未使用消耗品の棚卸し

Q.暮れに荷造用材料が未使用のまま相当残りましたが、これは棚卸しをしなければなりませんか。また、棚卸しをしなければならないものには、どのようなものがあるか教えてください。

A.棚卸しは、売上原価を計算するために行います。所得税法によると、棚卸しをしなければならない資産には以下のものが含まれます:商品や製品、半製品、仕掛品(半完成工事を含む)、主要原材料、補助原材料、貯蔵中の消耗品、そしてこれらに準ずる物です。ご質問の荷造用材料は「貯蔵中の消耗品」に該当するため、原則として棚卸資産として計上する必要があります。ただし、包装材料、文房具、作業用消耗品、広告宣伝用の印刷物、見本品など、毎年一定量を購入し継続して消費するものは、特に問題がない限り棚卸しをせず、購入費を直接必要経費としても良いとされています。従って、毎年末に在庫量に大きな変動がないような場合、荷造用材料の未使用分は貯蔵品として計上する必要はないかもしれません。ただし、消耗品で製品製造等に必要な費用の性質を有する場合は製造原価に算入する必要があるので注意が必要です。また、棚卸資産に準ずる資産として、育成中の動植物や収穫前の農作物、未採取の水産植物、仕入れによって取得した空き容器などが挙げられます。

商品の事業用消費

Q.材木の販売業者が工場を増築する際に、仕入れた500万円の材木を使用した場合、この材木を売上に計上するのか、仕入価額から控除するのか、そして計上するなら販売価額で計上するのか。

A.商品を事業用に使用する場合、例えば広告宣伝用に使う、従業員に支給するなどは一般的であり、これらは通常、事業の必要経費として処理されます。しかし、これらの商品の価格は既に仕入れ価額に計上されているため、再度必要経費として計上すると二重計上になってしまいます。そのため、事業用に使用した場合は、該当商品の仕入れ価格を仕入れ額から控除し、適切な勘定(例:広告宣伝費や給料)に振り替える必要があります。材木を自社の工場増築に使った際は、500万円を仕入れ価格から引いて、建物勘定に振替え経理します。減価償却費も工場使用開始日から計算し、必要経費に加えます。また、商品を従業員に支給したら、一般販売価格で評価し、給与として処理する必要があります。実務上、商品を事業用として使用した際、仕入れ勘定からの振替経理なしに、販売価格で売上げに計上し、同額を必要経費に加える経理処理が行われることもありますが、通常はこの方法でも問題ありません。

非課税となる在学証明等手数料の範囲

Q.消費税が非課税となる「在学証明、成績証明その他学生、生徒、児童又は幼児の記録に関する証明に関する手数料及びこれに類する手数料」の範囲について具体的に教えてください。

A.指導要録、健康診断票等に記録されている学生、生徒、児童又は幼児の記録に関する証明書の発行手数料及びこれに類する手数料が、非課税の対象です。具体的には、在学証明書、卒業証明書、卒業見込証明書、成績証明書、健康診断書、転学部・転学科に関する検定手数料、推薦手数料等が、非課税となります。

参考:法6①、法別表第一第11号、令14の5五、基通6-11-3

非課税となる在学証明等手数料の範囲

Q.消費税が非課税となる「在学証明、成績証明その他学生、生徒、児童又は幼児の記録に関する証明に関する手数料及びこれに類する手数料」の範囲について具体的に教えてください。

A.指導要録、健康診断票等に記録されている学生、生徒、児童又は幼児の記録に関する証明書の発行手数料及びこれに類する手数料が、非課税の対象です。具体的には、在学証明書、卒業証明書、卒業見込証明書、成績証明書、健康診断書、転学部・転学科に関する検定手数料、推薦手数料等が、非課税となります。

参考:法6①、法別表第一第11号、令14の5五、基通6-11-3

保証債務を履行した場合の譲渡所得の計算方法

Q.保証債務を履行した場合の譲渡所得の金額の計算方法はどうなるのでしょうか?

A.もし二つ以上の異なる資産を売却した場合、そしてそれらからの収入に対して保証債務(求償権行使不能額)の影響を考慮する必要がある場合、譲渡所得の計算方法は以下のようになります。

1. 保証債務額(求償権行使不能額)の配分を計算します。短期保有資産と長期保有資産について、その土地の売却収入に関連する求償権行使不能額を割り当てます。

2. 次に、実際の譲渡所得額を計算します。これは、売却価格から取得費用と譲渡費用を差し引いた後、求償権行使不能額の配分を考慮して計算されます。短期保有資産については、売却価格から取得費用と譲渡費用、求償権行使不能額を差し引いた後の金額が、短期譲渡所得です。長期保有資産の場合も同様の計算が行われますが、求償権行使不能額を含む計算結果からさらに短期譲渡所得の損失(もし存在すれば)を差し引き、最終的な長期譲渡所得を求めます。

税法上、売却により生じる損益は、売却した資産の特性(短期か長期か)によって異なる税率が適用される可能性があります。このため、複数の資産を譲渡した場合、それぞれの資産に対する効果的な税負担を正しく計算することが重要です。

保証債務を履行するための資産の譲渡

Q.保証債務を履行するために資産を譲渡した場合でも所得税は課税されるのでしょうか?

A.このようなケースでは、「保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の課税の特例」が適用されます。これにより、資産の譲渡がなかったものとして扱われ、その結果所得税の課税を避けることができます。具体的には、あなたが保証人として他人の借金を返済するために資産を手放した場合、その資産譲渡によって生じた損失に対し、返済できなかった金額に相当する分は所得税の計算において譲渡が存在しなかったものとみなされます。これは、求償権の全てまたは一部を行使できなくなった場合に適用される規定です。したがって、もしあなたが代表取締役として会社の借金の保証人になり、結果として資産を失うことになった場合でも、一定の条件下で所得税の課税を免れる可能性があります。

保証債務の履行のために資産を譲渡した場合の取得費

Q.保証債務を履行するために自分の所有地を売り、そのお金で借入金を返済した場合、この土地の取得費の計算はどうなるのか?

A.このケースでは、概算取得費の計算方法を利用することができます。つまり、売却価格(7,000万円)の5%にあたる350万円が土地の取得費として計算されます。このように計算する理由は、保証債務の履行で発生した求償権が行使できない場合、通常よりも少ない税額で済むように考慮されるからです。保証債務の履行によって返済した部分に対して、その分の取得費も売却収入から差し引くことができ、結果的に課税される譲渡所得が減少します。

特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越 控除の特例

制度の概要

Q.マンションを売却することになりましたが、売却代金だけでは住宅ローン全額を返済できません。マンションの譲渡損失を他の所得と通算することはできるのでしょうか。

A.特定居住用財産を売却した際に生じる譲渡損失については、特定の条件を満たす場合に限り、他の所得と損益通算することが可能です。損失が完全に控除できなかった場合は、その損失を譲渡した年の翌年から3年間にわたって繰り越して、各年の所得から控除することもできます。ただし、損益通算や繰り越し控除できる損失の金額には制限があり、譲渡契約を締結した日の前日において、譲渡価格より多い住宅ローン残高の部分に限定されます。損益通算と繰り越し控除を受けるためには、特定の期間中に譲渡している、所有期間が5年を超える居住用財産である、譲渡契約締結日の前日に譲渡価格を上回る住宅ローンが存在する、繰り越し控除を行う年の合計所得金額が3,000万円以下であることなど、複数の条件が設けられています。さらに、特定の年に他の特例の適用を受けていないことも条件になっています。

買換資産の取得をしなかった場合

Q.居住用財産を売却し、譲渡損失が発生した後、損益通算の特例を受けましたが、予定していた買換資産の取得ができなくなりました。この場合、どのような手続きを行う必要がありますか?

A.居住用財産を売却した際に発生した損失を、予定していた新しい居住用財産の購入によって相殺する特例を受けた場合、もし新しい居住用財産の購入ができずに特例の条件を満たさなくなったら、特例を適用した年の所得税に対して修正申告を行う必要があります。この修正申告は、財産を売却した年の翌年末から4ヶ月以内に提出する必要があり、修正申告により追加で納付すべき税金も同期間内に納付する必要があります。修正申告と税金の納付が期限内に行われた場合、加算税や延滞税は発生しません。

譲渡する土地の面積が500㎡を超える場合に適用される特例

Q.私が売却した居宅の敷地面積は600㎡あります。売却した居宅については譲渡損失が生じており、令和5年分の所得税の確定申告において「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を適用したいと思っていますが、生じた譲渡損失の全額を特例の対象とすることはできるでしょうか。新居はすべて居住用として利用しています。

A.令和5年分の確定申告では、生じた譲渡損失の全額を損益通算の対象とすることができます。しかし、譲渡資産の土地などの面積が500㎡を超える場合、500㎡を超える部分に相当する金額の損失は、翌年以降に繰り越して控除することができません。計算では、例えば居住用財産の譲渡損失が2,000万円(そのうち、土地に関する譲渡損失が1,500万円)、給与所得が1,000万円で他の所得がない場合、(2,000万円 – 1,000万円) の差額に500㎡を超える部分の売却に関する計算を加えた結果、125万円が繰り越しの対象とならない損失となります。それゆえ、翌年以降に繰り越される譲渡損失は875万円となります。