地方公共団体の中間申告期限

Q. 地方公共団体の特別会計の中間申告はどうなっていますか?

A. 地方公共団体の特別会計には、中間申告に関しても特例が適用されます。具体的には以下のようになります。

– 直前課税期間の消費税額が800万円超の場合、中間申告対象期間が課税期間開始後3ヶ月を経過した日の前日までに終了した場合、その課税期間開始日から6ヶ月を経過した日から3ヶ月以内に中間申告が必要です。その他、4ヶ月経過後や5ヶ月経過後に終了した場合はそれぞれ4ヶ月以内、5ヶ月以内に中間申告が必要です。これらに該当しない場合は、1ヶ月中間申告対象期間の末日の翌日から6ヶ月以内に申告する必要があります。

– 消費税額が48万円超4千万円以下の場合、6ヶ月中間申告対象期間がある場合、その期間の末日の翌日から6ヶ月以内に中間申告を行う必要があります。

参考:法42C)④⑥、令76③ 四、地法72の 87

地方公営企業の中間申告期限

Q. 地方公営企業法第30条第1項によると、地方公営企業特別会計の確定申告書は課税期間の終了翌日から3か月以内に提出する必要がありますが、中間申告はどのように行うのでしょうか?

A. 地方公営企業特別会計の中間申告には特別な期限が設けられています。直前課税期間の消費税額に応じて、中間申告の時期が異なります。直前課税期間の消費税額が4,800万円を超える場合、1か月の中間申告対象期間には以下のようなルールが適用されます。課税期間開始後3か月を経過した日から3か月以内に、

1. 課税期間開始日以後3か月を経過した日の前日までに確定した直前課税期間の消費税額と地方消費税額を申告・納付する必要があります。

2. 1か月中間申告対象期間が前述に該当しない場合、その1か月中間申告対象期間の最終日の翌日から3か月以内に、該当期間の末日までに確定した直前課税期間の消費税額と地方消費税額を申告・納付します。

消費税額が800万円を超え4,800万円以下または800万円以下の場合は、3か月または6か月ごとの中間申告対象期間の末日の翌日から3か月以内に、それぞれ確定した直前課税期間の消費税額と地方消費税額を計算して申告・納付します。これらは直前課税期間の月数に応じて計算されます。

参考:法42①④⑥、令76③ 一、地法72の 87

地方公共団体の申告期限

Q. 地方公共団体の消費税及び地方消費税の確定申告期限について、特例はありますか。

A. 地方公共団体の特別会計を利用して行う事業では、消費税法上、各特別会計毎に独立した事業体として扱われ、それぞれに確定申告が必要です。申告期限に関しては、地方公営企業法に基づく企業を運営する地方公共団体は、課税期間の終了から3か月以内が期限です。それ以外の場合は、課税期間終了から6か月以内が申告期限とされています。

参考:令76②二、三

免税期間中の起債の償還元金に対する補助金の調整計算への影響

Q.免税期間における起債の償還元金に充てるための補助金を収入した場合、仕入控除税額の調整計算は必要ですか?

A.過去の免税事業者である期間に行った借入金の返済のために補助金を受領した場合、通常ではこれらは特定収入として仕入税額の調整計算の対象となります。しかし、免税事業者である期間に借入れた場合は、その期間には仕入控除税額の計算が行われていないため、課税事業者として補助金を収入しても、これらの補助金については特定収入に該当せず、調整計算の必要はありません。

参考:令和3年法律第60条4項、令和5年、基本通達16-2-2

過去に行われた起債等の返済に充てるために収入した他会計からの繰入金等の使途の特定方法

Q.過去の課税期間において行った起債等(借入金)の返済を行うための補助金、一般会計繰入金等を収入した場合の使途の特定はどのように行うのでしょうか。

A.使途の特定は以下の方法で行います。

1. 借入金等(起債時に、返済のための補助金等の交付が予定されていないもの)を財源として行った事業について、その借入金等の返済や償還のための補助金等が交付される場合、補助金等の交付要綱等にその旨が記載されている時は、その補助金等は該当事業に関する経費のみに使用される収入として使途を特定します。

2. 法令や交付要綱等、予算書、予算関係書類、決算書、決算関係書類において、借入金等の返済費や償還費のための補助金等とされているもの(1に該当するものを除く)については、補助金等の額に借入金等に関連する事業が行われた課税期間中の支出の中での課税仕入れ等の支出の額とその他の支出の額の割合を乗じて、課税仕入れ等の支出に対応する額とその他の支出に対応する額に按分する方法で使途を特定します。この場合、借入金等に関連する事業が行われた課税期間中の支出には、使途が特定された補助金等の使途としての支出及び借入金等の返済費や償還費は除外します。

参考:法60④ 、令75、 基通16-2-2

翌期に支出される負担金

Q. 公益社団法人で会館建設のために特別負担金を会員から徴収しましたが、会館の完成が翌課税期間になり、徴収した負担金を繰り越しました。この公益社団法人では収益事業として建物の賃貸を行っています。消費税法上、仕入控除税額の計算はどのようになるか、特別負担金が資産の譲渡等の対価に該当するかどうかの判定が困難で、資産の譲渡等の対価に該当しないとされる場合です。

A. 特別負担金は資産の譲渡等の対価に該当しないとされるもので、これによる収入は特定収入として取り扱われます。仕入控除税額の計算では、課税仕入れ等の税額の合計額から特定収入に係る課税仕入れ等の税額を控除することになります。会館の建設費用が翌課税期間に支出される場合でも、徴収した特別負担金については当課税期間における仕入控除税額の計算において調整されることになります。翌課税期間に会館完成時に建設費用を支払う場合でも、既に仕入控除税額の調整が行われているため、改めての調整は必要ありません。

参考:法60④、令75①

特定収入割合の計算における有価証券の譲渡

Q.学校法人で特定収入がある場合、特定収入割合が5%以下の時はその収入を考慮しなくても良いと聞きましたが、有価証券の譲渡の場合、特定収入割合の計算は、譲渡対価の5%相当額を対価として計算すれば良いのでしょうか?

A.いいえ、有価証券の譲渡においては、譲渡対価のうち5%相当額を使用するのは課税売上割合の計算上の例外規定であり、特定収入割合の計算ではそのような例外規定はありません。従って、有価証券の譲渡時には、譲渡対価全額をもとに特定収入割合の計算を行う必要があります。

参考:消費税法60条(4)、令48条(5)、75条(3)

借入金の利子に関する補助金の扱い

Q.公益財団法人で建物の建設資金を借りた際、地方公共団体から借入金の利子支払いと元本返済のための補助金が支給されます。借入金の元本返済に充てる補助金も含め、これらの補助金は特定収入として扱うべきでしょうか?

A.公益法人等が受け取る資産の譲渡以外の収入は、特定支出のためにのみ使用されるものであれば、特定収入には該当しません。補助金が非課税取引である借入金の利子支払い専用であると、地方公共団体が明確にしている場合、特定支出に該当し、従って特定収入には該当しないとされます。これは、借入金元本の返済のための補助金に関しても同様です。特定の寄附金が特定の活動に関連する支出のためだけに使われ、かつ期間を限定して募集され、他の資金とはっきりと区分して管理されている場合、これらの寄附金も特定収入には該当しません。

参考:法60④、令75①

公益法人における仕入税額控除

Q.公益財団法人が出版事業や宿泊施設経営を含む事業、補助金や寄附金の収入がある場合、消費税の取扱いはどうなりますか?

A.公益財団法人であっても、課税対象の仕入れを行った場合、その課税期間中に寄附金や補助金など商品やサービスの売上以外の特定の収入(特定収入)があれば、その収入に関連する消費税額を除いた額が仕入税額控除となります。特定収入の割合が全体の5%以下であれば、通常の計算方法で仕入控除税額を算出します。特定収入割合=特定収入÷(資産の譲渡等による収入+特定収入)。また、消費税簡易課税制度を選択して、基準期間の売上高が5000万円以下の公益法人は、特定収入に関わらず仕入控除税額の計算から特定収入に係る消費税額を控除する必要がありません。特定収入の割合が5%超の場合、仕入控除税額の計算方法は、仕入れに関わる消費税全額から特定収入に対応する額を差し引く方法や、特定収入に基づく個別の計算または調整割合による計算が含まれます。

参考:法37、 60④ 、令75③④ 

特定収入の意義

Q.公益社団法人の収入のうち、消費税法上、仕入控除税額を調整しなければならない特定収入とは何ですか?また、一般会費や会館建設特別積立金は特定収入に含まれますか?

A.特定収入とは、国や地方公共団体等の収入の中で、資産の譲渡などの対価以外で得た収入のことを指します。これには租税、補助金、寄附金、保険金、無償の負担金や会費、分担金などが含まれます。ただし、借入金や出資金、預貯金、貸付回収金など返済が前提の収入や、課税仕入れ以外の特定の支出に充てる収入は含まれません。この特定収入を得る場合、通常の仕入控除税額から特定収入に関連する仕入れ等の税額を差し引いた金額を課税仕入れ等の消費税額として仕入税額控除します。ただし、簡易課税制度の適用や特定収入の割合が5%以下の場合は、調整の必要はありません。公益社団法人の場合、一般会費は特定収入に該当します。また、会館建設特別積立金も、対価性が認められない共同的施設の利用に対する負担であるため、特定収入に該当します。 

参考:法60④、令75①