暗号資産の貸付けにおける利用料

Q.暗号資産の貸付けにおける利用料は非課税ですか?

A.暗号資産交換業者と貸借取引契約を結び、暗号資産を貸し付けた場合、契約期間が満了した後に同種及び同等の暗号資産が返還され、利用料が支払われます。この利用料は、「資産の貸付け」にあたり、消費税法による非課税取引には該当しないため、消費税の課税対象となります。

参考:法2①八、4①、6①、令9④

暗号資産の譲渡と消費税

Q.国内の暗号資産交換業者を通じて保有する暗号資産を譲渡した場合、消費税の課税関係はどうなりますか?

A.消費税法上、支払い手段及びこれに類似するものの譲渡は非課税とされています。したがって、国内の暗号資産交換業者を通じた暗号資産の譲渡は支払い手段等の譲渡に該当し、消費税は非課税となります。更に、消費税の確定申告を行う際、該当する暗号資産の譲渡は非課税売上高に含めて計算する必要がありません。ただし、暗号資産の購入や売買に関連する手数料は課税対象になり、暗号資産の購入に伴う手数料は、特定の条件下で課税仕入れとなる可能性があります。平成29年6月以前に国内で行われた暗号資産の譲渡は消費税の課税対象となります。この期間に購入した暗号資産については、特定の記録が必要です。

参考:法 6①、30、 法別表第一第 2号、令 9④、48②、49

行政機関等が行う非識別加工情報提供の非課税について

Q.行政機関等が手数料を対価とする非識別加工情報に関する役務の提供は非課税となるのでしょうか。

A.はい、国や地方公共団体、消費税法別表第三に掲げられた法人やその他の法令に基づいて国や地方公共団体から委託または指定を受けた者が行う、行政機関等が保有する情報の公開に関する手数料を対価とする役務の提供や、これに類似する役務は非課税とされています。平成29年4月の消費税法等の部分改正時に、独立行政法人等が非識別加工情報の使用に関する契約を結ぶ際に納める手数料を対価とする役務の提供も、非課税の対象に追加されました。

参考:法別表第一第5号、令12②四、規3の2

非課税 となる住宅家賃等の範囲

Q.居住の用に供する住宅の貸付けは非課税ですが、入居時に収受する一時金は非課税ですか?

A.居住用の住宅を貸し出す際に受け取る敷金や入居一時金など、返還しない一時金は、資産の使用権を設定する対価として扱われます。そのため、住宅の貸付けが非課税の範囲に該当する場合、これらの一時金も非課税となります。

参考:法2②、6①、法別表第一第13号、基通6-13-9

用途変更の取り扱いに関する説明

Q.賃貸マンションが居住用以外に使用された場合、消費税の取り扱いはどうなるのでしょうか?

A.賃貸契約でその物件が居住用と明記されている場合、その住宅の貸し出しは非課税とされます。賃借人が勝手に事業用として使用した場合でも、引き続き非課税です。ただし、後に両者間で事業用として用途を変更する契約を結んだ場合は、その変更後は消費税対象となり、賃借人も課税仕入れの対象となります。

参考:法6①、法別表第一第13号、基通6-13-8

転貸住宅

Q.住宅賃貸業を営む当社が、A社に住宅を賃貸し、A社がその住宅を自社の従業員に転貸する場合、当社におけるA社への住宅の貸付けに消費税はかかりますか?

A.住宅を賃貸する際、賃借人(この場合A社)が住宅として転貸することが契約で明らかにされているか、または賃貸の状況から明らかに居住用として供されている場合は、住宅の貸付けとみなされ、非課税となります。従って、貴社とA社の間の契約で、A社が住宅を居住用に供すると明確にされていれば、貴社のA社への住宅貸付けは非課税となります。

参考:法第6条1項、法別表第一第13号、基通6-13-7、6-13-11

社宅、独身寮の貸付け

Q. 社宅や独身寮を貸し出す場合、非課税になるのでしょうか。

A. 社宅や独身寮を居住用として貸し出す場合、貸し出し期間が1か月以上であれば非課税になります。ただし、独身寮で提供される食事に関しては、住宅の貸し出しとは別に考えるため、非課税の対象外です。

参考:法6①、法別表第一第13号、令16の2、基通6-13-6

復旧費用 (その3)

Q.私は美容室を経営していますが、このたび、災害により店舗に相当の被害を受けました。被害があまりに大きいため、その店舗を復旧せずに取り壊した上で、新たに建築することにしました。この場合、この建築費用は、修繕費として必要経費になりますか。

A.個人が経営している事業で使っている資産が災害で被害を受けた時、その被災した資産の元の機能を保つために必要な補強工事などの費用は、一部例外を除いて、修繕費として事業収入や不動産収入から差し引ける必要経費として計上できます。ただし、被災した資産を修理する代わりに新しく資産を購入した場合、その費用を修繕費として計上することはできません。質問のケースでは、新しい店舗を建築するとのことで、この建築費用は新たな資産の取得費用とみなされ、修繕費として必要経費に算入することはできません。さらに、新しい店舗の取得のために支出したその他の費用も、店舗の取得価格に含まれることになります。ただし、取り壊した店舗に関しては、その損失を事業収入計算上の必要経費として計上することができます。

店舗併訩住宅の取扱い

Q.店舗併設住宅の場合、課税はどのようになりますか。

A.店舗併設住宅でも、その居住用部分が住宅としての条件を満たし、賃貸借契約で居住用途であることが明確にされている場合、その住宅部分の貸付けは非課税となります。このとき、店舗部分と住宅部分の対価は、合理的に分けて計算します。

参考:法6①、法別表第一第13号、基通6-13-5

復旧費用 (その2)

Q.私はブティックを経営していますが、災害により店舗にかなりの被害を受けました。このたび、店舗の修繕改築工事を併せて行うことにしましたが、この工事代金はすべて修繕費として必要経費となりますか?なお、この修繕改築工事は一つの工事により行いますので、どこまでが修繕のための工事でどこまでが改築の工事かについては不明です。

A.災害等により店舗などが損壊し、その建物を復旧する場合は、原状回復のために価値を増加させる改良工事も含めて行うことがあります。このような場合に工事費用を原状回復の費用とその他の部分の資本的支出に分けるのが困難な場合、雑損控除の適用を受けていない限り、工事費用の30%を原状回復のための費用とし、70%を資本的支出とする簡便計算が認められています。だから、質問の場合も工事費用をこれに従って分ける必要があり、全額を必要経費として扱うことはできませんが、この計算方法で原状回復費と資本的支出を決定できます。しかし、所得税法では、事業用固定資産の損壊による損失は強制的に資産損失として必要経費となり、工事費用のうち原状回復のためとされた部分も、損壊直前のその資産の帳簿価額に至るまでの金額が資本的支出となるため、工事費用全額の30%をそのまま修繕費として必要経費にすることはできません。前述したように、工事費用が被害前の効用を維持するための補強工事等に要する費用である場合、その全額を修繕費として必要経費に算入できます。