船舶運航事業者等の範囲

Q.我々は船舶修理業を営んでおり、外国向け航海をする船舶の修理を行った場合、輸出免税の対象になるかと聞かれました。この場合の船舶運航事業者とは、国内に限定されるのでしょうか?

A.国内だけでなく、国外にまたがる旅客や貨物の輸送に用いられる船舶や航空機を、船舶運航事業や航空運送事業といった海上運送法や航空法に定められた事業を営む事業者から修理の依頼を受けた場合、消費税の輸出免税の対象となります。この時、海上運送法や航空法の引用は事業内容の定義を明確にするためであり、これらの法律の適用を受ける事業者に限られるわけではありません。従って、国内に支店等を持つ外国の事業者や、国内に支店を持たない外国の事業者でも、海上運送法などによる船舶運航事業等の定義に適合する事業を行っている場合は、消費税の輸出免税対象となります。

参考:法7、基通7-2-8

旧定率法を選定していた者が新たに減価償却資産を取得した場合の償却費計算

Q.平成19年1月に車両運搬具のため旧定率法の届出を行い、その後償却方法の届出はしていません。令和5年7月に営業車として新たな乗用車を購入した場合、その減価償却費はどう計算するのですか?

A.平成19年3月31日以前に旧定率法を選定していて、それ以降に新しく取得した減価償却資産に対し「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出していない場合、その償却方法は定率法で行うこととされます。今回、車両運搬具に関して既に定率法の届出をしているため、新たに購入した乗用車の償却費も定率法で計算することになります。具体的には、購入金額1,950,000円と定められた耐用年数、償却率を用いて計算を行います。令和9年以降、調整前の償却額が保証額に満たない場合、それ以降の償却は改定取得価額と改定償却率を使用して計算します。未償却残額が1円になるまで償却を続け、最終的に令和11年分の償却費の額は160,122円となります。

出国に際して携帯する物品の輸出免税

Q.居住者が海外旅行のために出国する際、旅行先への贈答品として物品を購入した場合、免税となるのでしょうか。

A.海外旅行などで出国する居住者が、贈答目的で購入し、帰国または再入国時に持ち帰らない物品、または旅行先で使用や消費されることが明確な物品(商品1個当たりの価格が1万円以上のものに限る)は、特定の手続きを経て消費税が免除されます。免税を受けるための手続きとしては、①出国者が「海外旅行者が出国に際して携帯する物品の購入者誓約書」を記入し、それを消費税法に基づく輸出物品販売場の許可を受けている事業者に提出すること、そして②出国時に税関へ「輸出証明申請書」を提出して、輸出証明書を受け取り、それを販売した事業者が保管することが必要です。

参考:法7、基通7-2-20、7-2-21、様式通達第16号 様式、第17号 様式

減価償却方法の選定の届出書

Q.減価償却費を定率法で計算したいと思いますが、何か届出をしなくてはいけませんか。

A.定率法を含む減価償却方法を選択する場合、特定の状況で税務署長へ書面による届出が必要です。これらの状況には新たにビジネスを開始する場合、以前選択した償却方法を変更する場合、新たに事業所を設けた場合が含まれます。届出がない状態で減価償却を行う場合、法律で定められた償却方法に基づく必要があります。鉱業権には生産高比例法を、それ以外の資産には定額法が適用されます。選択した償却方法を変更するには、特定の適用期限までに変更承認申請書を提出する必要があります。ただし、建物や特定の資産には法定償却方法以外の選択が認められていないため注意が必要です。また、償却方法を変更する際には、一定の条件を満たす必要があり、合理的な理由がない場合は変更が却下されることがあります。

輸出物品の返品による引取り

Q.輸出した物品が国内に返品される場合、消費税はかかるのでしょうか?

A.我が国から輸出された物品が返品されて国内に引き取られる場合、輸出時の性質や形状が変わっていない場合に限り、関税も消費税も免除されます。これは、仕様の違いや製品の瑕疵が返品の理由である場合、および修理の必要があるため返品され、1年以内に再輸出される物品にも適用されます。

参考:輸徴法13① 一、四 

事業所得者が新たな印刷設備を取得した場合の減価償却方法

Q.事業所得者が令和5年5月に新たな印刷設備を取得した場合、定率法による減価償却方法の届出は必要ですか?

A.減価償却方法の届出が必要なケースは主に3つあります。(1)新たに特定の所得を生む業務を開始した場合、(2)これまでとは異なる資産区分の減価償却資産を新たに取得した場合、および(3)新たに事業所を開設し、既存の事業所の資産とは異なる償却方法を適用しようとする場合です。しかし、印刷設備の場合、この質問の状況ではこれらの条件に該当しないため、新たに減価償却方法の届出をする必要はありません。ただし、もし新たに採用する減価償却方法がこれまでと異なる場合は、変更承認申請書を提出する必要があります。

保税地域経由の三国間貿易

Q.国外で調達した商品をいったん我が国の保税地域に搬入した後、そのまま第三国に納入する三国間貿易の場合、消費税法上の取扱いはどのようになりますか。

A.国外で調達した商品を我が国の保税地域に搬入する行為は輸入とは見なされないため、消費税の課税対象外です。しかし、保税地域にある外国貨物を外国企業等に有償で譲渡し、国外へ搬出する行為は、国内での外国貨物の譲渡とみなされますので、消費税の輸出免税の規定が適用されます。また、その外国貨物を外国企業等へ販売した際の代金は、税額計算時における課税仕入れ等の割合を算出する際、分子と分母の両方に含まれます。

参考:医法7①二、30⑥、基通7-2-3

保税地域で外国貨物を原材料として使用した場合の課税関係

Q.保税地域で外国貨物を課税貨物の原材料として使用した場合、その外国貨物についての課税関係はどうなりますか?

A.保税地域で外国貨物を課税貨物の原材料として使用した場合、その使用時には保税地域からの引き出しとはみなされず、実際に製品として完成した課税貨物を引き取る際に、その課税貨物の引き取りとして課税されます。

参考:法4条2項6号、基本通達5-6-5

研究用書籍

Q.商業デザイナーとして、高価な専門書を研究用に外国から購入しています。これらの書籍は減価償却資産になりますか?また、消耗品費として扱うことはできますか?

A.減価償却資産とは、仕事で使う資産の中で、時間が経つにつれて価値が下がるものを指します。しかし、全ての資産が減価償却資産になるわけではなく、特定の条件を満たさないものは対象外となります。これには、時間とともに価値が減少しない資産、現在業務で使われていない資産、棚卸資産や有価証券などが含まれます。また、取得価額が10万円未満の資産や使用可能期間が1年未満の資産は、その年の費用として計上できます。

研究用の書籍は業務で使用され、時間が経つと利用価値が減少する可能性があるため、減価償却資産として扱うことが適切です。書籍が1冊あたり10万円以上の場合は通常の減価償却資産として扱い、10万円未満の場合はその年の費用に算入します。1冊あたり10万円以上20万円未満の書籍は、一括償却資産として扱い、その取得価額の合計額の1/3をその年の費用に算入できます。さらに、一定の中小事業者に該当する場合、取得価額が30万円未満の少額減価償却資産は、その年に全額を費用に算入できますが、合計額が300万円を超える場合はその限度までです。

書籍の通常の耐用年数は5年とされており、古文書など価値が時間とともに減少しないものは減価償却資産にはなりません。また、10万円未満の減価償却資産、一括償却資産、少額減価償却資産は、基本的に業務で使われるものであり、業務外で貸し出されるものはこの規定から除かれます。

保税工場製品の商社への譲渡における消費税の課税関係

Q.保税工場で製造した製品を商社に譲渡し、商社がその製品を国外の事業者に販売する場合の消費税の課税関係はどうなるのでしょうか。

A.保税工場で製造された製品が内国貨物か外国貨物かによって、消費税の課税関係が異なります。具体的には以下の通りです。

1. 内国貨物のみで製造された製品は内国貨物とみなされ、その譲渡は消費税の課税対象です。当該製品を商社が国外に販売する場合、輸出として輸出免税が適用されます。

2. 外国貨物の部品を使用して保税作業により製造した製品は全体が外国貨物とみなされ、商社に譲渡する場合も、輸出類似取引として免税対象です。保税作業による課税仕入れがある場合には仕入税額控除が適用されます。商社が国外の事業者にその製品を販売する場合も免税ですが、商社における製品の受け取りは課税仕入れとはなりません。

3. 税関長の承認を受けた外国貨物と内国貨物の混合保税作業によって製造された製品は、外国貨物に相当する部分のみが外国貨物とみなされ、その製品の譲渡では内国貨物に相当する部分が課税され、外国貨物に相当する部分は免税とされます。

4. 外国貨物を原材料として使用し、製造された製品が課税貨物である場合、その外国貨物については消費税の課税対象外となります。

参考:法4⑥、7①一、二、基通5-6-5