買換資産の取得時期

Q.私は、現在の住宅を売却して、もっと広い住宅への買換えを計画し、令和5年7月に住宅を売却しました。買換資産としての土地は令和5年4月に取得していますが、住宅は令和6年2月完成の予定です。この4月に先行取得した土地は、特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用上、買換資産に該当しますか。

A.買換えを行った資産が売却された年の同年または前年に早期に取得されていた場合でも、その買換資産は取得期限内に取得したと見なされ、特例の適用が受けられる対象となります。つまり、売却した資産を買換えの為に取得する新しい資産は、その資産を売った年の前年、同年、または次の年に取得(または建設を開始することも含む)する必要があり、こうした条件を満たす場合に限り特例の適用が可能です。ただし、特定の要件を満たしていない場合は、この特例は適用されません。

店舗併用住宅の場合の買換資産の面積要件

Q.長年住んでいた家とその敷地を売却し、新たに店舗併用住宅を取得する場合、「特定の居住用財産の買換えの特例」を受けるためには、店舗併用住宅の居住部分の床面積が50%以上であり、かつ敷地の面積が500平方メートル以下である必要がありますが、これらの条件の判定はどのように行いますか?

A.店舗併用住宅に対する「特定の居住用財産の買換えの特例」を適用する場合、家屋の居住用部分の床面積は、その家屋全体の床面積に占める居住用部分の床面積比率によって判断されます。土地に関しては、その全体の面積で判断します。買換えを対象とする家屋が店舗兼住宅である場合、居住用部分の床面積は所定の方法に従って計算され、土地の面積要件も店舗兼住宅が立つ土地全体の面積を基に判定されます。居住用部分の床面積が家屋全体の床面積のほぼ90%以上であれば、その家屋は全体が居住用とみなされ、「特定の居住用財産の買換えの特例」の適用が可能ですが、この場合も家屋の全体の床面積を基に面積要件の判断が行われます。

共有で取得した場合の買換資産の面積要件

Q.共有による家屋とその敷地の購入後、特定居住用財産の買換えに関する長期譲渡所得の課税特例の適用を受けるための面積要件について教えてください。

A.共有で購入した家屋や敷地の場合、買換資産の面積要件を判断する際には、家屋全体の床面積や土地全体の面積を基準にします。具体的には、買換家屋の居住用部分の床面積は50平方メートル以上である必要があり、また買換家屋の敷地面積は500平方メートル以下である必要があります。この要件は、家屋が独立部分を区分所有する場合にも同様に適用されます。もし、共有で取得した土地全体として、これらの面積要件を満たしていない場合は、敷地の譲渡について特例の適用を受けることはできませんが、家屋については特例の適用を受けることが可能です。

譲渡資産として居住用に供されていた土地等の贈与

Q.令和5年5月に現在住んでいる自宅を取り壊し、敷地を分割して、その一部を令和5年12月に9000万円で売却し、残りの土地(時価3000万円)を息子に贈与したいと考えています。本年の確定申告で特定の居住用財産の買換え特例を適用したいのですが、可能でしょうか?

A.あなたが息子さんに贈与する予定の土地は、以前あなたが住んでいた家と一体として使用されていた土地です。そのため、贈与時の市場価値(時価)が譲渡価格として考えられ、売却部分と合わせて1億円を超えることになります。この場合、特定の居住用財産の購入や交換による長期譲渡所得の税制優遇は適用されません。売却および贈与された土地の合計価格が1億円を超えると特例の適用ができなくなり、贈与の場合は贈与時の市価が譲渡価格として扱われます。また、特例の適用期限は令和5年12月31日までです。

居住期間の判定(途中転勤等で中断がある場合)

Q.私は平成15年2月に取得して以来住んできた家と敷地を令和5年5月に売却しました。特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を受けたいのですが、居住期間が10年以上必要と聞きました。私の場合、平成24年4月から平成27年3月まで転勤で家を空き家にしていたため、10年以上連続して住んでいたわけではありません。この場合でも特例の適用を受けることはできますか?

A.譲渡した家屋に居住していた期間の合計が10年以上あれば、他の要件を満たしている場合、「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けられます。この特例を受けるための要件の一つに、譲渡者がその財産に10年以上居住している必要があります。もし途中で居住していなかった期間があっても、その期間を除外して前後の居住期間を合算した期間で10年以上あれば特例を受けることが可能です。

家屋と土地の所有期間が異なる場合

Q.私は昭和50年に住まいである家屋とその敷地を取得し、それ以来そこに住んでいますが、家屋は5年前に建て替えています。令和5年4月にこの家屋とその敷地を売却し、その売却代金で買い換えをしたいと思っていますが、「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けることができるでしょうか。

A.貴方が今回売る家屋は、売りに出す年の1月1日時点で、所有していた期間が10年を超えていないため、この特例を使うことはできません。「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」とは、売られる家や土地が住居用であっても、その家や土地のどちらかが売る年の1月1日時点で10年以下しか所有していなかった場合、この特別な措置の対象にはならないということです。したがって、そのような場合はこの特別な措置を適用することができません。

特定の居住用財産の買換え及び交換の特例

制度の概要

Q.特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の内容を教えてください。

A.令和5年12月31日までの間に、居住用財産を売却し、新しい居住用財産を買う(買換える)場合、一定の条件を満たすと、売却したことにならない(課税されない)特例があります。この特例を使うための条件は以下の通りです:

1. 売却する居住用財産を10年以上所有していたこと。

2. その財産が10年以上住居として利用されていたこと。

3. 財産の売却価格が1億円以下であること。

4. 新しい家(買換えた家)が、取得日から25年以内に建設されたか、または一定の耐震基準を満たすことが証明されたもので、居住用部分の面積が50平方メートル以上であること。

5. 新しい家の土地の面積が500平方メートル以下であること。

6. 新しい家を売却の前年の1月1日から売却年の翌年12月31日までの間に買い、または買う予定であり、それを居住用にすること。

7. 過去3年間で、長期譲渡所得の特例や、居住用財産の売却等に関わる他の特例の適用を受けていないこと。

この特例を受けるためには、確定申告の際に特定の書類を添付し、申告書に記載する必要があります。これには、売却した財産と新しい家に関する証明書類や契約書が含まれます。また、この特例は特定の条件を満たす居住用財産を交換した場合にも適応されます。

低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

Q.特に利用する当てもなく、管理が大変な遠く離れた地元の土地を親から相続しました。この土地を売却したいと考えていますが、売却による税金や費用が心配です。新しく創設された税制上の特例措置とはどのようなものですか?

A.お持ちの土地のような利用されていない、または利用程度の低い土地について、令和2年度の税制改正により「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」という特例措置が設けられました。この特例は、地方部などで急増する低未利用土地の有効活用や、地域活性化、さらに所有者不明の土地の問題を防止することを目的としています。具体的には、個人が令和2年7月1日から令和7年12月31日までに、一定の低未利用土地を500万円以下(特定の地域内であれば800万円以下)で売却した場合、売却による譲渡所得から100万円を控除できる制度です。ただし、この特例を受けるためには、譲渡する土地が所定の要件を満たす必要があります。これには、都市計画区域内の低未利用土地であること、所有期間が5年を超えること、売却金額の制限、特定の関係者以外への譲渡などが含まれます。特例の適用を受けるには、確定申告時に特例の適用を申告し、必要な書類を提出する必要があります。

特定期間に取得した土地等の長期譲渡所得の特別控除

Q.私は、平成22年9月に自宅の隣地である空き地を取得しました。数年後には自宅を増築し二世帯住宅にして、息子夫婦と暮らそうと考えています。仮に、なんらかの事情により自宅と空き地を売却することとなった場合、空き地について特定期間に取得した土地等の長期譲渡所得の特別控除の適用を受けることはできるでしょうか。

A.はい、可能です。特定期間に取得した土地等を売却した年の1月1日時点でその土地を5年以上所有していた場合、長期譲渡所得の特別控除を適用できます。この特例は、売却する土地の使い方に関わらず、所有期間が5年を超えているだけで適用可能です。ですから、空き地を売却する際にも、5年以上の所有期間があれば、特別控除の対象となります。

特定期間に取得した土地等の長期譲渡所得の特別控除 (2)

Q.平成22年8月に300坪の空き地を購入し、5年以上保有して異なる年に分割して売却し譲渡益が出た場合、特定期間に取得した土地等の長期譲渡所得の特別控除の特例は最初に売却した年にしか適用できないのでしょうか。

A.その土地を5年以上保有していれば、売却した各年度に特定期間に取得した土地等の長期譲渡所得の特別控除の特例を適用できます。この特別控除は、売却した各年度に1,000万円まで(1,000万円未満の場合は譲渡所得の金額まで)控除することが可能であり、利用回数に制限はありません。