空撮専用 ドローンの耐用年数

Q.空撮専用 ドローンの耐用年数は何年となりますか。

A.空撮専用のドローンに関しては、人が乗れない構造であり、航空機には該当しないため、耐用年数省令別表第一の「航空機」としての扱いは受けません。このドローンは主に空撮用として設計されており、写真撮影が主要な機能です。カメラは取り外しが可能ですが、カメラ機能と移動機能は一体となっており、空撮という固有の機能を果たします。そのため、カメラと移動手段を別々に減価償却することは適切ではありません。このドローンは「器具及び備品」の中の「4 光学機器及び写真製作機器」に分類される「カメラ」として考えられ、その耐用年数は5年となります。もしカメラが組み込まれているドローンでも、規模、構造、用途が同じ場合は耐用年数は同じく5年です。

賃借建物に対する内部造作の耐用年数

Q.鉄筋コンクリート造の建物を賃借し、小料理店にするための内部造作を施した場合、その造作の減価償却は建物本体の耐用年数に従うべきですか、それとも木造建物の耐用年数に従うべきですか。賃借契約には貸付期間の定めがなく、有益費の請求や造作の買取請求もできないことになっています。

A.賃借建物に追加した内部造作の減価償却基準となる耐用年数は、賃借契約の内容によって異なります。具体的には、賃借契約で賃借期間の定めがあり、その期間を更新できない場合は、賃借期間を耐用年数とします。しかし、賃借期間の定めがない、更新可能、あるいは賃借期間の終わりが明らかで有益費や買取請求ができる場合は、建物の耐用年数、造作の種類、用途、使用材質などを総合的に考慮して、耐用年数を合理的に見積もります。ご質問のケースでは、賃借期間の定めがないため、造作の耐用年数を合理的に見積もる必要があります。建物と造作の材質が異なるため、同じ耐用年数を適用するのは不適切です。内部造作の種類や材質に基づき、個別の使用可能年数による年間償却費を計算し、その加重平均によって全体の耐用年数を見積もる方法が妥当ですが、結果として木造建物の耐用年数に近くなることが予想されます。

2以上の用途に共用されている建物の耐用年数

Q.5階建ての鉄筋コンクリート造のビルを建築し、1階と2階は飲食店、3階以上は住宅用として貸し付けています。この場合の耐用年数は用途ごとに違うので、用途ごとに区分して適用しても問題ありませんか。

A.ビルの耐用年数は通常、ビル全体が古くなり使用できなくなるため、構造や用途が大きく異ならない限り、同じ耐用年数を適用します。耐用年数はビルが同時に複数の目的で使用されている場合、その使用状況などを考慮して合理的に決定します。その際、決定した耐用年数は、基礎となる事実が大きく変わらない限り、継続して適用されます。従って、質問の事例では、1階と2階は飲食店用、3階から5階は住宅用として使用されているので、使用状況から見て、住宅用の耐用年数47年を適用するのが合理的です。

借地権付建物の取得価額

Q.繁華街にある店舗を3,000万円で購入しましたが、土地の所有者は別になっていますので、一時に買い取ることもできず、当分の間賃借することとし、賃貸借契約の名義変更も完了しました。この場合、地主には権利金を支払っていませんので、店舗の購入価額を建物取得価額として減価償却をしても問題はありませんか。

A.建物の所有者とその建物が建てられた土地の所有者が異なる場合、建物を買った人は、その土地を使う権利も一緒に手に入れたとみなされます。つまり、あなたが3,000万円で店舗を購入した際、この金額には建物の価値と共に、土地を使う権利(借地権)の価値も含まれているということです。借地権の取得費には、敷地の賃借契約を結ぶ際に土地所有者や既存の借地権者に支払った金額だけでなく、建物購入代価の一部、土地整備費、契約にかかった手数料なども含まれます。ただし、建物購入代価の内、借地権の対価と認められる部分が全体の約10%以下であれば、これを特に区別せず建物取得費に含めても良いとされています。したがって、建物の価値と借地権の価値は区別して計算されることが一般的ですが、あなたの場合は購入価格から建物の価値を判別することで借地権の価格を求めることができます。加えて、契約の名義変更時に地主に支払う名義書換料も借地権価額に加えるべきです。

減価償却資産の値引き等による再計算の可否

Q.昨年1月に2,000万円で購入し事業に利用していた機械について、今年6月に土地を売って残金を一括払いし、100万円の割戻しを受けました。この割戻しは減価償却資産の値引きと同じであり、前年度に遡って減価償却費の再計算をするべきだと思いますが、これは認められますか?

A.ビジネスで使う減価償却資産に対して値引きや割戻しがあった場合、その金額は原則その年の事業所得計算において総収入金額に加算されます。しかし、特定の計算式に基づき、値引き等があった日の属する年の1月1日時点でのその減価償却資産の取得価額や未償却残額を減額することができます。そのため、質問のケースにおいては、前年度に遡って減価償却費を修正することはできませんが、値引き等によって減価償却資産の取得価額等を減額することが認められます。こうして算出した金額(割戻し額から削減した額)は、その年の事業所得の計算において総収入金額に加える必要があります。この場合、昨年分の減価償却費の額は200万円、本年分の減価償却資産の取得価額及び未償却残額の減額可能額は90万円であり、本年分の減価償却費の新しい計算結果として1,910万円が求められます。さらに、本年度の事業の総収入金額に加算すべき金額は10万円となります。

満室になっていないアパートの減価償却

Q.11月にアパートを建て入居者を募集しましたが、交通が不便なのか年内に20室のうち10室しか入居がありませんでした。この場合でも建物の全体の減価償却費を必要経費に算入できますか。

A.はい、入居者が募集されていて、いつでも貸し出せる状態にあり、維持や補修がされている場合、アパートが満室じゃなくても減価償却費を計上できます。アパートを建てて入居者募集を始めた時、または最初の入居者が入った時をもって事業開始と見なすことができますので、その時点から減価償却費を計上することができます。

受取保険金で新築した工場の取得価額

Q.今年3月に未償却残高900万円の工場が全焼し、4月に保険金1,000万円を受け取り、その保険金と銀行からの借入金1,000万円で新たに工場を建築しました。この場合、工場の取得価額はいくらになりますか?

A.受け取った保険金で新築した工場の取得価額は、建築に要した費用合計、つまり2,000万円となります。損害保険から支払われる保険金で資産の損害を補填し、その資産を取得した場合、その保険金は非課税とされます。ただし、所得税法では保険金で取得した資産の取得価額を圧縮して記載する規定はないため、新築工場の取得価額は建築費用に基づいて2,000万円と計算されます。

入居中のアパートを取得した場合の取得価額

Q.既に入居者のあるアパートを購入した場合、減価償却計算の基となる取得価額はいくらですか?アパートの前所有者が預かっていた入居者の敷金のうち、返還を要する部分については、入居者が立ち退く際にアパートの新所有者である私が返還をすることになっています。購入の際の支払い代金は4,000万円、前所有者は入居者から総額500万円の敷金を受領しており、敷金についてはその20%を返還しない特約があります。

A.このケースでは、アパートの取得価額は購入時に支払った代金と将来入居者に返還しなければならない敷金に関わる負債を合計した金額になります。つまり、アパートを4,000万円で購入したということは、前所有者が預かっていた敷金に関する債務を引き継ぐことで可能になったわけです。このため、購入の対価は4,000万円に引き継いだ債務の額を加算したものとなります。同じ理屈は、担保にされている資産をその担保債権の弁済を引き受ける条件で取得した場合にも当てはまります。代金の支払いがなかったとしても、引き継いだ債務相当額を対価として取得価額と見なすことになります。したがって、この場合の取得価額は次の計算で求められた4,400万円になります。計算は、4,000万円加えて(500万円から500万円の20%を引いた額)で、合計4,400万円です。

資産の取得に係る仲介手数料

Q.本年、賃貸用の土地付建物を取得した際に支払った仲介手数料は、土地付建物の取得価額に算入する必要がありますか?

A.賃貸用の土地付建物を取得する際に支払う仲介手数料は、「購入のための手数料」に当たり、そのため土地及び建物の取得価額に含める必要があります。具体的にいうと、仲介手数料は土地と建物の取得価額に加算しなければならず、この仲介手数料を土地と建物に関して合理的に分配し、それぞれの取得価額に加えます。

マンション建設と電波障害対策費

Q. 貸マンションを建設した後、近隣の住民からテレビの難視聴問題解消の要求があり、共同受信用アンテナ設置等の対策費用を負担した場合、これらの費用は建設費とは区分して不動産所得の計算上、支払時の必要経費に全額算入できるか?

A. 貸マンションの建設後に周囲の住民から電波障害に関する苦情に対応するため、共同受信用アンテナの設置などの費用は、建物の取得価額に含まれる直接要する費用の一部とみなされます。これは、建設会社に支払う建築費用だけでなく、その建物を業務用に使用するため直接要した費用や、所有権を確保するために必要な費用も含むからです。特に、建設に際して予測された公害補償費用など、事前に計画されていた支出は、建設後であっても取得価額に算入されるべきとされています。従って、事前に予想された電波障害への対策として行った共同受信用アンテナの設置費用なども、マンションの取得費に含まれ、不動産所得の金額の計算において減価償却の対象となります。