法人成りした場合の一括償却資産の必要経費算入

Q.私は本年、それまで個人事業として営んできた電器小売業を法人成りすることにしました。私が事業で使っていた資産の中には、一括償却資産があり、前年までに必要経費に算入されていない金額があります。この一括償却資産を法人に引き継ぐ際、必要経費に算入されていない金額はどのように扱われますか?

A.一括償却資産に関しては、その資産を構成する各減価償却資産が、たとえ売却や廃棄等があった場合でも、その取得価額に対応する金額を売却所得等の計算上で取得費用として差し引いたり、損失として記録することはできません。一括償却資産は、取得後3年間、年間均等償却しなければなりません。相続の場合、一括償却資産の取得価額の中で、まだ必要経費に算入されていない部分については、原則として故人が亡くなった年度の事業所得の必要経費として計上でき、例外的には、故人が亡くなった年度の翌年以降についても、業務を引き継いだ者が必要経費として計上することが認められています。あなたが法人化する場合、個人事業が廃止され、相続による事業承継とは異なるため、一括償却資産の取得価額の中でまだ必要経費に算入されていない部分は、すべて廃業した年度の事業所得の必要経費として計上する必要があります。

括償却資産の必要経費算入

Q.自己申告者として、今年11月に150,000円の金属製キャビネットを購入し、業務に使用しています。このキャビネットは法定耐用年数15年で減価償却することになりますか?

A.少額減価償却資産の制度では、取得価額が10万円未満の場合が対象です。しかし、質問のケースでは、取得価額が10万円以上20万円未満のキャビネットは一括償却資産に分類され、その取得価額の1/3を次の3年間で必要経費として計上できます。つまり、150,000円のキャビネットであれば、毎年50,000円を必要経費として計上することができます。ただし、この方法を選ぶ場合、関連する書類を確定申告書に添付し、計算に関する書類を3年間保管する必要があります。また、この期間中に資産が損失した場合でも、3分の1の必要経費の計上を続ける必要があり、除却損は計上できません。

免税販売の対象者

Q.輸出物品販売場での免税販売の対象者について教えてください。また、日本人に対して免税販売することはできますか?

A.輸出物品販売場での免税販売は、基本的に非居住者である外国人旅行者などに限定されています。具体的には、以下の条件を満たすべきです。

1. 「短期滞在」、「外交」、「公用」の在留資格を持ち日本に滞在する人、または寄港地上陸許可や緊急上陸許可など、特定の許可を受けている人。

2. 合衆国軍隊の構成員など特定の合意に基づく場合。

さらに、日本国籍を持つ人でも、免税販売の対象になることがあります。これには、国内以外の地域に2年以上引き続き住所や居所を有しているという条件があり、本人に関する領事館の在留証明や戸籍の附票の写しを提示し、確認を受ける必要があります。この確認は、最後に入国した日から起算して6ヶ月以前の日以降に作成された証明書類によって行われます。

外国為替及び外国貿易法第6条第1項第6号

出入国管理及び難民認定法別表1の1、1の3

出入国管理及び難民認定法14~18

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条

参考:法8① 、令18①③、規6①③

相続により取得した建物の減価償却方法

Q.父が亡くなり、相続によりマンションを受け取りました。平成10年4月1日以降に取得した建物は、基本的に定額法または旧定額法で減価償却を計算することになっていますが、父が使用していた定率法での計算は可能ですか?

A.平成10年4月1日以降に取得した建物の償却方法は、定額法または旧定額法を使用することが規定されています。平成10年3月31日以前に取得した建物については、定額法または旧定率法から選ぶことができます。購入、建設、または相続、遺贈、贈与によって建物を取得した場合も含まれます。あなたのケースでは、令和5年10月に相続によってマンションを取得したとのことなので、定率法による減価償却の計算は認められません。さらに、相続によって取得した建物の取得価格は、以前の所有者が持っていた価格とみなされ、減価償却の計算に利用されます。減価償却費の計算時には、取得価格(未償却残高)だけではなく、耐用年数や経過年数も引き継がれますので、新たに耐用年数の見積もりや簡便法による計算は行えません。

免税販売制度の概要

Q.化粧品を小売する事業として、海外からの旅行者への消費税免税販売について知りたいです。輸出物品販売場制度とは何ですか?

A.輸出物品販売場制度とは、事業者が経営する販売場で外国人旅行者等の免税購入対象者に対し、免税対象品を特定の方法で販売する際に消費税が免除される制度です。この制度には「一般型輸出物品販売場」、「手続委託型輸出物品販売場」、「自動販売機型輸出物品販売場」の3種類があります。免税販売場として運営するためには、事業者は納税地所在の税務署長からの許可と、「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」の提出が必要です。免税販売を実施する際には、旅券の提示、免税購入対象者であることの確認、購入者への必要事項の説明、対象商品の引渡し、購入記録情報の提供、および購入記録情報の保存などの手続きが求められます。

参考:法8、令18、18の2、18の3、18の4、規6の2①、6の3、7、基通8-3-1

資本的支出があった場合の減価償却費の計算(定額法)

Q.不動産事業を経営している者ですが、令和5年7月にマンション一棟について500万円の資本的支出をしました。この場合、減価償却費の計算はどのように行うのでしょうか?

A.資本的支出が発生した場合、その取扱いは以下のようになります。まず、平成19年4月1日以後に資本的支出があった場合、原則として、その支出は新たに取得した減価償却資産とみなし、定額法または定率法を用いて償却費を計算します。また、平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産に対する資本的支出がある場合には、特例として、その支出金額を既存の減価償却資産の取得価額に加算し、加算後の金額で全体を償却することができます。これは、原則に基づく計算と特例による計算のどちらも可能です。

ご質問のケースでは、令和5年7月に資本的支出を行ったため、原則的な計算と特例による計算を両方することが可能です。

原則的な計算では、マンション本体の減価償却費は6000万円 × 旧定額法償却率0.022 × 残り耐用年数で計算し、1,188,000円になります。資本的支出部分は500万円 × 定額法償却率0.022で、55,000円になります。

特例による計算では、令和5年分のマンション本体と資本的支出部分を分けて計算し、令和5年分のマンション本体の減価償却費は同様に1,188,000円、資本的支出部分の減価償却費は49,500円になります。令和6年分以後はマンション本体と資本的支出部分の合計、つまり6,500万円 × 旧定額法償却率0.022 × 残り耐用年数で計算し、1,287,000円になります。

これにより、ご質問のマンションに対する減価償却費の計算方法が理解できると思います。

資本的支出があった場合の減価償却費の計算 (定率法)

Q. 私は印刷業を営んでいますが、令和5年7月に所有する機械について1,500,000円の資本的支出を行いました。償却方法は定率法を採用していますが、減価償却費の計算はどのように行うのでしょうか。

A. 平成19年の改正により、減価償却資産に平成19年4月1日以降資本的支出を行った場合、その支出は新たに取得したものとみなして定額法または定率法で減価償却費の計算をします。平成24年4月1日以降の減価償却資産の場合、定率法の償却率は耐用年数の逆数の20倍です。したがって、このケースでの減価償却費の計算は以下の通りです。

1. 機械本体の計算では、期首未償却残高1,843,200円に定率法の償却率0.200を乗じます。

2. 資本的支出の部分では、1,500,000円に同じく定率法償却率0.200を乗じます。

3. 令和5年分の償却費は、上記1と2を合計した金額、つまり368,640円と150,000円を足した合計518,640円となります。

書籍等の輸出の場合の輸出証明

Q.書籍等を輸出する場合における消費税の輸出免税の対象となる輸出証明の方法について教えてください。

A.書籍等の輸出において消費税の輸出免税を受けるための輸出証明方法は以下のとおりです。非郵便物の場合は税関長の証明(輸出許可書)が必要です。郵便物については、輸出価額の合計が20万円を超える場合、税関長の証明(輸出証明書)が、20万円以下の場合は該当する記載がされた書類等が必要です。

輸出証明に必要な書類として、令和3年9月30日までと令和3年10月1日以降で、記載するべき事項に若干の違いがありますが、主に輸出の年月日、品名および数量と価額、受取人の情報が求められます。郵便物にかかわらず、発送伝票の控えなど、輸出した事業者の情報と品目ごとの詳細、受取人情報、および郵便物の受取日などが記載されている書類が必要です。

参考:法7、規5①、基通7-2-23

年の中途で譲渡した減価償却資産の償却費

Q.事業用の機械を年の中途で売却し、その際の償却費を事業所得の計算上の必要経費に算入しました。この処理は正しいですか?

A.年の中途で事業用として使わなくなった減価償却資産(例えば、機械など)の償却費は、通常その年の使用月数に基づいて計算します。しかし、年の途中でその資産を売却した場合、その年の償却費は譲渡所得の計算時に取得費から差し引かず、不動産所得、事業所得、山林所得、雑所得のいずれかの計算で必要経費として算入できます。従って、譲渡所得の取得費に計上せずに事業所得の必要経費に算入したあなたの処理は許されます。ただし、譲渡資産が建物や無形固定資産などの場合、償却費を譲渡所得の取得費に含めるか、必要経費として算入するかによって、事業税の計算上の取り扱いが異なる可能性があることに気を付けてください。

輸出証明

Q.消費税の輸出免税を受けるために必要な証明書類にはどのようなものがありますか?

A.輸出取引等を証明するためには、事業者がその課税資産の譲渡等に関して、次のように区分されるケースごとに必要な書類または帳簿を整備し、その譲渡等が行われた日の属する課税期間の末日の翌日から2ヶ月を経過した日から7年間保存する必要があります。

1. 貨物の輸出のケースでは、次のような書類が必要です。

   – 税関長からの輸出の許可を受けた貨物の場合は、輸出許可書または輸出許可通知書(輸出申告控)です。電子情報処理組織を通じて輸出申告し、承認されたものも含まれます。

   – 20万円超の郵便物の場合は、税関長の証明書が必要です。この証明は「郵便物輸出証明申請書」で受け、価額の合計で判断します。

   – 20万円以下の郵便物の場合は、帳簿または物品受領書その他の書類、引受書類または発送伝票等の控えが必要です。

2. 国際輸送、国際通信、国際郵便、または信書便のケースでは、提供した役務に関する帳簿や書類が必要で、その中には役務の提供日、内容、対価、提供相手の情報が含まれます。

3. 輸出類似取引の場合は、相手方との契約書その他の書類で、資産の譲渡等に関する事業者名、譲渡日、資産または役務の内容、対価、相手方の情報が記載されたものが必要です。

4. 外航船等に積み込む物品の場合は、「積込承認書」が証明書となります。

参考:法7、令17①②、規5①②、基通7-2-23