不動産業者が所有している販売用土地との交換

Q.私が所有している郊外の土地を不動産業者が買いたいと言ってきましたが、売る気はないので断りました。しかし、不動産業者が別の土地と交換したいと持ちかけてきました。この交換は固定資産の交換の特例の適用が受けられるでしょうか。

A.残念ながら、お持ちの土地(固定資産)と不動産業者が販売目的で持っている土地(棚卸資産)との交換では、固定資産の交換の特例を受けることはできません。特例が適用されるのは、交換する両方の資産が固定資産である場合のみです。不動産業者が所有する土地が販売目的の棚卸資産に該当する場合、特例の適用は受けられませんので、交換前にしっかり確認する必要があります。また、不動産業者が販売目的で所有する土地や建物の他に、地方公共団体が分譲目的で取得した土地や、土地区画整理事業により生じた保留地なども固定資産には当たらない点に注意しましょう。

交換差金の判定(資産の一部分を売買とした場合)

Q. Aから工場用地拡張のため、私の所有の隣接する2宅地(甲地3,000万円、乙地2,000万円)を譲ってほしいという申し出がありました。Aが甲地と同額の宅地を所有していたため、甲地についてはAの所有宅地と交換し、乙地については2,000万円で売買することになりました。この場合、甲地について固定資産の交換の特例を受けることができますか?甲地、乙地は隣接しており一体として利用していました。

A. 甲地と乙地は「一の資産」として扱われるため、甲地についての交換と乙地についての2,000万円での販売は全体として一つの交換とみなされます。その結果、乙地の販売価格2,000万円は交換差金となり、この交換差金は甲地と乙地の合計価額5,000万円の20%を超えるため、甲地に固定資産の交換の特例は適用されません。所得税法の規定によれば、固定資産の交換の特例を利用するためには条件を全て満たしている必要があります。このケースでは、甲地と乙地を合わせて一つの資産とみなし、一部が交換、もう一部が売買された場合、全体を交換とみなして扱います。そのため、販売価格は交換差金として扱われます。しかし、甲地と乙地が別々の場所にあり、一体として利用されていない場合は、甲地が条件を満たしていれば固定資産の交換の特例が適用されることになります。

耕作権と他の農地の交換(同種の資産の判定)

Q.長年にわたりAさんに農地を貸して耕作してもらっていましたが、都合により別の農地を提供し、農地法第18条の許可を得て賃貸契約を解消しました。この場合、固定資産の交換の特例を受けることが可能ですか?

A.農地と農地法に規定されている耕作権は同じ種類の資産と見なされます。そのため、他の条件も満たされていれば、固定資産の交換に関する特例を利用できます。所得税法には「固定資産の交換」の特例があり、交換する資産が同じ種類である必要があります。同じ種類の固定資産には、土地(農地法で定義される耕作権も含む)、建物(付随する設備や構築物も含む)、機械や装置、船舶、鉱業権(土石を採掘する権利も含む)などがあります。

交換差金の判定

Q.私の所有する宅地(5,000万円)を、知人Aの所有する宅地(3,000万円)及び農地(2,000万円)と交換しました。そして、この農地をここ数年は耕作するつもりです。この場合、交換により取得した宅地部分(3,000万円)について、同種類の資産の交換として固定資産の交換の特例が適用されますか?

A.交換で取得した農地(2,000万円)は、譲渡した宅地を以前どのように使っていたか(宅地用途)に合わせて利用しないため、この部分は交換差金とみなされます。この結果、交換差金の金額(2,000万円)が、交換に使用された土地の中で価値が高い方(5,000万円)の20%を超えるため、固定資産の交換の特例を受けることはできません。固定資産の交換の特例を受けるためには、特定の要件を全て満たしている必要があります。また、交換で種類が同じ複数の資産を取得後、その一部を以前の用途に沿って使用しなかった場合、使用しなかった資産は交換差金として扱われます。

親子間で時価の異なる土地を交換した場合

Q.親子間で時価の異なる土地を交換した場合、「固定資産の交換の特例」の適用を受けることはできますか?

A.親子のように特殊な関係にある当事者間で土地を交換する際、土地の価格差が20%を超える場合は、「固定資産の交換の特例」の適用を受けることができません。質問のケースでは、交換された土地の価格差が20%を超えているため、特例の適用は受けられません。したがって、両者はそれぞれの土地を3,000万円で譲渡したものとして税務申告を行う必要があります。また、質問者は父親から2,000万円相当の金額を贈与されたとして贈与税の申告も必要となります。

客観的価値の異なる資産の交換

Q.所有している宅地A(時価3,000万円)と、甲会社が所有している宅地C(時価6,000万円)とを交換したいと申し出がありました。この交換資産の時価の差額は20%を超えますが、「固定資産の交換の特例」の適用は受けられないでしょうか?差金の授受はなく、特例の他の要件はすべて満たしています。 A.お持ちの宅地Aと甲会社の宅地Cを交換する場合、交換される資産の価額が合理的に算定されているなら、「固定資産の交換の特例」の適用を受けることが可能です。この特例を利用するためには一定の要件がありますが、価額の差がどちらかの価額の20%以内であることが一つの要件です。ここでのポイントは、資産の時価の差が20%を超える場合でも、交換当事者間で合意された価額が合理的と認められる状況であれば、その合意された価額に基づくことが可能となります。つまり、通常の取引価額と異なる場合でも、その価額が当事者間で合意されている限り、特例の適用が認められる場合があります。

種類の異なる二以上の資産の同時交換

Q.私の所有する土地及び建物を友人の所有する土地及び建物と同時に一括して交換しました。この交換した資産の価額は、譲渡した土地3,000万円、同建物1,000万円、取得した土地2,800万円、同建物1,200万円で、全体として等しい価額になります。また、交換後もそれぞれ従前と同じ用途に供していますので、課税されないと思いますが、どうでしょうか。

A.種類の異なる二つ以上の資産を同時に交換した場合、資産は同じ種類ごとに交換が行われたとみなされます。この場合、土地に関しては200万円、建物に関しては200万円の差額があるため、それぞれ差金が課税されます。固定資産を交換した際には、特定の条件を満たすと課税の対象から除外される特例があります。この特例を受けるためには、交換する資産が同種であること、交換する資産が両方の所有者により1年以上保持されていたこと、そして交換によって取得した資産を譲渡した資産と同じ用途に使用することなどの条件があります。また、資産の価額の差が高い方の価額の20%以内である必要があります。しかしながら、この場合にも種類の異なる資産を同時に交換すると、それぞれの資産タイプごとに価額の差(交換差金)がある場合、それが課税の対象となります。

自治会への寄附 (地方自治法関係)

Q.私の所有する山林1,000ピ(時価1,000万円相当)を、私の住むA町自治会に寄附しようと考えています。A町自治会は、地方自治法第260条の2第1項の規定により市町村長の認可を受けている、「認可地縁団体」です。この山林の寄附について、譲渡所得は非課税になるでしょうか。

A.地方自治法第260条の2第1項に規定する「認可地縁団体」は、租税特別措置法第40条第1項において「公益を目的とする事業を営む法人」として扱われます。認可地縁団体とは、地域住民の相互連絡、環境整備と良好な地域社会の維持・形成を目標として、法的に認められた自治会や町内会などの団体です。これらの団体に寄附された場合、租税特別措置法上で公益目的の活動を行う法人とみなされますが、非課税の適用を受けるためには、租税特接措置法に定める承認要件を満たす必要があることを忘れないでください。

公益法人への遺贈があった日について

Q.私の父は令和5年4月1日に亡くなりました。その後、遺言状が見つかり、その遺言状にはA宅地を社会福祉法人Gに寄附するよう記載されていました。同年7月10日に寄附を行い、9月5日に理事会で正式に受理されました。この寄附について、みなし譲渡所得の非課税の特例を受けようと思っていますが、承認申請書の提出期限はいつですか?

A.みなし譲渡所得の非課税の特例の承認申請書の提出期限は、贈与または遺贈があった日から4ヶ月以内です。この事例で言うと、提出期限は令和5年8月1日になります。遺言の効力は遺言者が亡くなった時から始まりますので、遺言があった日は遺言者の死亡日とみなされます。ただし、公益法人などに対する贈与の場合はその法人の理事会などの権限を持つ機関がその受け入れを決定した日が贈与があった日とされます。

公益法人に対して自己の絵画を寄附した場合

Q.私は画家であり、友人が役員を勤める公益法人の美術館から、私が描いた絵を譲ってほしいと言われ、寄附することにしました。私はこの寄附により、みなし譲渡所得が非課税になる特例を受けることができますか?

A.あなたが寄附した絵画は、事業所得に含まれる棚卸資産としての価値を持ちます。したがって、その絵画の寄附はみなし譲渡所得を非課税とする特例の対象外となります。一般的に、法人に資産を寄附した場合、その資産の寄附時の時価で譲渡したとみなされ、譲渡所得税がかかりますが、公益法人に資産を寄附し、その手続きが国税庁長官によって承認された場合は非課税となります。しかし、あなたが生計を立てるために描いた絵画は、あなたの事業所得に関連する棚卸資産とみなされるため、この特例の適用を受けることはできません。