非業務用資産を営業用に転用した場合の減価償却

Q.令和5年2月に室内装飾店を開業し、同時にレジャー用に使用していた乗用車を営業用に転用しました。この乗用車は平成31年2月に140万円で購入し、営業用に転用した時点での評価額は100万円でした。この場合、今年の減価償却費は100万円を基として計算すればよいのでしょうか。

A.所得税法では、非業務用として使っていた資産(例えば乗用車など)をビジネスで使用するように転用した場合、その転用の日をその資産が売却されたとみなして、その資産の取得費と考えられる金額を新たな償却の基礎として減価償却費を計算します。この計算は、資産の取得価格から、その資産がビジネスで使用されていなかった期間の間、減価償却を1.5倍した耐用年数に基づいて計算した減価償却の額を引くことで行います。そして、この方法で計算された未償却残高が転用日におけるその資産の償却後の価額となります。従って、お持ちの乗用車の場合、140万円から特定の式に基づいて計算した結果、未償却残高は840,560円となり、この金額を基に減価償却費を計算します。定率法あるいは定額法を選択して計算した結果、減価償却費はそれぞれ256,581円または214,317円となります。この計算では、転用時の市場価格100万円ではなく、実際の購入費用等を基にした計算が必要です。また、乗用車の取得価額とその後の未償却残高との差(この場合は559,440円)は事業所得計算上、必要経費として扱われます。

展示品の減価償却

Q.造園業を営んでいます。庭園の見本を造って展示しておりますが、これは売ることはできないので、庭園として減価償却することができますか。

A.造園業で作られた展示用の庭園も、税法上は減価償却資産として取扱われます。これは、展示される庭園が来訪者の観賞用として使われ、結果として灯篭や庭木、庭石などの注文を促進する目的があるためです。このような展示用庭園は、一般的な庭園での使用と同じく、人々が楽しむ目的で設置されているため、基本的には同じ扱いを受けます。しかし、この庭園内にある灯篭や庭石、植えられた樹木などは、移設しても価値が変わらないため、美術品や骨董品と同じ扱いを受け、造園業の在庫資産として扱われます。そのため、これら移設可能なアイテムを除き、泉水、池、築山、休憩所、花壇などの固定的な要素は、庭園の法定耐用年数である20年に沿って減価償却が可能です。

外国貨物に対する警備の取扱い

Q.外国貨物に対する警備は消費税の免税対象となるのでしょうか?

A.特定の外国貨物について行われる警備、例えば危険物や貴重品の警備は、外国貨物に係る役務の提供とみなされ、消費税の輸出免税の対象になります。しかし、保税蔵置場や船舶の警備の場合、その中に外国貨物が保管されているとしても、これらは外国貨物そのものに関する役務の提供ではないため、消費税の輸出免税の対象にはなりません。この規定は、港湾運送関連事業者が直接警備を行った場合も、警備会社に依頼した場合も変わりません。

参考:法7、令17②四、基通7-2-12

非居住者に対する役務の提供で課税されるもの

Q.外国人客が利用するホテルの宿泊やその他のサービスは、消費税の輸出免税の対象となりますか?

A.一般的には非居住者へのサービス提供は輸出免税対象になり得ますが、国内ホテルの宿泊サービスのように非居住者が国内で直接恩恵を受ける場合、消費税の輸出免税の対象外となります。免税対象外となるサービスには次のものが含まれます:国内での資産関連の運送や保管、不動産の管理や修理、建築請負、国内の交通機関による旅客輸送、国内での飲食や宿泊、理容や美容、医療や療養、劇場や映画館での観劇、国内の通信サービス、日本語学校での語学教育等。

参考:法7、 令17②七、基通7-2-16

指定保税地域における役務の提供に関する免税の適用範囲

Q.関税法第40条第1項で規定されている、指定保税地域での外国貨物、輸入許可を受けた貨物、または輸出予定の貨物について実行される改装、仕分け、見本展示や簡単な加工などの行為を下請業者に委託した場合、消費税の免税規定の適用が可能か。また、指定保税地域以外の保税地域でこれらの行為を行った場合はどうか。

A.関税法第40条第1項では、指定保税地域(国等が管理し、税関手続きの簡素化・迅速化を目指し、外国貨物の積み卸しや運搬が可能な場所)で、外国貨物や輸入許可を受けた貨物など(以下「外国貨物等」という)に関して、税関長への届出または税関長の許可を条件に次のような行為が可能です。届出が必要な行為では、点検や改装、仕分けその他の手入れが含まれ、許可が必要な行為では、見本展示や簡単な加工等が含まれます。これらの行為を依頼に基づき実施する場合、指定保税地域で行われる外国貨物に関するこのような役務の提供は、消費税において免税の対象とされていますが、この免税適用は荷役、保管、検数等の簡易な輸出入業務に限られます。そのため、点検、改装、仕分け等の貨物の記号、番号交換や現状維持のための行為は荷役等と類似した役務の提供として、他の保税地域でも免税が適用されますが、見本展示や加工等の許可が必要な行為は荷役等に類似していないため指定保税地域で行っても課税の対象となります。

参考:法第40条、令第17条(2)四

本船扱いした貨物に係る役務の提供と消費税の取扱い

Q.外国貨物を本船扱いにより輸入の許可を受けた場合、その貨物に係る役務の提供に対する消費税の取扱いはどのようになるのでしょうか。

A.「本船扱い」とは、税関長の承認を得て外国貨物を保税地域に入れずに輸入通関する制度のことで、これにより輸入許可を受けた場合の消費税の取扱いは保税地域で輸入通関したケースと異なります。具体的には、以下のようになります。

1. 輸入許可を受けた貨物に対する荷役や検数などの役務は、指定保税地域等で提供された場合に限り輸出免税の対象となります。従って、本船やはしけ上でのこれらの役務提供は課税対象となります。

2. 輸入許可を受けた貨物の陸揚げや保税地域への搬入も課税対象です。

3. 指定保税地域等で提供される役務に対し輸出免税が適用されるのは、輸入申告時に既に指定保税地域等に置かれていた貨物に限られます。したがって、「本船扱い」により輸入許可を受けた後に指定保税地域等に搬入した貨物の保管や検数、鑑定等は課税対象となります。

参考:法7、令17②四、関税法67の2②、関税法施行令59の4

非居住者へのノウハウ提供と消費税免税の可能性

Q.非居住者へのノウハウを提供する場合の対価は、消費税の免税の対象となりますか。

A.ノウハウ等は無形財産に該当し、日本国内の事業者が非居住者にこれを譲渡または貸し付ける場合は輸出取引とみなされ、消費税の輸出免税の対象となります。さらに、ノウハウの譲渡や貸付けに伴い技術指導等を非居住者に提供する場合も、非居住者への役務の提供として消費税の輸出免税の対象となります。

参考:法7、令17②六、七

京都メカニズムを活用したクレジットの外国法人への有償譲渡と消費税の取り扱いについて

Q.京都メカニズムを活用した排出クレジットを、内国法人が外国法人に有償で譲渡した場合、消費税の輸出免税の対象になるか。

A.はい、消費税の輸出免税の対象になります。消費税法では、無体財産権を非居住者に譲渡した場合は輸出免税の対象とされています。京都メカニズムによるクレジットは無体の財産権として扱われるため、内国法人が外国法人にこのクレジットを有償で譲渡する場合、それは輸出免税の対象となります。ただし、輸出免税を適用するためには、クレジットの譲渡に関する契約書その他の書類を譲渡した日の課税期間の終了日から2ヶ月経過した日から7年間、保存する必要があります。

参考:法7② 、令6①五、17②六、規5① 

外国企業の広告掲載と消費税の取り扱い

Q.国内に支店や出張所を設置していない外国企業からの依頼により、国内で発行する雑誌にその外国企業の商品の広告を掲載する場合、その広告は消費税の免税対象になるか?

A.外国企業が依頼する広告の掲載は、国内で利用される商品販売促進の便益が国外に帰するため、消費税の輸出免税の対象になります。具体的には、非居住者が国内で直接受けるサービス(運送、保管、宿泊、食事、医療、観劇など)は消費税の課税対象になりますが、それ以外のサービス提供は免税対象になります。このケースでは広告掲載サービスが免税対象に該当します。

参考:法7、令17②七、基通7-2-15、7-2-16、7-2-17

見積耐用年数によることができない中古資産

Q.中古の機械を200,000円で取得しましたが、使用可能にするために800,000円を修理や改良に費やしました。この機械は法定耐用年数を全て経過していますが、見積もり耐用年数2年で償却できますか?新品価格は1,500,000円です。

A.中古の資産を購入し、それを事業で使うためにお金をかけて修理や改良をした場合、その費用は資産の取得価額に含めて、減価償却を計算します。中古資産を事業で使い始めた時点での残りの使用可能期間に基づき、その耐用年数を計算することができます。しかし、修理や改良の費用が再取得価格の50%を超える場合には、法定耐用年数を用いて償却することになります。この場合、機械の新品価格が1,500,000円であり、800,000円を修理や改良に費やしているため、質問の機械は法定耐用年数6年に基づき償却を行う必要があり、見積もり耐用年数2年での償却はできません。