譲渡所得等の課税の特例

Q.私は300平方メートルの土地とその上に存在する床面積120平方メートルの居住用家屋を所有していましたが、ある事情でその土地のうち150平方メートルを売るために建物の一部を取り壊し、残りの建物に居住することになりました。この場合、売った150平方メートルの敷地の上に一部家屋が建っていましたので、3,000万円の特別控除の特例の適用を受けることができるかどうか知りたいです。

A.今回売った土地についての譲渡所得は、3,000万円の特別控除の特例を受けることができません。通常、居住している家やその土地を売る場合は、3,000万円控除の特例が適用されます。しかし、土地だけを売る場合でも、家が災害でなくなったり、土地をより高く売るために家を壊した場合は、特定の条件を満たせば特例が適用されます。しかし、あなたのケースでは、壊した家屋の部分以外に住み続け、家の大きさは小さくなったものの、まだ独立した居住用の家として機能しているため、特例が適用される居住用財産の売り渡しには当たらないとされています。

譲渡所得等の課税の特例

Q.私は、農用地区域内の農地を不動産業者の仲介により知人Aに譲渡することになりました。農業委員会のあっせんにより譲渡した場合の800万円の特別控除が適用されることを知り、Aの了解を得て農業委員会であっせんを依頼しました。この場合も、農地保有の合理化等のために農地を譲渡した場合の800万円特別控除の特例を受けることはできますか?

A.あなたのケースでは、農地を譲渡する際に800万円の特別控除の特例を利用することはできません。農業振興地域の整備に関する法律では、農業委員会が農用地区域内の農地に関して、農地保有の合理化のために指定された方法であっせんを行うことになっています。このあっせんによる譲渡は、特定の要件に基づいて行われ、譲渡された際には特定の記録に記載されます。その結果、この方法による譲渡には農業委員会を通してのみ認められる特例があり、800万円の特別控除が可能になります。しかし、あなたの場合、農業委員会を通じたあっせんの前に不動産業者を通して売買契約が行われてしまったため、法律で定められた「あっせん」による譲渡とはみなされません。さらに、あっせん価格以外で取引が行われた場合にも、この特例は適用されません。

譲渡所得等の課税の特例

Q.私は、A市が行う住宅建設事業のために資材置場として賃貸していた土地を譲渡することになりました。しかし、貸付先との賃貸借契約の関係上、土地の半分は本年中に譲渡し、残りの部分は翌年に譲渡したいと考えています。この場合、本年分と翌年分の譲渡所得について1,500万円の特別控除の特例は適用できるでしょうか。

A.地方公共団体が実施する住宅建設や宅地造成の目的で、所有している土地を売却した場合、売却時に得られる利益から1,500万円の特別控除を受けることが可能です。しかし、この控除は同一事業に関して土地を分割して複数年にわたり売却する場合、最初の年に行われた売却に対してのみ適用されます。つまり、ご質問のケースでは、本年中に売却する分には1,500万円の控除が適用されますが、翌年に売却する分には適用されません。

譲渡所得等の課税の特例

Q.私の所有する宅地が、特定中心市街地の整備のため公園整備の目的で、Bまちづくり公社に買い取られることになりました。この場合、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の特別控除を受けることができるでしょうか?B公社はA市が出資する公益法人であり、A市長の指定を受けています。

A.はい、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合、1,500万円の特別控除を受けることができます。この特例は、地方公共団体や一定の中心市街地整備推進機構が、「中心市街地の活性化に関する法律」に基づく認定基本計画に沿って行う特定事業を目的として、認定中心市街地内の土地等を購入する場合に適用されます。該当する中心市街地整備推進機構は、地方公共団体からの議決権または資金提供が半数以上であり、解散時に残余財産が地方公共団体や同様の目的を持つ他の公益法人に帰属することが定められている公益社団法人や公益財団法人です。「一定の事業」とは、道路、公園、緑地などの公共施設や公用施設の整備、市街地開発、都市再開発法に基づく再開発事業など、認定中心市街地内で行われる事業を指します。

公有地の拡大の推進に関する法律による買取りと借地権

Q.地主であるAさんが、借地人である私の同意を得て公有地の拡大の推進に関する法律第5条の規定によりB市に土地を買い取ってもらうことになりましたが、借地権に関しては買取の対象とならないとされ、土地の賃貸借を解除してB市に買い取られました。その際、Aさんからは借地権相当分の譲渡代金を受け取りました。Aさんの場合は、1,500万円特別控除の特例が適用されると聞きましたが、私の場合も同じ扱いとなるでしょうか。

A.借地権の譲渡に関しては、公有地の拡大の推進に関する法律(公拡法)の申出や届出の対象とはならず、1,500万円特別控除の特例の適用を受けることはできません。公拡法では、都市の発展と整備を促進するため、特定の土地を先買いする制度が設けられています。この先買いは、都市計画施設の区域内や都市計画区域内にある一定面積以上の土地に対し、地主からの申出があった土地を対象としています。しかし、この制度は土地の所有者に関するものであり、借地権は対象外です。土地が公共団体に買い取られる場合、1,500万円特別控除の特例があるものの、これは土地の届出や申出に基づく協議によって土地が買い取られた場合に限られ、借地権の譲渡には適用されません。

譲渡所得等の課税の特例

Q.私がA市内に所有する貸家とその敷地が市営住宅用地としてA市に買い取られることになりました。市営住宅の規模は30戸ということで収用等の場合の課税の特例の適用はないとのことですが、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円の特別控除が認められるということを聞いています。買い取られる金額は、土地が1,200万円、建物が800万円です。この場合、土地、建物の両方から1,500万円特別控除の特例の適用を受けることができるのでしょうか。

A.土地を譲渡した際には、1,500万円の特別控除を受けることができますが、建物に関してはこの特別控除の対象外になります。これは「特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円の特別控除」、「特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円の特別控除」、及び「農地保有合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円の特別控除」など、いくつかの特別控除がありますが、これらはすべて土地の譲渡に限定されているためです。

収用の対償地を譲渡し、対価の一部を被収用者より受領する場合

Q.私の農地が収用の対償に充てられ、1,500万円で買い取られることになりました。農地は公共事業の施行者ではなく、収用により資産を譲渡した者に引き渡されます。しかし、対価については、事業用地の対価が1,000万円で、事業施行者から1,000万円を受け取り、残りの500万円は直接受け取ります。この場合、1,500万円特別控除の特例の適用はありますか?また、全額に対して適用されるのでしょうか?

A.1,500万円の譲渡収入金額のうち1,000万円は、収用対象の事業用地の補償金の範囲内であるため、1,500万円特別控除の対象となります。しかし、残っている500万円は収用の対償に充てられるものではないため、1,500万円特別控除の適用対象から外れます。具体的には、個人が所有する土地が収用のため買い取られた場合、1,500万円の特別控除が可能ですが、その土地を直接譲渡した場合はこの特例の適用を受けられません。ただし、農地を収用の対償地として買い取られた場合、公共事業の施行者がその農地を直接取得できない状況で三者間で契約を結んだ場合には、特別控除が適用されます。この特別控除が適用されるのは、公共事業の施行者から直接支払われる金額に限ります。また、対償地の価額が収用補償金の範囲内であっても、事業施行者から金銭が支払われた後は特例の適用がなくなるため注意が必要です。

建物の取壊し補償の対償に充てるための土地等の買取り

Q. A市が施行している小学校の拡張工事のため、被買収者Bから土地買収金1,000万円と建物の移転補償金1,500万円の対償として代替地の要求があり、A市から宅地を対償地として買い取りたい意向が示されました。この宅地を2,500万円で譲渡した場合、特定住宅地造成事業等のための譲渡として1,500万円特別控除の特例の適用を受けることができるか?なお、この宅地は昭和44年に500万円で取得したものです。

A. あなたが譲渡した宅地のうち、1,000万円に相当する部分は収用対償地(小学校拡張事業などのための土地買収)に関連して特定住宅地造成事業等のための譲渡として1,500万円特別控除の特例を受けることができます。しかし、建物の移転補償金に相当する1,500万円の部分は、この特例の対象外となり、通常の譲渡として扱われます。この特例は、収用事業の対償に充てるための土地買取に限定されており、A市が行う建物移転の補償は特例の対象になりません。したがって、宅地の売却から得られる収入のうち1,000万円は特例適用後実質的に税金の対象とならないが、残りの1,500万円は通常の長期譲渡所得として1,200万円が課税対象になります。

国が買収する土地の対償地に充てるための代行買収

Q.国土交通省が行う国道改修事業でAの土地が買収されることになりましたが、Aは対償地を要求しました。そこで、事業施行地のB県に対償用地として私の土地の買収を依頼しました。B県は地方公共団体であり、事業施行者やその代わりをする団体ではないため、1,500万円の控除の適用が受けられないと聞きましたが、これは正しいですか?

A.いいえ、B県があなたの土地を代行買収する地方公共団体であるため、1,500万円の特別控除の適用を受けることができます。代行買収は地方公共団体やそれによって設立された団体、さらには独立行政法人などによって行われます。B県は国に代わって土地を購入するため、国の関連機関はB県に代行買収を依頼し、必要な手続きを行う必要があります。

 譲渡所得等の課税の特例

Q.史跡として仮指定された土地がA市に買い取られました。この場合、特定土地区画整理事業等のための土地等の譲渡として2,000万円特別控除の特例が適用されますか?

A.仮指定された史跡等の土地が国や地方公共団体等に買い取られた場合でも、2,000万円特別控除の適用は受けられません。そのため、一般の売買としての課税が適用されます。文化財保護法によると、史跡、名勝、天然記念物としての仮指定の効力は2年間のみであり、その効力は永久的ではありません。本指定された土地が国や地方公共団体に買い取られた場合のみ、2,000万円の特別控除を受けることができます。この特例は、国または地方公共団体、特定の文化財保存活用支援団体等に買い取られる特定の場合に限られています。