しかし、年3回の中間申告制度を適用する場合、第2回目の中間申告では、390万円の修正後の額を基にして計算した中間申告が必要になる可能性があります。

参考:法42①④⑥、地法72の87

中間申告書提出と修正申告書の影響

Q.中間申告書提出前に直前の課税期間の修正申告書を提出した場合、中間申告額はどうなりますか?

A.中間申告額は、直前の課税期間の修正申告書に記載された消費税額を基に計算します。修正申告書が提出された後、各中間申告対象期間(1か月、3か月、6か月ごとの期間)の終了日までに確定した税額を基準に計算されます。修正申告書を提出することで、その修正後の税額を中間申告の基準として用います。例えば、課税期間開始の日以降3か月の期間内に提出された修正申告書は、第1四半期の中間申告の計算基準となり、3か月から6か月の期間内に提出された場合は、第2四半期の中間申告の計算に用いられます。

参考:法42①④⑥

中間申告における原則法と仮決算の併用

Q.当社は年1回の決算で、前の年度の消費税申告額が約800万円でした。そのため、現在は四半期ごと、つまり年3回の消費税中間申告を行っています。しかし、季節による業績の変動が大きく、仮決算を用いた方が税額が増減することがあります。この場合、年3回の中間申告は、すべて原則的方法による必要がありますか、それとも仮決算を使用しても良いのでしょうか。

A.年3回四半期ごとに中間申告を行う必要がある事業者は、それぞれの中間申告で、その期間を1課税期間とみなして、仮決算による申告を行うことができます。したがって、ご質問の会社の場合、最初の中間申告は前年度の確定消費税額を12で割り、3を乗じた額で行い、2回目の中間申告は第2四半期を1課税期間とみなした仮決算によるものです。そして、3回目の中間申告も、1回目と同じく原則的方法を用いることができます。つまり、年3回の中間申告はそれぞれ原則的方法か仮決算による方法のいずれかを選択できます。

参考:法42、43、基通15-1-2

仮決算による中間申告での消費税還付について

Q.第1四半期の中間申告で仮決算を行った結果、仕入れに係る消費税額が課税標準額に対する消費税額より多くなった場合、還付は受けることができるのでしょうか。

A.仮決算に基づく中間申告では、各中間申告対象期間を1課税期間として消費税の計算を行いますが、確定申告とは異なり、消費税の還付を受けることはできません。従って、質問されたケースでは、還付の申請はできず、差引納付税額を0円として申告します。ただし、課税期間が始まってから3ヵ月を経過した日までに「消費税課税期間特例選択届出書」を提出することで、その3ヵ月間を1課税期間として扱い、これにより還付のための確定申告を行うことが可能になります。

参考:法19②、43、基通15-1-5