重要文化財として指定された土地等についての国等の買取り

Q.自宅の庭園にある約400年前の茶室が重要文化財に指定され、桃山時代の建築美を伝える貴重なものであるとして国に買い取られることになりました。この場合、課税の特例はありますか?

A.重要文化財として指定された家屋及びその敷地に対しては、課税に関して特例が設けられています。これは土地と土地以外の財産で内容が異なります。具体的には、土地の譲渡所得に対しては2,000万円の特別控除が可能です。そして、土地以外の財産、例えば建物などについては、所得税が課税されません。あなたの場合、茶室単体を譲渡した場合は課税されませんが、茶室と共にその敷地を譲渡した場合は、敷地に相当する譲渡所得に対して2,000万円の特別控除を適用できます。ただし、その後も確定申告が必要になる場合、この特別控除を受ける旨を記載し、国がその土地を買い取ったことを証明する書類を添付する必要があります。

特定土地区画整理事業の特別控除と地上建物の移転補償金による特定の事業用資産の買換え

Q.私は、K市が施行する土地区画整理事業の区域内で店舗を所有し営業していますが、近く、K市の土地買取募集に応じて土地を売却したいと考えています。K市の担当者の説明では、土地の対価については、2,000万円の特別控除が適用されますが、店舗の移転補償金は、この特別控除の対象とならないそうです。私は、店舗が老朽化しているため、移転せずに取り壊し、移転補償金で貸家を新築するつもりです。私の場合、土地の対価については特別控除の特例を、店舗の移転補償金については買換えの特例を適用することができますか。

A.店舗及び土地の補償金については、以下のように租税特別措置法に基づく特例の適用が可能です。土地に関しては租税特別措置法第34条に基づき2,000万円の特別控除を適用し、建物に関しては租税特別措置法第37条に基づく特例を適用することができます。また、土地と建物を一緒に租税特別措置法第37条の適用を受けることも可能です。土地区画整理事業等で土地等を譲渡した際に受けられる特別控除は、土地やその上にある権利(地上権、借地権、耕作権など)の譲渡所得に適用されますが、建物や構築物の譲渡所得には適用されません。建物の移転補償金に関しては、通常一時所得として扱われますが、建物を取り壊した場合には、譲渡の対価として扱うことも選択できます。土地区画整理事業における用地買収では、強制収用権を背景にした場合と異なり、建物を取り壊した場合の移転補償金も譲渡の対価として扱うことが可能です。

特定事業の用地買収等の場合の課税の特例

Q.私はK市が土地区画整理事業として行う公共施設の整備改善等のために、土地を譲渡しました。この場合、租税特別措置法第34条に規定する2,000万円控除の特例の適用があると聞きましたが本当でしょうか。

A.K市によって買い取られた土地に対して、租税特別措置法第35条の対象外で、さらに同法第36条の2、第36条の5、第37条、または第37条の4の特例を受けない場合に限り、2,000万円の特別控除特例が適用されます。国や地方公共団体、都市再生機構などが土地区画整理事業を通じて公共施設の整備や宅地造成のために土地を購入することがあります。これらの土地が特定の事業のために購入された場合、2,000万円の特別控除が可能ですが、居住用財産を譲渡して3,000万円の特別控除を受ける土地はこの特例の対象外です。また、特定の居住用財産の買換えや特定の事業用資産の買換え・交換に関する特例を利用する場合も、2,000万円の特別控除の特例は適用されません。なお、同一事業のために複数年にわたって土地を譲渡した場合でも、最初の譲渡を除くその他の譲渡にはこの特例は適用されないことになっています。

譲渡所得等の課税の特例

Q.私はA市の市街地で紳士服の販売をしています。このほど、表道路において市営地下鉄の工事が行われるため、その間他所で仮営業所を設置することになり、事業施行者より仮営業所設置補償金として1,500万円を受け取りました。しかしこれまでから店舗の増設計画があり、その補償金で店舗を新築しました。この新築代金を仮営業所設置補償金から差し引くことはできますか?

A.店舗の新築代金を仮営業所設置補償金から差し引くことはできません。そのため、受け取った仮営業所設置補償金は事業所得の計算上総収入金額に算入されます。補償金にはいくつかの種類があり、対価補償金、収益補償金、経費補償金、移転補償金、その他対価補償金の実質を有しない補償金があります。代替資産の取得が可能なのは対価補償金のみです。受け取った仮営業所設置補償金は仮営業所の設置費用に対する補償であり、これは経費補償金にあたるため、新築代金の差し引きは認められません。

立木補償金をもってアパートを取得した場合

Q.私は山林の輪伐経営者ですが、収用等に係る立木補償金をもってアパートを取得した場合、そのアパートは、租税特別措置法施行令第22条第6項の規定によりその立木の代替資産としての適用はあるのでしょうか。

A.立木は棚卸資産等に分類されるため、立木の補償金を受け取った場合に代替資産の特例を適用することはできません。山林とアパートは性質が異なる資産であるため、アパートが特定の条件、具体的には事業用資産としての要件を満たす場合にのみ代替資産の特例が適用されます。ただし、輪伐業における立木は、事業に使われている固定資産とは見なされませんので、今回のケースでは代替資産の特例の適用はありません。

譲渡所得等の課税の特例

Q.現に賃貸中の土地を起業者が買取る際、立中学校の敷地内にある賃貸借契約により賃借している土地があり、契約期間が切れて地主から買取りまたは明渡しの申出があった場合、この土地の譲渡について地主は収用等の場合の課税の特例の適用を受けることができるのか。

A.地主がその土地を町に売却する際、地主と町との間で賃貸借契約を借地借家法等の規定により更新できない等の特定の事情が存在する場合のみ、地主は土地の譲渡について収用等の場合の課税の特例を受けることができます。具体的には、現に賃貸中の土地に関して契約更新が借地借家法の規定により不可能な事情が存在し、地主が契約更新を拒む場合に限り、土地収用法に基づく収用権が認められる事情があるとき収用等の場合の課税の特例が適用されます。

残地買収の対価

Q.市の都市計画街路事業のために私の住宅を移転しなければならなくなり、その過程で私の宅地の一部が買収されます。残された土地は三角地であり、建物の敷地としては利用できない状態です。市の担当者からは、この残地も買収する予定であると聞きましたが、この残地買収について収用の場合の課税の特例の適用は可能ですか?

A.残された土地だけでは元のように使うことができないため、残地の売却に際しても収用等に関する課税の特例を受けることが可能です。法律には、同じ土地所有者の土地の一部が収用され、残された土地を以前の目的で使用することが非常に難しくなった場合、土地所有者はその土地の全ての収用を要求できるとあります。市の用地買収担当者が残地を買取ることを提案しているのは、おそらくこの法的な基準に基づいています。しかし、残地を以前の目的で少し不便ながらも使うことができる場合は、特例の対象とはならないので注意が必要です。

借家人補償金の取扱い

Q.この借家が収用事業にかかり、立ち退くことになった際に受け取る借家人補償金は課税されるのでしょうか。

A.あなたが受け取る借家人補償金は、「対価補償金」とみなされます。この補償金には特別な税制措置があります。例えば、5,000万円までの特別控除を利用することができます。また、補償金を新たな賃貸住宅の初期費用(権利金など)に使う場合、その金額を「代替資産取得費用」として、代替資産取得に関する特別な税制措置を受けられます。公共事業で立ち退くことになった人が受け取る補償金は、転居するための実際の費用を反映したもので、その費用の大小によって異なります。建物の賃借に必要な権利金や礼金などの費用が補償されることがありますし、新しい賃貸物件の家賃と前の家賃との差額が補償される場合もあります。補償金はその性質によって対価補償金としての取扱いがあり、特定の条件下で特別な税制措置を受けられることがあります。さらに、動産移転費用補償金や仮住居費用補償金などが支給される場合、実際に支出した費用を差し引いた後の残額があれば、その部分が一時所得として課税されます。借家を事業用途で利用していた場合は、同等の用途の土地や建物を取得してそれを代替資産とすることも可能です。

建物移転補償金により新築する家屋

Q.私の土地が道路用地として買い取られることになり、その上にある建物を移転させなければなりません。この建物の移転に要する費用として補償金の交付を受けていますが、建物は移転させずに取り壊し、その補償金で新しく建物を建築したい場合、受け取った補償金についての課税関係はどのようになるのでしょうか。

A.通常、建物移転補償金は一時所得として課税されます。しかし、補償金で建物を取り壊す場合、その補償金は対価補償金とみなされ、譲渡所得として課税されます。収用等に伴う補償金は、目的に従って使用された場合、特定の額までは非課税です。しかし、目的外使用や超過分は一時所得として課税されます。建物移転補償金で建物を取り壊した場合は、譲渡所得と見なされ、替えた資産によっては税の特例が適用可能です。ただし、5,000万円の特別控除の特例や収用に伴い代替資産を取得した場合の特例の適用は選択になり、両方を同時に適用することはできません。

譲渡所得等の課税の特例

Q. 私は駅前商店街でタバコ小売商をしており、4人家族で暮らしていますが、母は寝たきりで、私が世話をしています。最近、駅前商店街の再開発計画が具体化し、新しいビルの1階に店舗、4階に住居をもらえることになりましたが、店と家事をこなしながらの生活が難しくなり困っています。再開発を受けずに金銭補償を受けたいのですが、税金の面でどのような扱いになりますか。

A. お母様のご状態等の事情から、再開発ビルでの生活やビジネスが難しいと認められる場合、再開発ビルへの入居を希望せず金銭補償を選択することが可能です。その金銭補償に対して、特定の手続きを踏んだ上で、税金に関する特別な扱いを適用できます。具体的には、家族の事情などがある場合やその他特定の条件を満たす場合に、事業実施者の承認を得て課税の特例を受けることができます。