非居住者に対する役務の提供と輸出免税

Q.非居住者に対して提供される次の役務は、輸出免税の対象となるか?1) 国内で経営コンサルタントが実施する市場調査、契約は非居住者の外国本社と行い、報告書も本社に提出する。2) 日本の法律に関する相談を弁護士が提供し、外国の本社からの依頼で、報告書を本社に提出する。

A.基本的に、非居住者に対して提供される役務の多くは消費税の輸出免税の対象とされますが、例外も存在します。非居住者が国内に支店や出張所を持つ場合、そこを通じて役務提供が行われると消費税法においては国内提供とみなされ免税の対象外となります。ただし、非居住者の外国本社との間で直接取引が行われ、国内の支店や出張所が契約の締結や事務手続き、代金支払いなどに一切関与しない場合は、輸出免税の対象として取り扱われます。この条件を満たすためには、1) 提供される役務が非居住者の外国本社と直接の取引であること、2) 国内の支店や出張所が提供される役務に直接的または間接的に関与していないこと、が必要です。問い合わせのケースでは、条件を満たしているため、輸出免税の対象となります。

参考:法7、令1-2-2、17-2-17、基通7-2-15、7-2-17

店舗の新築に係る地鎮祭及び上棟式の費用

Q.店舗を新築し事業用に使っています。新築にあたって地鎮祭、上棟式、落成式を行い、その費用を支出しました。この費用は事業所得の計算上、必要経費に算入できるでしょうか。

A.減価償却資産の取得にかかる費用は、その建設に直接必要だったものが含まれます。しかし、減価償却資産取得後にかかった費用は、取得価額ではなく必要経費として計上することができます。従って、ご質問の地鎮祭と上棟式の費用は、取得前にかかった費用なので取得価額に含めます。一方、落成式の費用は、取得後の費用なので必要経費として計上するのが適切です。

免税とされる保税地域における役務の提供の範囲

Q.当社は倉庫業者で、貨物の保管や荷役、運送などの作業に加えて、外国貨物だけでなく、一部の内国貨物に対しても消費税の輸出免税適用があると聞きました。具体的にどのようなサービスが免税対象となるのでしょうか?

A.荷役などのサービス提供における消費税免税の適用は、そのサービスが外国貨物(特例輸出貨物を含む)に対して提供される場合、および指定保税地域、保税蔵置場、保税展示場、総合保税地域(以下「指定保税地域等」とします)において輸出を目的とする貨物や輸入許可を受けた貨物に対して提供される場合に限って適用されます。具体的に免税対象となるサービスには、荷役、運送、保管、検数、鑑定、検量、通関手続き、青果物などの蒸燻が含まれます。さらに、特例輸出貨物の場合は、指定保税地域等でのサービス提供や、その特例輸出貨物を輸出するための船舶や航空機への積込み、指定保税地域等間の運送に限り、輸出免税の対象となります。

輸入貨物の運送と消費税の免税条件

Q.輸入貨物の運送において、消費税が免税になるのはどのような場合ですか?

A.輸入貨物の運送に関して消費税が免税となるのは、輸出免税の規定が適用される外国からの貨物で、輸入許可を受ける前の段階にある貨物の運送が該当します。つまり、輸入許可が下りた後に運送される貨物は消費税の課税対象となります。また、この免税は貨物の運送が荷主から直接依頼されたものでなくても、他の運送業者からの下請けの形であっても適用されます。その運送する貨物が輸入許可前のものであれば消費税の輸出免税の対象となります。

参考:法7、 令17② 四、関税法2①三

外国の漁船から徴収する岸壁使用料

Q.外国の漁船が公海上で採捕した水産物を直接我が国の港に荷揚げする際に発生する岸壁使用料に消費税は免税になるのでしょうか?

A.岸壁使用料が消費税の免税対象となるのは、主に国内外の地域間で旅客や貨物を輸送する用途や、国外地域間での輸送に専従する船舶が港湾施設を利用する場合に限ります。これは、船舶運航事業者の要請に基づく場合に限定されます。質問された漁船は、このいずれの条件にも当てはまらず、漁業者も船舶運航事業者には含まれないため、これらの漁船に対する岸壁使用料は消費税の課税対象となります。

参考:亘1法7①四、五、令17①、②一、二、三

外航機の整備における輸出免税

Q.外航機の整備受託収入及び清掃受託収入等についても消費税は免税となりますか?

A.外航機(主に海外向けの旅客輸送に使用される航空機)の運行事業者から依頼されたその航空機の整備(修理)作業は、輸出類似取引と見なされ、消費税の輸出免税の対象となります。ただし、航空機から取り外したエンジンのみの修理等、航空機本体の修理以外の場合は消費税の輸出免税の対象にはなりません。また、航空運送事業者向けに提供される給油補助や空港使用料などのサービスや、外航機の清掃や排水処理等の手数料は輸出免税の対象になります。しかし、免税対象となる整備(修理)は、外航機の運行事業者から直接依頼されたものに限ります。外航機の運行事業者から委託を受けた事業者がさらに他の事業者に委託する整備(修理)は、消費税の輸出免税の対象外です。

参考:法7、令17①、②一、三、基通7-2-10、7-2-11

外航船舶の救命設備の修理の取扱い

vQ.外航船舶の救命器具の修理が消費税の免税対象になるかどうかについての質問です。

A.外航船舶に備えられている救命艇、救命いかだ、救命胴衣などの救命器具の修理は、船舶の一部として考えられるため、消費税の免税対象になります。ただし、これらの器具に対する単なる検査は、修理とはみなされず免税の対象外となります。

参考:法7、令17①三、②一

店舗の建設に要した借入金利子

Q.サラリーマンでしたが化粧品店を開業することになり、借入金600万円に退職金1,000万円を加えて9月から店舗の建築に着工し12月完成と同時に開店しましたが、開店までの支払利子(4か月分20万円)については、事業所得の必要経費に算入できますか。

A.開店するために建てた店舗にかかわる借入金の利子は、特定のルールに従って取り扱われます。基本的に、事業のために固定資産を購入する際にかかった借入金の利子は、その支払をした年度の事業経費に含めることができます。しかし、利用開始日、つまり開店日までの利子に関しては、店舗の購入費用に加えることが許されています。新規に事業を開始する場合、開店するまでは店舗は業務利用されていないと見なされ、借入金の利子は翌年の事業経費には含めることができませんが、使用開始日までの期間に対応する利子は購入費用に加算されます。これにより、店舗の取得費用は、借入金600万円、退職金1,000万円、支払利子20万円を合わせた1,620万円となります。また、土地と建物を同時に取得した場合、支払利子は土地と建物の購入費用へ按分して算入されます。

外航船舶等の範囲

Q.国際輸送用の船舶や航空機の譲渡などが消費税の輸出免税の対象になる場合の詳細を教えてください。

A.旅客や貨物を国内外で輸送する用途に供される船舶や航空機(以下、「外航船舶等」と呼ばれます)の譲渡、貸付、または修理が消費税の輸出免税対象となります。これらのサービスは、船舶運航事業者や航空運送事業者などに提供される場合が該当します。「船舶運航事業者等」とは、船舶運航事業、船舶貸渡業、または航空運送事業を行う者を指します。外航船舶等か否かは、その船舶や航空機の属性によって判断されます。例として、海上運送法に基づき国際航海専用と明確にされた船舶や、国際輸送に80%以上使用されることが証明された船舶や航空機の譲渡、貸付、修理が対象になります。航空機も同様に、使用割合が80%以上国際輸送向けであれば、外航船舶等として扱われます。

参考:法7、令17①、②

事業の相続と減価償却資産の償却方法の届出

Q.製造業を営んでいた父が本年5月に死亡したため、長男である私が相続により事業を引き継いで経営しています。本年分の事業所得の金額の計算において、機械の減価償却費の額を父が採用していた定率法によって計算したいと思いますが認められますか。なお、私は、減価償却資産に係る償却方法の届出はしていません。

A.減価償却資産の償却方法には、定額法や定率法など様々な方法があり、これらは事業者が自ら届出を行うことで選択できます。しかし、届出を行っていない場合には、一般的に定額法が採用されることになっています。質問にあるように、お父様の事業を引き継ぎ、お父様が用いていた定率法を採用したい場合には、事業を引き継いだ年度の確定申告書の提出期限までに、その選択を税務署へ届出する必要があります。お父様の方法を引き続き使うこと自体は可能ですが、そのためには正式な手続きを踏む必要があるということです。