特例適用年分の選択

Q.令和3年に7年間所有していた居宅を譲渡し、新しい居宅を新築して入居した後、令和5年にその居宅を譲渡しました。令和3年に3000万円の特別控除を受けていますが、令和5年の譲渡でこの特別控除を受けることはできますか?

A.令和3年分で3000万円の特別控除の特例を既に受けているため、令和5年分の譲渡で再度この特別控除の特例を受けることはできません。令和3年分の申告は適法に行われており、これを撤回することはできないからです。特定の居住用財産を譲渡した際に、その前年または前々年に居住用財産の譲渡所得の特別控除や特定の居住用財産の取り扱いに関する特例などを受けた場合、3,000万円の特別控除の特例は受けられなくなります。

国外の居住用財産の譲渡

Q.仕事のため外国に15年間居住していたが、本年日本に戻ることとなり、戻る際に居住していた外国の居住用財産を売却した場合、3,000万円特別控除の特例を受けることができますか?

A.はい、外国にある居住用財産を売却した場合でも、3,000万円の特別控除の特例を受けることができます。この特例は居住用財産が国内に限らず、国外にある財産についても適用されます。ただし、特例を受けるためには、その財産に居住していたことを証明する書類を提出する必要があります。しかし、軽減税率の特例は日本国内の居住用財産に限られるので、今回のケースでは適用されません。

譲渡所得等の課税の特例

Q.居住用家屋が老朽化したため、これを取り壊しその跡地に家屋を新築しました。この間住居がないため、以前他人に貸し付けていた家屋で空屋となっていたものに、新しい家屋が完成するまでの間約3か月ほど入居しました。新築家屋完成後、直ちにその家屋に入居したので不要となった以前貸し付けていた居住用家屋を譲渡しましたが、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の適用が受けられるでしょうか。

A.特例の適用を受けるためには、譲渡された家屋が生活の本拠とされていたかどうかが重要です。このケースでは、譲渡された家屋は新しい居住用家屋の建築期間中のみ一時的に居住のために使われただけです。従って、この家屋は特例の適用対象となる居住用財産には含まれません。このような判定においては、家屋が生活の本拠であったか、または以下のような理由で入居された場合は特例の対象外とされます:1) 特例の適用を受けるためだけに入居した家屋、2) 居住用家屋の新築期間中の仮住まいである家屋、3) 一時的な目的で入居した家屋、4) 主に趣味や娯楽、または保養のために所有する別荘など。

居住期間と特例適用との関係

Q.私の所有するA市にある土地および建物を、勤務の都合で長らく空き家にしていましたが、この度転勤により数か月間居住しました。その後、事情により他人に譲渡することになりました。知人によると、「居住用財産を譲渡した場合の課税の特例」を受けるには、相当期間居住している必要があるらしいですが、居住期間に制限はあるのでしょうか。

A.あなたがA市にある建物を仮の住まいではなく、実際の生活の中心地として使用していれば、居住期間が短かったとしても、その財産は「居住用財産を譲渡した場合の課税の特例」の対象になります。つまり、その建物やその地があなたや家族の主な生活の場として使われていたかどうかが大切で、居住していた期間の長さは直接的には重要ではありません。

譲渡所得等の課税の特例

Q.建築延面積130m^2の居住用家屋とその敷地300m^2を所有しているが、この度土地建物を一括して譲渡することになりました。敷地のうち、家屋の敷地以外の部分で、庭や家庭用菜園として利用している部分も、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除の特例を適用できるかどうか。

A.庭や家庭用菜園部分も、居住用財産として譲渡した際の3,000万円の控除特例の対象になります。土地が居住用財産として扱われるかどうかは、その土地が社会一般の見解で居住用家屋と一緒に利用されているかによります。そのため、家屋の敷地だけでなく、家屋と一体として利用される庭や駐車場なども一緒に譲渡される場合、特例の適用があります。

譲渡所得等の課税の特例

Q.私の居宅兼店舗の敷地がA市の小学校用地として買い取られ、敷地の対価補償金として7,000万円、家屋の移転補償金として3,000万円、計1億円を受領しました。なお、居宅と店舗の割合は、居宅40%、店舗60%です。私は家屋を取り壊し、別の所有地にアパートを6,000万円で建築して賃貸するつもりですが、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例と居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の両方の適用を受けることができますか。

A.店舗に相当する部分6,000万円(1億円×60%)については、アパートを代替資産として「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」を適用できます。一方、居住用に相当する部分の4,000万円(1億円×40%)は、「居住用財産を譲渡した場合の課税の特例」を受けることが可能です。 これは、資産が居住用部分と非居住用部分から成る場合、非居住用部分に相当する譲渡で収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例を受けることができ、この特例の適用には特定の条件下で資産を代替資産とする必要があります。

居住用家屋の売買と敷地の交換における税制特例の適用可能性

Q.私は居住用家屋を友人に売却し、同時にその敷地を友人の父が所有する宅地と等価交換しました。この場合、友人に売却した居住用家屋については、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例と軽減税率の特例を適用し、かつ、友人の父と交換した敷地については、固定資産の交換の特例を適用することはできますか?

A.ご質問にあるケースでは、居住用家屋の売却に関してのみ、3,000万円の特別渧除や軽減税率の特例を受けることができます。しかし、同時に敷地を交換する場合、その敷地の取引に固定資産の交換の特例を適用するだけでは不十分です。このような取引では、居住用家屋と敷地の両方について特別控除や軽減税率の特例を適用するか、または両方に適用しないで、土地の交換のみに固定資産の交換の特例を適用するか選択する必要があります。居住用家屋とその敷地を一緒に譲渡する場合にのみ、特別控除や軽減税率の特例を受けることができるため、別々に特例を適用することはできません。なお、家屋と敷地の譲渡先が異なっても、これらの特例の適用は可能です。

居住用家屋の引き家による敷地の一部譲渡

Q.娘の結婚費用に充てるため、現在居住している家屋の敷地の一部を譲渡しようと思っています。この家屋を別の位置に移して、敷地の一部を譲渡した場合、居住用財産を譲渡した場合の課税の特例の適用を受けることが可能でしょうか。

A.居住している家屋の敷地の一部を譲渡する際、家屋とその敷地の一部を同時に譲渡する場合は、課税の特例の適用を受けることができます。しかし、家屋を譲渡せずにその敷地の一部だけを譲渡する場合、例えば庭の一部を譲渡する場合や、家屋を別の場所に移してその敷地を譲渡する場合は、課税の特例の適用は受けられません。

居住用家屋の取り壊しによる敷地の一部譲渡

Q.現在所有している老朽化した居住用家屋(床面積100平方メートル)の敷地(300平方メートル)の3分の1(100平方メートル)を売却して、その代金を新築住宅の建設資金にする予定です。売却予定の土地は現在の居住用家屋の大部分にかかっているため、家屋を取り壊してから譲渡する予定です。この場合、居住用財産を譲渡した際の3000万円控除の特例を受けることは可能ですか?また、残った敷地には居住用住宅を建設する予定です。

A.はい、居住用家屋の敷地の一部を譲渡するこのケースであっても、居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除の特例を受けることができます。具体的には、居住用の目的で使用されていた家を取り壊し、その後敷地のみを譲渡する場合でも、条件を満たせば特例が適用されます。あなたが譲渡を予定している土地は、以前居住していた家の敷地と認められ、家を取り壊さなければならない状態であったため、敷地の一部を譲渡することによって居住用財産を譲渡した場合の特例が適用されます。ただし、以下の条件を全て満たす必要があります。

1. 家を取り壊した日から1年以内に敷地の譲渡契約が結ばれ、かつ家を居住用途で使わなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されていること。

2. 家を取り壊した後から譲渡契約の締結日まで、その敷地を賃貸や他の目的で利用していないこと。

居住用財産の譲渡先の範囲

Q.私は住宅の買換えのため、現在の居宅を売却し、その代金を資金に充てたいと考えています。このことを弟に話したところ、弟が自分に売ってほしいと言ってきました。弟は家族と共に社宅に住んでいますが、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例を、弟に売却した場合も適用できるでしょうか?

A.はい、弟に売却した場合でも、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例を適用することができます。この特例は、譲渡先が配偶者や直系血族、その他特別な関係のある者以外である必要があります。特別な関係のある者には、配偶者や直系血族、同居している親族、内縁関係にあり生計を共にしている人とその親族、その他金銭的な支援を受けて生計を維持している者やその親族などが含まれます。また、その人が経済的に支えている会社や法人とも特別な関係があるとされます。これらの特別な関係にあるかどうかは、財産を譲渡した時点で判断されます。