復旧費用 (その1)

Q.災害により被害を受けた工場の二次災害を回避する目的で行った補強と土砂崩れの防止のための工事費用は、修繕費として必要経費になるのか、資本的支出として減価償却が必要か。

A.事業用資産が災害で被害を受けた際に、被災前の状態を保つために行う補強や排水、土砂崩れ防止などの工事で発生した費用は、一部の例外を除き、その年の修繕費として必要経費に算入できます。ご質問のケースでは、工場の二次災害を防ぐための工事は修繕費として必要経費に該当すると考えられます。ただし、この工事費用に資本的支出の部分が含まれている場合は、その部分は除外されるため、注意が必要です。

マンスリーマンションの貸付けと消費税

Q. 当社が行っているマンスリーマンションの貸付けにおける消費税の取り扱いはどのようになりますか?

A. お問い合わせのマンスリーマンションについては、以下の条件を満たす場合、消費税の取り扱いが異なります。まず、この貸付けが旅館業法に規定される「旅館業」に該当しないこと、契約が明確に居住用であること、実際に賃借人が居住用に使用していることが認められる場合、契約期間が1か月以上であれば住宅の貸付けとして非課税となります。一方で、契約期間が1か月未満の場合は消費税の課税対象となります。ただし、貸付けが「旅館業」に該当する場合は、契約期間に関わらず消費税の課税対象となります。

参考:法6①、令16の2、法別表第一第13号、基通6-13-4

資本的支出と修繕費の形式的区分における取得価額の判定

Q.物品販売業を廃業し、事業用資産を譲渡後に特定事業用資産の買換えの特例を適用してアパートを建築しました。そのアパートの修理や改良に100万円を支出した場合、この支出が資本的支出であるか修繕費であるかの区分を、支出金額が取得価額の10%以下かどうかで判断する際、特例適用後の取得価額か特例適用前の実際の取得価額のどちらを基準として判定すべきですか?

A.このケースでは、特例適用後の取得価額である900万円を基準に判断します。支出した修理や改良の費用が、この取得価額の10%、つまり90万円を超える場合、形式の基準によっては修繕費には該当しないと判断されます。ただし、実際の判断では資本的支出と修繕費の実質的な違いも考慮されます。例えば、家屋の床や畳の修理、瓦やガラスの取替えなどは一般的に修繕費と考えられています。また、修理や改良の費用の全額について、その30%相当額と資産の前年末の取得価額の10%相当額のいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出として計算し、確定申告を行う方法もあります。ただし、原状回復費用のうち、除却損失に相当する部分は必要経費に算入できないため注意が必要です。

60万円に満たない資本的支出と修繕費の判定

Q.建物が古くなり、屋根と床の修理を行った場合、それぞれの工事代金が60万円未満であれば、修繕費として計上できるのでしょうか。

A.資本的支出と修繕費の区分は以下の通りです。年に支出された修理や改良にかかった費用に対して、(1)物理的に付加された部分、(2)用途変更のための改造や改装、(3)機械の部品を高品質や高性能なものに交換した際の追加コスト、これらを除いた金額が①60万円未満か、または②その年の末における資産の取得価額の約10%以下であれば、修繕費として計上できます。あなたのケースでは、屋根と床の修理を合わせて114万円が支出されましたが、これは60万円の基準を超えています。しかし、建物の取得価額が1,300万円であるため、この114万円は10%以下の範囲に収まります。したがって、全額を修繕費として必要経費に計上することができます。

下宿の非課税

Q.大学生向けに下宿を経営している場合、非課税と考えても良いですか?

A.住宅を貸し出す際、人が住むために使われることが契約で明らかにされていれば、その貸し出しは非課税となります。ただし、貸し出し期間が1か月未満の場合や、旅館業に該当する場合はこの非課税の対象外です。下宿事業は、施設を提供して1か月以上の宿泊料で人を泊める事業を指し、旅館業における下宿営業とは異なります。従って、居住用の貸し出しであることが契約で明らかで、かつ1か月以上の貸し出しであれば、非課税となります。

参考:法6①、法別表第一第13号、令16の2、基通6-13-4

海外渡航費

Q.取引契約のためパリへ渡航することになりましたが、通訳が必要なので、ちょうどフランス語を専攻している長女 (大学生)を連れて渡航した場合、渡航費用の全額を必要経費に算入してもよいものでしょうか。また、渡航したついでに、スイスのほうも観光してきた場合はどうなりますか。

A.海外出張の際の旅費は本来、必要経費として計上することが可能です。ただし、事業に関係ない家族や常時従事していない人を同伴する場合、その費用は原則必要経費としては認められません。しかし、以下のような例外があります:

1. 常時補佐が必要な身体障害者が補佐人を同伴する場合

2. 国際会議出席などで配偶者の同伴が必要な場合

3. 目的達成のために特定の言語能力や専門知識が必須で、適任者が家族や臨時委嘱した者である場合

このため、渡航目的に直接関わる通訳として長女が必要な場合は、費用を必要経費に計上できますが、長女がフランス語学習のために同伴されるだけではこれに該当しません。

また、仕事と観光を兼ねた旅行の場合、仕事関連の費用のみが必要経費に算入されます。パリまでの旅費は問題ありませんが、スイスへの観光など、パリ以外での費用やパリでの観光にかかった費用は必要経費には含められません。業務と観光の日数に応じて費用を按分し、業務に必要な分のみを必要経費として算入することになります。

貸別荘の課税対象について

Q.貸別荘やリゾートマンションを1カ月以上貸し出した場合、消費税は非課税と考えてもいいですか?

A.住宅に関連して消費税が非課税となるのは、居住用として供される家屋やその一部を貸し出す場合で、契約で居住用と明確にされている場合に限ります。しかし、貸出期間が1カ月未満の場合や、旅館業に該当する施設の貸し出しは例外です。質問された貸別荘やリゾートマンションは、旅館業に該当するため、利用期間が1カ月以上であっても非課税にはなりません。

参考:法6①、法別表第一第13号、令16の2、基通6-13-4

事業主の出張の際の 日当

Q.事業主が業務のため出張した場合、従業員の出張に際して支給している程度の日当を事業主についても経費として計上したいと考えております。この日当は、従業員が受けた場合は旅費の範囲として正当なものと認められて非課税とされていますが、事業主に対する日当も必要経費になるのではありませんか。

A.まず、従業員や法人の役員などの出張費用について、税金の扱い(課税されるか非課税か)は事業主が一つ一つの出張内容をチェックして判断するのは困難なため、次の条件を満たしているかで判断します。一つ目の条件は、支給額が全従業員に対して適切な基準に沿って計算されたものであるか、二つ目の条件は、支給額が業界や規模が同じ他の事業者が支給している額と比べて適正かどうかです。従業員に支給する日当が非課税とされても、給与として扱い、経費に計上します。しかし、事業主が自身に日当を支給し、それを必要経費にすることは認められていません。事業主自身が受け取った日当は、具体的に事業上必要な費用として使われた場合に限り、必要経費として扱えます。例えば、出張先で家族への土産を買った場合は、事業主の個人的な使い道なので経費にできません。一方、取引先への接待で使用した場合は、接待交際費として経費に算入できます。したがって、事業主が出張で支払った費用は、事業上実際に使われた分だけを必要経費として算入できることになります。

事業廃止年分の事業税

Q.私の経営する食料品店は本年5月1日から法人成りし、個人営業を廃業しましたが、廃業年分の事業税は翌年に課税されるため金額は確定しておりません。必要経費として見込控除できる特例はないものでしょうか。4月までの事業所得は200万円となっています。

A.事業を廃止した年分の事業税については、必要経費として見込控除が可能です。この見込控除は、国税や地方税がその年の12月31日までに具体的に確定して納付されるべき場合に認められます。また、納期が分割された税額は、各納期開始日または実際に支払った日の属する年分の必要経費として計上できます。廃業年分の事業税の場合、課税見込税額を所得計算上の必要経費として算入でき、計算方法は特定の式に基づきます。その結果、200万円の事業所得に対して、見込控除できる事業税の額は計算されます。もし、この課税見込額を先に控除しなかった場合、事業税が確定した際に廃業年分の事業所得から控除できます。そして、事業税が確定した日の翌日から2か月以内に所得税法に基づき更正の請求を行う必要があります。

共益費の取扱い

Q.住宅の賃貸借の場合、共益費は消費税で非課税として扱っても良いのでしょうか?

A.共益費とは、集合住宅で共同で使う部分の費用(廊下の電気代やエレベーター運行費用、集会所の維持費など)で、住民からそれぞれの負担分を集めるものです。これは住宅の貸し出しの代金とされ、消費税の課税対象外となります。しかし、プールやアスレチック施設のような入居者以外も使用できる施設や、独立して賃貸対象となる駐車場などの費用は、消費税の課税対象です。ただし、一戸建てや集合住宅の駐車場で、入居者に1台分以上のスペースが割り当てられていて、家賃と別に料金を徴収していない場合は、非課税対象として住宅の貸し出しに含まれます。

参考:法6①、法別表第一第13号、基通6-13-1、6-13-2、6-13-3