平成19年 3月 31日 以前に取得 した減価償却資産の均等償却の適用時期

Q.私は飲食業を営んでおり、平成15年1月に金庫を購入しました。この金庫の減価償却費の累積額は、令和5年分で取得価額の95%相当額に達することになりますが、残りの5%部分の5年均等償却は、その95%に達した令和5年分から適用することができますか。

A.平成19年3月31日以前に取得した一定の減価償却資産に対し、累積した減価償却費が購入価格の95%に達した場合、その年の翌年からの5年間にわたって、残りの5%を均等に償却することができます。これは、累積償却額が購入価格の95%に到達した年の翌年から適用されるルールです。例えば、令和5年で95%に達した場合は、令和6年から次の5年間で残りの5%を均等に償却し、最終年には1円が残るようになります。実際の償却額の計算では、初年度の償却後の残額は100,000円となり、続く5年間で毎年20,000円を償却し、最終年には19,999円を償却して1円が残る計算となります。

減価償却費の計算

Q.私は、製造業を営む個人事業者ですが、令和5年1月に機械(耐用年数10年)を100万円で購入し、事業用として使用しています。具体的な計算の方法を教えてください。

A.あなたが購入した機械の減価償却費は、定額法か定率法かによって計算方法が異なります。

定額法では、機械の取得価額(100万円)に耐用年数に応じた固定の割合(定額法の償却率)をかけて、毎年同じ額を減価償却費として計上します。この方法では、機械の耐用年数が経過した時に1円まで償却します。

定率法では、機械の取得価額から、既に計上した減価償却費の累積額を引いた金額(未償却残高)に、毎年一定の割合(定率法の償却率)をかけて減価償却費を計算します。この割合は、機械の耐用年数に応じて定められ、毎年逓減していきます。ただし、調整前償却額が特定の計算額(償却保証額)に満たない場合は、改定取得価額に改定償却率をかけた計算に切り替えます。

定額法の具体的な計算例として、令和5年分の減価償却費は100,000円、令和6年分から令和13年分まで毎年100,000円、令和14年分では99,999円となり、未償却残高を1円にします。

定率法の場合、令和5年分の減価償却費は200,000円、令和6年分以降は前年の未償却残高に定率法の償却率をかけた金額を償却費として計上し、令和11年から令和13年分では償却費が65,536円、令和14年分では65,535円と計算され、最終的に未償却残高を1円にします。

名義貸しがある場合の輸出免税の適用者

Q.名義を貸した場合において、輸出免税制度の適用は誰が受けることができますか?

A.消費税の輸出免税の適用は原則として輸出申告をする名義人に限られますが、名義貸しの事由で実際の輸出者が名義人以外の場合、特定の措置を講じることで、名義人ではない実際の輸出者も輸出免税規定の適用を受けることが可能です。実際の輸出者は、輸出申告書等の原本を保存し、「消費税輸出免税不適用連絡一覧表」を名義貸しをしている事業者に交付する必要があります。名義貸しを受けた事業者は、この一覧表のコピーを確定申告書提出時に税務署に提出します。ただし、提出に係る課税期間中に輸出免税制度の適用を一切受けていない場合はこの限りではありません。

参考:法 7① 一 、 ② 、 規 5① 一 、 基 通 7-2-2

減価償却制度の改正

Q.平成19年の改正によってどのような変更があったのか、また、平成23年12月の改正によって「定率法」がどのように変更されたのか教えてください。

A.平成19年の改正では、減価償却制度が大きく見直されました。その主な変更点は以下の通りです。

1. 償却可能限度額と残存価額の廃止:

   平成19年4月1日以降に購入された減価償却資産については、償却可能限度額と残存価額がなくなりました。平成19年3月31日以前に取得した資産の場合、必要経費として計上された累積額が償却可能限度額に達した際、次の5年間で1円まで償却する規定が設けられました。

2. 新しい償却方法の導入:

   平成19年4月1日以降に購入された資産のための新しい「定額法」と「定率法」が導入されました。また、平成19年3月31日以前に購入した資産に関しては、償却方法の名前が変更され、「旧定額法」、「旧定率法」になりました。

3. 資本的支出が発生した場合の取扱い変更:

   平成19年4月1日以後に資本的支出があった場合の償却方法が見直され、新たに取得したものとみなされて償却されるようになりました。平成19年3月31日以前に取得した資産の資本的支出の場合は、加算して計算でき、新たな償却が施されます。

平成23年12月の改正により、平成24年4月1日以降に購入された減価償却資産に使用される定率法について、償却率の計算方法が変更されました。新たな償却率は、耐用年数に基づく定額法の償却率の2倍とされ、これまでの25倍からの変更となりました。また、この改正で特定の過渡措置も設けられました。

減価償却の強制償却

Q.個人の場合の減価償却は、強制償却といわれていますが、どういう意味かを説明してください。

A.個人が事業で使用している資産の価値が減少することを減価償却と呼び、この計算方法には特定のルールがあります。法人では任意に減価償却費を決めることができる場合がありますが、個人事業主の場合はそうはいきません。個人事業主は所得税法に基づいて厳密に計算した減価償却費を必要経費として計上する必要があります。もし計算した減価償却費よりも少ない金額を計上した場合、不足分は減価償却が行われたとみなされます。これを「強制償却」と言います。このため、減価償却費を少なく計上したり、全く計上しないと、後に訂正しない限り、その金額は必要経費とは認められず、税務上の機会損失を生じさせてしまうことになります。

商社経由の場合の輸出者の判定

Q.メーカーが輸出先と商談をまとめ、商社が通関業務のみを行っている場合、メーカーを輸出者として扱うことはできますか?

A.消費税の輸出免税を受けられるのは、輸出申告を行った名義人です。そのため、ご質問の状況では、商社が輸出申告の名義人のため、商社が輸出免税の適用を受け、メーカーは輸出免税の適用を受けることができません。

参考:法7②、規5

貸ガレージの整地費用

Q.自分の土地を貸ガレージとして貸すために土砂を敷き整地した場合、その整地費用は不動産所得の計算上、必要経費に算入できますか?

A.土地を貸ガレージ用に整地する際にかかる費用は、土地の価値を高めることとなるため、必要経費とはみなされず、土地の取得価額として計上されます。しかし、貸ガレージの利用を開始した後に、頻繁な自動車の出入りでできたくぼみを修復するための費用や人件費は、原状回復の費用として必要経費に該当します。

輸出向け物品の下請加工の消費税処理について

Q.最終的に輸出される物品の加工を請け負った場合、消費税の輸出免税の対象になりますか。

A.消費税は、日本国内で事業者が資産の譲渡などをする場合に課税されます。そのため、最終的に輸出される物品であっても、国内で事業者間での取引が行われる場合は消費税の課税対象となります。輸出する者は、輸出の際に輸出免税の適用を受け、それまでに支払った消費税を控除できます。従って、輸出物品の製造のための下請加工や、輸出取引のために行う国内での資産譲渡等については、輸出免税の適用はなく、消費税が課されます。

参考:法7、基通7-2-2

商社が行う共同輸出に係る輸出免税

Q.共同でポリエステルプラントを輸出する場合、受け取る口銭は消費税の輸出免税の対象となるか。

A.貴社とA社が共同で行うこの輸出事業は、共同事業として認められます。従って、貴社が受け取る口銭は、消費税法に定める輸出としての資産の譲渡の対価、つまりB国へのプラント輸出に対する収入として認められます。輸出証明書を保存すれば、この収入は消費税の輸出免税の対象となります。ただし、貴社の課税売り上げと課税仕入れの金額は、共同事業における貴社の持分の割合に応じた金額になる点に注意してください。

参考:法 7① 一 、 ② 、 規 5① 一 、 基 通 1-3-1、 7-2-23

非課税と免税の違い

Q.消費税法において「非課税」と「免税」はどのように異なりますか?

A.消費税は国内での財貨やサービスの消費に基づいて課されます。これには課税対象としない特定の財貨やサービスがあり、これらは「非課税」とされます。一方で、「免税」は納税義務が成立した後、特定の条件を満たした場合に消費税が免除されることを言います。例としては、輸出や輸出類似取引があります。「非課税」と「免税」の主な違いは、仕入税額控除ができるかどうかにあります。「非課税」取引では仕入税額控除を受けることはできませんが、「免税」取引では可能です。

参考:法4、6、7、8、30、31、法別表第一、規5