学校法人を設立するために資産を贈与した場合

Q.学校法人を設立するために自分の所有する幼稚園の園舎と敷地を寄附することにしたのですが、この寄附に対して所得税は課税されるのでしょうか?

A.財産を法人に贈与した場合、通常は贈与時の時価に基づいて譲渡所得とみなされ、所得税が課税されます。しかし、学校法人のような一定の公益を目的とする事業を営む法人への財産贈与や遺贈で、これが教育や科学の振興、社会福祉の向上など公益の増進に大きく貢献すると認められ、国税庁長官の承認を得た場合には所得税が非課税となります。承認を受けるには、贈与された資産が2年以内に公益目的の事業に使用され、贈与が贈与者やその親族の税負担を不当に軽減させないことなどの条件が必要です。承認の申請は、寄附後4ヶ月以内に行わなければならず、特定の要件下での寄附行為や運営の透明性なども評価の対象となります。

特例の対象となる財産の範囲

Q.相続税の課税対象となった資産を譲渡し、その代金で代わりの資産を取得して特定事業用資産の買換えの特例の適用を受けました。この度、その代わりの資産を譲渡しようと思いますが、この場合でも「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」の適用を受けることができますか。 A.今回のケースでは、譲渡しようとしている資産はもともと相続税の課税価格の計算に含まれていない資産なので、「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」を受けることはできません。この特例は、相続税が計算される際に基となった資産、つまり相続開始前3年以内に贈与された資産を含む、相続税の課税価格に算入された資産を譲渡した場合にのみ適用されます。しかし、相続税計算において算入された資産が特定の条件下で取得し、その後譲渡した資産は、特例の対象となることがあります。例えば、特定の土地の交換や資産の替えが行われた場合などが該当します。

特例の対象となる相続税(相次相続控除等がある場合)

Q.私の祖父は、令和5年1月に死亡し、父がその財産を相続しました。その後、令和5年の6月に父が死亡し、私が父の財産を相続することになりました。第1次相続の相続税は500万円、第2次相続の相続税は相次相続控除により0円となりました。私は学生で、私が承継した父の納めるべき相続税額500万円の納付のために祖父の代からの相続財産を売却しなければなりませんが、この場合譲渡所得の計算上、取得費に加算することができるでしょうか?

A.第1次相続の相続税の申告書提出期限の翌日以降3年を経過する日までに相続財産を売却した場合、その取得費に相続税額を加算することが可能です。具体的には、祖父から父へ、そして父からあなたへと相続が2回発生した状況で、祖父の代からの相続財産を売却しても、第2次相続の相続税が0円だと譲渡所得の計算上加算すべき取得費がないように見えますが、実際にはあなたが父の納めるべき相続税を引き継いでいるため、これを考慮するのが実情に適しています。そのため、相続によって取得した譲渡資産の取得費への加算として扱われる相続税額は、贈与税額控除や相次相続控除の適用がある場合、次のように計算されます:1) 贈与税額控除があり納付すべき相続税額がある場合、控除された贈与税額を加えた金額、2) 贈与税額控除があり納付すべき相続税額がない場合、贈与税額控除がないと仮定して計算した相続税額、3) 相次相続控除がある場合、その控除される金額を加えた金額が取得費へ加算されます。

代償金を支払って取得した相続財産を譲渡した場合の相続税の取得費加算

Q. 私は、令和5年1月に父が死亡し、相続により財産を取得しましたが、相続税を納付するために、今年(令和5年)4月に相続財産である乙土地を譲渡することにしました。なお、私は遺産分割に当たり、相続人の一人である弟に代償金を支払っていますが、相続財産を譲渡した場合の取得費加算額の計算上、何か影響があるのでしょうか。

A. 代償金を支払って相続した財産を売ったときの利益の計算には、相続税の金額も考慮されることになります。ことの始まりは、遺産相続の際に代償分割が行われ、その過程で一部の相続人が他の相続人に対して代償金を支払うことがあります。このような代償分割によって代償金を支払った結果、相続税額がどのように反映されるかが問題になります。例えば、乙土地の譲渡所得の計算上で、代償金を支払った後に取得費に加算される相続税額は2,500万円となります。この取り扱いの詳細は、2015年1月1日以降の相続開始から適用される租税特別措置法第39条によるもので、代償分割によって相続財産を取得し、それを売却する場合の相続税額の計算方法が定められています。具体的には、相続財産(この場合は乙土地)の相続税評価額から支払った代償金を差し引き、その結果得られた金額に自身の相続税の課税価格を基にして算出することが規定されており、適切な計算によって理不尽な取り扱いを避けることが可能です。

相続財産を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例

Q.私たち兄弟は、父が亡くなった後に遺産として土地を相続しました。相続税を支払うためにその土地の一部を売却する計画です。相続財産を売却した際の譲渡所得についての課税の特例について教えてください。

A.個人が亡くなった人から資産を相続または遺言で受け取り、その人が亡くなってから相続税の申告期限の翌日以降の3年間内にそれらの資産を売却した場合、支払うべき相続税の一部を資産の取得費に上乗せして、譲渡所得の計算で引くことができる特例があります。この特例で取得費に上乗せできる相続税額は、固定された相続税額に土地などの資産が相続税計算でどれだけの価値として考慮されたかの割合に応じて計算されます。土地のような資産を売却する場合と、それ以外の資産を売却する場合で計算方法が異なるため注意が必要です。また、「確定相続税額」とは、譲渡した年の所得税が課税される時点で確定している相続税の金額を指し、「相続税の課税価格」とは、相続税を計算する際に考慮される債務や葬式費用を考慮しなかった場合の価格を意味します。ただし、被相続人の居住用財産を売却する際には、居住用部分と非居住用部分が混在している場合でも、特定の条件下では居住用部分の売却で特例を受けることができます。

借地権の設定と中高層耐火建築物の取得

Q. A市の既成都市区域内に所有している時価2億円の土地に賃貸マンションを建築する予定です。建設費は総額6億円で、私が1億5,000万円、建設会社が4億5,000万円を負担し、完成後の延床面積の4分の3を建設会社が、4分の1を私が取得します。建設会社は建物の敷地に借地権を有し、その設定の対価は1億円、地代は月額20万円を支払います。このケースでは、租税特別措置法第37条の5に基づく中高層耐火建築物の建設のための買換えまたは交換の特例の適用は可能ですか?

A. はい、借地権の設定の対価が土地の時価の半分を超える場合、資産の譲渡と見なされます。このシナリオでは、借地権の設定対価が1億円とされており、これは土地の時価2億円の半分を超えるため、「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えまたは交換の特例」の適用が可能です。借地権の設定など不動産の貸付けもこの特例の適用を受ける譲渡に含まれるため、あなたのケースでは特例が適用されます。

既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物の交換

Q.既成都市区域内に空き地を所有していますが、建設会社と共同でマンションを建築することになりました。この場合、「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え又は交換の場合の課税の特例」の適用を受けられますか。

A.はい、特例の適用を受けることができます。具体的には、土地の3/4の持分を1億5,000万円で譲渡し、同等の価値として建物の4分の1を1億5,000万円で取得した場合、特例が適用されます。租税特別措置法に基づくこの特例は、土地と建物の交換にも適用可能です。ただし、建築されるマンションの要件、取得後の利用の仕方、交換差金の有無や特別償却の不適用、取得価額の扱い、及び事業用や居住用として使用しなくなった場合の修正申告義務など、詳細な取扱いについては、前述の問いで説明した通りです。

既成市街地等内の土地にマンションを建築し分譲した場合の特例適用可否

Q. A市の既成都市区域内に15年前から所有している土地があります。この土地に、租税特別措置法第37条の5第1項第2号に該当するマンションを建築し、約4分の3を分譲し建築費に充てたいと考えています。分譲時には、マンションの床面積割合に応じた持分で土地を売却します。私はサラリーマンなので、建物部分の売却益は雑所得ですが、土地の売却分は譲渡所得です。建築したマンションの4分の1を買換資産として、「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え又は交換の特例」の適用は可能ですか?

A. マンションの建築年に売却した場合は特例の適用が受けられますが、翌年以降に売却する場合は特例の適用は受けられません。租税特別措置法第37条の5では、譲渡した土地上に建設された一定条件を満たした建物の全体または一部を特定の期間内に購入した際に、特例が適用されると定められています。原則として、土地の譲渡は建物の取得に先立って行われる必要がありますが、譲渡した年の1月1日以降に購入した場合は、その資産を買換資産として扱うことができます。売却するマンションとその敷地の持分に関連する収入金額の中で特例の対象となるのは譲渡所得に該当する部分のみであり、他の所得に関わる部分は対象外です。この計算は、マンション建築開始直前の土地価値を基準に行われ、その後の価値上昇分は雑所得とみなされます。

既成市街地等内にある土地 と中高層耐火建築物の交換

Q.既成市街地等内に私が所有している空き地200坪と、建設業者が進める特定民間再開発事業によって建設される地上6階のマンションを等価で交換し、居住用に利用することはできますか?なお、私の所有地は租税特別措置法第37条の5第1項の表の第1号の上欄に規定する資産に該当し、建設されるマンションは同号の下欄に規定する資産に該当します。

A.はい、交換することができます。租税特別措置法第37条の5「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の特例」により、お持ちの土地とマンションとを交換する場合にも特例の適用が受けられます。この特例によると、交換差金が発生する場合や、資産を交換することによって生じた譲渡資産と取得資産の価値を、交換の日における価値で譲渡や取得があったものとして扱います。ただし、この特例は所得税法における固定資産の交換特例や特定の事業用資産の交換特例の適用を受ける交換の場合には適用されません。

既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え

Q. 大阪市内に持っている工場跡地を建設業者がマンションの建設用地として譲渡してほしいと令和5年6月20日に申し入れがあったが、このマンションへの買換えで特例が適用できるか。

A. 特定の条件を満たしていれば、個人が特定の地区内や既成市街地等内にある土地を譲渡し、その土地に中高層耐火建築物や耐火共同住宅が特定民間再開発などの事業として建築された際に一部または全部を買い戻し、その買い戻し後1年以内に事業用または居住用として使えば、課税を先延ばしにすることが可能です。特例を受けるための条件には、中高層耐火建築物への買換えの場合、特定の地域で実施される特定民間再開発事業や市街地再開発事業等により建築された新しい耐火建築物を1年以内に居住用等として取得すること、その他諸々の要件があります。買換えた資産を特別償却せず、譲渡資産の収入金額が取得資産の取得価額を下回る場合は譲渡がなかったとみなされ、超える場合は超える部分についてのみ課税されます。なお、この特例は他の特例との併用は不可で、特定の条件を満たす必要があります。