無申告加算税の税額とこの加算税が課されない場合

Q.無申告加算税の税額はどのように計算されるのですか。期限内申告書の提出がなくても、この加算税が課されないのはどのような場合ですか。

A.無申告加算税は、期限を過ぎてからの申告や決定が行われた場合、またはその後に修正申告書を提出したり更正があった場合に課されます。この税額は、申告、更正、または決定によって納付すべき税額に特定の割合を乗じて計算されます。割合は、調査の事前通知前に期限後の申告書や修正申告書を提出したり、調査による更正や決定が予見できなかった場合は5%、事前通知後に提出した場合は10%、それ以外のケースでは15%です。ただし、納付すべき税額が50万円を超える場合、その超える部分には5%が追加されます。

無申告加算税は課されないケースには、期限内申告書の提出が災害や通信障害などやむを得ない事情でできなかった場合、また、調査による決定や更正を予見して期限後申告書や修正申告書を提出した場合などがあります。また、法人が期限内申告書を提出する意思があったと認められ、かつ速やかに期限後申告書を提出している場合にも無申告加算税は課されません。これは誠実な納税者の適正な申告意欲を損なうおそれがあるためです。さらに、期限後申告書の提出後5年間内に無申告加算税や重加算税を課されたことがなく、納付すべき税額を法定納期限までに全額納付している場合も無申告加算税は課されません。

税務調査の事前通知後に修正申告した場合の過少申告加算税

Q.税務署から税務調査の通知があったため、調査対象事業年度の申告内容を見直していたところ、誤りが発見されましたので、税務調査の前に修正申告をしようと思います。この場合でも、過少申告加算税は課せられるでしょうか。

A.以前は、税務調査の事前通知を受けた後、その調査の前に修正申告をすることで過少申告加算税を避けることが可能でした。しかし、これを悪用するケースがあったため、2016年の税法改正により、税務調査に関する通知を受けた後に修正申告を行った場合、過少申告加算税が課されるようになりました。

具体的には、次の3点の通知を受けた後の修正申告は過少申告加算税の対象となります:

1. 調査の対象となる税目

2. 調査の対象となる期間

3. 実地の調査で質問検査等を行う旨、または実地の調査を行う旨の通知

この通知は、納税者が税務代理人(税理士や税理士法人)に対して通知を行うことに同意している場合、その代理人への通知も含みます。

修正申告書を提出した後、もし調査による更正を予知していなかった場合は、修正申告で納付するべき税額の5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)の過少申告加算税が課されます。この加算税率は、修正申告書の提出時期によって異なり、期限内申告税額と50万円を超える部分には5%が上乗せされます。

過少申告加算税が課税される場合とその税額

Q.法人税についての加算税には、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税がありますが、過少申告加算税はどのような場合に課税され、税額はどのように計算されるのですか。

A.過少申告加算税は、期限内に提出された法人税申告書で更正が必要と判断された場合や、更正が必要であることを予知して修正申告書を提出した場合に課されます。主に二つのケースで金額が決まります。一つ目は、増差税額(正しい税額と申告した税額の差額)の10%が加算税として課されます。二つ目は、この増差税額が元々の申告税額と50万円のどちらか高い額を超えた場合、その超える分に対してさらに5%が加えられます。

例えば、元々の申告税額が100万円で、増差税額が70万円なら過少申告加算税は、70万円の10%に相当する7万円です。しかし、増差税額が120万円の場合は、一つ目の計算で12万円に加え、120万円から100万円を超える部分(20万円)に5%を乗じた1万円を加算して、合計13万円が過少申告加算税として課せられます。

ただし、増差税額のもととなった事実について正当な理由がある場合や、修正申告前に期限内申告書による納付額を減少させる更正があった場合など、特定の条件下では過少申告加算税は課されません。また、税務調査の事前通知がある前に行われた修正申告についても、増差税額に対する過少申告加算税は課されないことが規定されています。電子帳簿保存法に基づく優良な電子帳簿に記録された申告漏れについては、加算税の割合が軽減される場合があります。そして、令和6年1月1日以降の法定申告期限からは、税務調査中に帳簿の提示を拒んだ場合や帳簿記載に不備がある場合に過少申告加算税の割合が増重されることがあります。

延滞税の計算方法

Q.法人税を法定納期限までに完納しなかったときに課税される延滞税は、どのように計算しますか。

A.法人税の延滞税は、法定納期限までに法人税を完全に納付していない場合、または定められた期限後に申告書や修正申告書を提出した場合、あるいは法人税に関する更正や決定を受けた場合に課されます。延滞税の計算方法は、法定納期限の翌日から税金を完納する日までの期間と、この間に納付されなかった税額に基づきます。その期間は、最初の2カ月を除く期間に年14.6%、最初の2カ月を含む期間には年73%の金利が適用されます。

法定納期限は、法人税の申告が必要な期限を指し、確定申告の場合は事業年度の終了日の翌日から2カ月後までです。納期限は、期限内に提出された申告書に記載された税額に対しては法定納期限であり、期限後に提出された申告書や更正によって通知された税額については、それぞれの提出日や通知を受けた翌日から1カ月後が納期限になります。

年間の延滞税の特別基準割合が設定され、この割合が年73%未満の場合、特定の割合を用いて延滞税が計算されます。2023年では、特別基準割合が年73%未満であるため、調整が行われます。

利子税が課される場合(法人税法による確定申告書の提出期限延長制度の適用を受けた場合など)は、その計算期間は延滞税の計算から除外されることに注意してください。

修正申告や更正によって増額された税額に対しては、特定の条件下で延滞税の計算から特定の期間を除外することができます。これは、更正や修正申告の提出が遅れれば遅れるほど、延滞税が増加する可能性があるためです。

例として、事業年度が2021年12月31日に終了し、期限内に法人税確定申告書を提出した法人が、2023年6月30日に更正を受け、更正による増差税額を2023年12月26日に納付した場合、延滞税の計算期間及び適用される割合は特定の方法で計算されます。

修正申告や増額更正が発生した際には、事前に提出された申告書や減額更正に基づき納付されるべき税額に対して特定の期間を延滞税の計算から差し引くことができます。ただし、不正行為による場合はこの限りではありません。

国税・地方税の課税標準及びその確定金額の端数計算

Q.法人税・地方法人税と事業税などの地方税の課税標準とその確定金額について、端数計算はどのようにするのでしょうか。

A.法人税などの国税では、課税標準とその確定金額(税額)の端数を次のように計算します。所得税法の源泉徴収に関しては、1円未満の端数は切り捨てられます。年末調整や退職所得に関連する所得税の確定金額も1円未満の端数は切り捨てです。税額を分割納付する場合、1円未満の端数は全て最初の納付期限に合算されます。一般的な国税(課税標準に関しては印紙税と動車重量税を除く)では、1,000円未満の端数は切り捨て(全額が1,000円未満の場合は全額切捨て)、確定金額については100円未満の端数を切り捨てします。附帯税については、10,000円未満の端数を切り捨て、加算税については特定の条件下で全額を切り捨てます。

地方税では基本的に国税と同じ扱いですが、延滞金や加算金の端数切り捨てと不徴収限度額に異なりがあります。地方税の課税標準と確定金額に関しては1,000円未満を切り捨て、全額がその金額未満の場合は全額を切り捨てます。延滞金や加算金では1,000円未満の端数を切り捨て、全額が2,000円未満または1,000円未満の場合はそれぞれ全額を切り捨てます。地方税の分割納付において、1,000円未満の端数がある場合や全額が1,000円未満の場合、その金額はすべて最初の納期限に当てられます。

確定申告書の提出期限の延長を受けた場合の利子税と延滞税

Q.法人税法第75条の2の規定により確定申告書の提出期限の1月間の延長の承認を受けている場合、後日修正申告または更正によって納付する法人税についても、1月分は利子税、1月を超える分は延滞税が課せられるか。

A.法人税法第75条の2に基づき、確定申告書の提出期限の1ヶ月の延長承認を受けた場合、事業年度終了後2ヶ月以内に税額を計算し見込み納付しなかった場合、確定申告による納付税額が見込み納付額より少ない時はその差額に対し利子税が課されます。利子税は、延長された提出期限までに納付した税金だけでなく、その後に納付する税金に対しても課されます。これは後日の修正申告や更正による納付の場合も同じで、1ヶ月分は利子税、それを超える分は延滞税として計算されます。例として、修正申告で200万円の法人税を納付すれば、利子税と延滞税が別々に計算され、利子税は1,400円(百円未満切り捨て)、延滞税は20,100円(百円未満切り捨て)となります。利子税は損金に算入可、延滞税は算入不可な点で異なり、外形標準課税制度では純支払利子の計算に利子税は含まれますが、延滞税は含まれません。

確定申告書の提出期限の延長の承認を受けている場合の利子税計算方法

Q.当社は、法人税法第75条の2の規定による確定申告書の提出期限の延長の承認を受けていますが、この場合利子税はどのように計算するのですか。

A.確定申告書の提出期限が延長された法人について、その延長された期間に応じて課される利子税は、通常年7.3%の割合で計算されます。しかし、特定の条件に基づく2つの特例があり、これらにより利子税の計算方法が変わることがあります。一つ目の特例は、特定の基準割合に基づく年間の利子税特例基準割合が73%未満である場合に適用されるもので、実際の利子税の割合はこの特例基準割合になります。二つ目の特例は、基準割引率が特定の期間に55%を超えた場合に適用され、この期間中は利子税の割合を特定の計算式によって求めます。しかし、この二つ目の特例は基準割引率が55%以下の場合は適用されないので、現在は適用されていません。重要な点として、確定申告書の提出前でも、事業年度終了後2ヶ月以内に正しい税額を納付すれば、利子税は発生しないことも覚えておくと良いでしょう。

退職年金積立金と清算所得に対する法人税の課税標準及び税率

Q.退職年金積立金に対する法人税と清算所得に対する法人税の課税標準及び税率はどう規定されていますか。

A.退職年金積立金に対しましては、退職年金業務を行う法人に対して、その事業年度ごとの退職年金等の積立金総額に基づいて税金が課されることになっています。税率は1%で、これを積立金の額に乗じて税額を計算します。しかしながら、平成11年4月1日から令和8年3月31日までの間にスタートする事業年度に関しては、この税金は徴収されません。一方、清算所得に関しては、平成22年度の税法改正で清算所得の課税が廃止されました。平成22年10月1日以降に解散する国内の法人は、解散後も通常通りの事業年度ごとの所得に対して法人税が課されます。このため、平成22年9月30日以前に解散した法人の清算所得に対する法人税は、残余財産から資本金と利益積立金を差し引いた金額を基に計算されます。税率は法人の種類と解散した日によって異なり、具体的な税率は表としてまとめられています。また、特定の条件下では解散した日に適用される税率が異なる場合があります。さらに、清算中に土地を売却した際の利益などに対する特別な法人税や使途不明金に関連する税金が加算されることがあります。

特定同族会社の特別税率及び使途秘匿金の支出額に対する法人税率

Q.事業年度の所得に対する法人税率のうち、特定同族会社の特別税率と使途秘匿金の支出額に対する法人税の税率は、どのように規定されていますか。

A.特定同族会社の特別税率と使途秘匿金の支出額に対する法人税の税率には、以下のような規定があります。

1. 特定同族会社の特別税率は、特定同族会社の留保金額が留保控除額を超えた場合、超える部分について下記の税率が適用されます。年3,000万円以下は10%、年3,000万円超1億円以下は15%、年1億円超は20%となります。これらの税率を乗じて得られた金額の合計が、事業年度の所得に対する法人税に加算されます。

2. 使途秘匿金の支出額に対する法人税は、企業が平成6年4月1日以降に使途秘匿金の支出をした場合、その金額に40%の税率を適用し、得られた金額を所得に対する法人税に加算します。この税率は、事業年度の所得に対する法人税額または清算所得に対する法人税額に加算されます。

注記:土地や短期所有に関する土地の売却等で得た利益に対する特別な法人税の制度がありますが、平成10年1月1日から令和8年3月31日までの間、その適用は停止されています。土地の売却等の場合は5%、短期所有に関する土地の売却等は10%の税率が適用される制度です。

各事業年度の所得の金額に対する法人税の税率

Q.法人の各事業年度の所得の金額に対する法人税の税率は、どのように定められていますか。

A.法人税は主に以下の三つの部分で構成されています。まず(1)「各事業年度の所得に対する法人税」、次に(2)「退職年金積立金に対する法人税」と(3)「清算所得に対する法人税」ですが、(3)は2010年9月30日以前に解散した法人に適用されます。これらの税率については、それぞれの内容を元に説明されています。法人税法の改正により、2010年10月1日以降に解散する法人は、清算所得ではなく各事業年度の所得に対する法人税が課されるようになりました。これに伴い、解散前における清算所得に対する法人税は引き続き適用されます。「各事業年度の所得に対する法人税」にはいくつかの箇条があり、その中で「各事業年度の所得の金額に対する法人税の税率」と特定の条件を満たす法人に対する特別の税率や使途秘匿金の支出額に対する税率が定められていますが、ここでは各事業年度の所得の金額に対する法人税の税率に焦点を当てて説明しています。この税率は法人の種類によって異なり、例えば平成30年4月1日から令和7年3月31日までに開始する事業年度において、普通法人を含む一般社団法人や人格のない社団等の税率は以下の通りです。普通法人のうち中小法人等以外の法人や相互会社の税率は23.2%、普通法人のうち中小法人等や一般社団法人等の年800万円以下の所得の金額に対する税率は15%、年800万円超の金額については23.2%です。公益法人等や協同組合等、特定の医療法人についても細かく税率が定められており、これらの税率は年800万円以下と年800万円超で異なります。また、措置法や特定の事業者に適用される特例もあり、税率が15%や19%となるケースも含まれます。