酒税の必要経費算入の時期

Q.酒類製造者ですが、12月分の酒税については、売上げに計上され、その税額の申告は翌月末日になりますので金額は確定しておりませんが、見込額で必要経費に算入してもよろしいでしょうか。

A.経費として認められるものは、収入を得るために直接要した費用や、販売費、管理費などその年に発生した業務に関連する費用です。税金や公共料金も、これらの条件に当てはまる場合は必要経費として扱われます。経費と認められるためには、債務が確定した金額でなければならず、以下の三条件を全て満たしている必要があります。1) その年の12月31日までに債務が成立している。2) その年の12月31日までに具体的な給付すべき原因となる事実が発生している。3) その年の12月31日までにその金額を合理的に算定できる。酒税については、収入金額に税額を含め、総収入金額の計算と共に、必要経費に算入することが可能です。その年の12月31日までに申告期限が来ていない税額であっても、その年の確定申告期限までに申告があった税額に相当する部分は必要経費として計上できます。従って、12月分の酒税に関しては、売り上げに計上され、翌年1月末日にその納付が確定するため、未払いの税額を一旦「未払金」に計上後、必要経費として計上できます。

砂利採取に伴う所得の計算

Q.砂利採取業者が、採取目的で取得した土地は、その取得価額のうち、砂利に係る部分について、生産高比例法に準じた方法で減価償却が認められることになっていますが、その砂利に係る部分の取得価額の計算はどのように計算すればよいのですか。

A.砂利を採取するために購入した土地の減価償却が可能かどうかは、砂利を取った後の土地の価値がどれだけ下がるかによって決まります。もし、砂利を取ることで道路の状況が改善され、土地の価値が上がるような場合は、減価償却は認められません。実際には、砂利採取計画を地方公共団体に報告し、採取後の土地の現在価値を見積もります。もしこの価値が購入価格より大きく下がっていると判断された場合、その減価分を減価償却の対象とし、生産高比例法に基づき毎年の経費に加えます。この償却費は、砂利の棚卸資産の原価として扱われます。

棚卸資産の評価損

Q.台風による雨漏りで商品が損傷したため、棚卸資産の評価損を計上できないか。

A.棚卸資産を評価損として計上することは、通常、物価の変動や過剰生産、建値の変更などの理由では認められません。これらは単なる損失の見積もりに過ぎないからです。しかし、特定の条件下では評価損の計上が認められます。これには、(1) 災害により棚卸資産が著しく損傷した場合、(2) 棚卸資産が明らかに陳腐化した場合、(3) 特別の事情がある場合が含まれます。台風による損傷は、この例外の(1)に該当するため、その年の末日の時価で評価することができます。     

陳腐化については、商品が物理的な欠陥がなくとも、経済的な変化によってその価値が大きく低下し、回復が見込めない状態を指します。例えば、季節商品が売れ残ったり、新製品により既存商品が陳腐化することが例として挙げられます。また、「準ずる特別の事実」としては、商品が長期間売れずに棚にある状態、破損、型崩れ、品質変化などが含まれます。

棚卸資産の取得に要した負債利子

Q.建売業者が負債で取得した販売用土地について棚卸評価をする場合には、その負債の利子のうち、未販売の土地に対応する部分を計算し、棚卸価額に加算すべきですか。

A.一般的な会計慣行では、借入金にかかる利息は資本に関わる費用と見なされ、期間費用として処理されます。それにより、会計上は財務費用として原価には含めません。税法では、通常、資産の取得に使われた借入金の利息は必要経費になりますが、特例として取得価額に含めている場合に限り、取得価額に算入することが認められています。したがって、販売用土地の棚卸評価に負債の利子を加える必要はありません。

非課税となる教科用図書の範囲

Q.書店を経営しており、毎年特定の高校へ参考書を納入しています。これらは副読本として授業で使われるのですが、この参考書の譲渡は消費税法で非課税になりますか?

A.教科用図書の譲渡で非課税になるのは、学校教育法に定められた文部科学省検定済みの教科書、または文部科学省の名義を持つ教科書のみです。御質問の参考書は、授業で使われるものであっても、非課税の対象とされる教科用図書には該当しないため、非課税とはなりません。

参考:法6①、法別表第一第12号、基通6-12-1、6-12-3

棚卸資産に係る登録免許税等

Q.建売業者が販売目的で取得した土地に関する登録免許税、不動産取得税等を全額必要経費に計上することは許されますか?

A.建売業者が販売のために土地を購入する際に支払った登録免許税や不動産取得税などは、棚卸資産の購入費用や販売用として直接かかった費用とみなせるため、原則としてそれらの税金を資産の取得価格に含めることができます。しかし、業務で使用する資産にかかる登録免許税や不動産取得税などは、業務に関連する所得の計算上、必要経費として計上できるようになっています。それと同じ理由から、棚卸資産に該当する土地購入時にかかった登録免許税や不動産取得税等も、取得価格に算入せずに必要経費として計上できることになります。したがって、以下の税金に関しては、納税者が選択して必要経費として計上することが可能です。

1. 固定資産税・都市計画税

2. 登録免許税(登録に必要な費用を含む)

3. 不動産取得税

4. 地価税(平成10年度分以降は適用停止)

5. 特別土地保有税(平成15年度分以降は適用停止)

販売目的で保有する不動産の評価方法

Q.建売業者ですが、造成中の土地と建物が2戸売れずに残りましたが、この場合の棚卸資産の評価方法を教えてください。

A.棚卸資産の評価方法には大まかに2つあります。原価法と低価法です。原価法の下ではさらに六つの方法があります: 個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法です。どの評価方法を選択するかは、事業の内容やどの種類の資産を保持しているかによって決まります。選んだ評価方法は書面で税務署に報告する必要があります。土地や建物のような棚卸資産にもこれらの評価方法が適用されます。税法上、どの原価法の方法を選択し使用するかは納税者が決められます。また、納税者は特別な評価方法を税務署長の承認を受けて使用することもできます。ただし、個別法は、一般に大量に取引される定価があるものには適用できません。これは、同じ種類の棚卸資産を個々に管理することが技術的に困難で、事業主が意図的に利益調整をする可能性があるためです。それでも、土地や建物のような特定のアイテムは個別法で評価することが推奨されます。一般に個別管理が可能な資産は、具体的に管理された商品、製品、半製品、仕掛品、またはそれらの製造に専用された原材料です。評価方法を選ばなかったり、選んだ方法で評価しなかった場合、法定評価方法である最終仕入原価法によって評価されます。一度選んだ評価方法を変更する場合、提出した変更承認申請書は、採用してから3年未満であると、特別な理由がなければ却下されます。また、3年を経過していても、合理的な理由が無い限り変更が却下されることがあります。

入学検定料と消費税

Q.編入学における入学検定料は消費税の課税対象となりますか?

A.消費税法によると、入学あるいは入園のための試験に関する検定料(いわゆる入学検定料)は非課税です。これには、教育課程の途中から参加してその学校の学生や生徒となる編入学も含まれます。そのため、編入学の検定料も入学検定料として非課税です。また、聴講生や研究生などの選考に際して徴収される検定料や選考料も入学検定料として非課税に該当します。

参考:法 6①、法別表第一第11号 、令14の 5四 

低価法による棚卸資産の評価

Q.私は青色申告者で、棚卸資産の評価に当たって、低価法を採用しようと思っておりますが、下記の資料の場合、売上原価はいくらになるのか教えてください。

A.棚卸資産の評価方法として低価法を採用すると、種類ごとに原価法で計算した価格とその年の12月31日の時価のうち、低いほうを採用することになります。原価法では総平均法を用います。総平均法に基づくと、年末時点での評価額は48,000円になります。

一方、年末の時価による評価は60,000円です。低価法では、これらのうち低い額を選びますので、48,000円が棚卸資産の評価額となります。この場合、売上原価は元の棚卸資産(50,000円)にその年の仕入れ額(410,000円)を加え、最終的な棚卸資産の評価額(48,000円)を差し引いて、412,000円と計算されます。

私立幼稚園の授業料

Q.個人や宗教法人が経営する私立幼稚園の授業料について、消費税は非課税でしょうか?

A.はい、非課税となります。学校教育法により、原則私立幼稚園は学校法人が設置する必要がありますが、特例として学校法人以外の個人や宗教法人も幼稚園を設置できる規定があります。この特例により設置された私立幼稚園は、「学校」に該当するため、授業料は消費税の課税対象外となります。

参考:法 6① 、法別表第一第11号 イ、令14の 5-、 基通 6-11-5