分割払のアーケード負担金

Q.商店街の協同組合がアーケードの設置や道路の舗装のために借入金を使ってこれらを所有することになった場合、組合員が支払う借入金の返済分は経費としてすぐに計上できるのか?

A.組合員が支払う分担金については、これが共同施設の設置や改良のための費用である場合、これらを繰延資産として扱い、支出総額が20万円以上の場合は資産として計上し、アーケードの場合は5年の期間で償却する必要があります。そのため、分担金を支払う都度すぐに経費として計上することは税務上認められていません。ただし、分割して支払われる期間が大体3年以内である場合は、繰延資産となるべき費用の総額を基にして償却費を計算することが可能です。さらに、固定資産を利用するために支出された繰延資産の償却開始時期は、固定資産の建設着手時とされています。それに加え、簡易な施設の建設に使われる負担金については、その金額に関わらず支出のあった年に必要経費として計上することが認められています。

市の条例に基づく公共下水道の受益者負担金

Q.私は、K市にアパートを所有していますが、本年、市の都市計画に従って設置される公共下水道の受益者負担金を支払うことになりました。その金額は不動産所得の計算上どのように取り扱われますか。

A.公共下水道の設置に関わる受益者負担金は、アパート運営という事業活動に必要であり、支払った費用の効果が長期にわたるため、これを繰延資産として扱います。このため、支出の効果が及ぶ期間に合わせて計算した償却費を、不動産所得の計算において必要経費として算入します。通常、公共下水道の受益者負担金の償却期間は6年とされています。これは、地方公共団体による建設費用の負担方法が異なり償却期間が統一されていないため、下水道施設の総合耐用年数の40%、つまり17年の40%に相当する6年と決められています。また、自己の使用する排水設備の新設や拡張に伴い公共下水道の改築費用を負担して下水道施設の使用権を取得する場合の負担金は繰延資産ではなく、減価償却資産となります。さらに、アパートの給排水設備の設置や改良にかかる費用は公共下水道に関わる負担金ではないため、繰延資産ではなく、減価償却資産(耐用年数15年の給排水設備)となります。

道路舗装負担金

Q.店舗の一部を改造してガレージにした際、そのガレージの前にある市の所有する歩道を車が通れるようにするため、市の許可を得てコンクリートで舗装工事を行い、その費用を30万円負担しました。この費用は寄附金と見なされるのでしょうか。

A.地方公共団体への寄附金であっても、事業運営に必要と認められる場合は、寄附金控除ではなく、必要経費として扱うことができます。さらに、寄附によって自己のための専用設備が設けられ、特別の利益が生じる場合は、寄附金控除の対象外となり、これらは繰延資産とされ、利益の及ぶ期間にわたって償却されます。あなたの場合、自分が利用するための公共施設の舗装工事費は、寄附ではなく、公共施設のための負担金として繰延資産に計上されます。20万円未満の繰延資産は、発生年に全額必要経費に算入できます。舗装工事に関わる負担金は使用期間に応じて償却され、法定耐用年数の40%を償却期間として計算されるため、償却費は特定の計算式に基づいて求められます。

医療保健業の医療用機器の特別償却

Q.私は歯科医院を開業している青色申告者で、歯科用ユニットが古くなり、本年5月に新しく買い換えました。この歯科用ユニットについて、医療用機器の特別償却の適用ができると聞きましたが、その制度の内容を説明してください。また、診療室の冷房装置も同時に取り替えましたが、この装置も特別償却の適用が受けられますか。

A.医療用機器の特別償却制度は、医療の進歩を促進するために設けられています。青色申告者で医療保健業を営むものが、新しい医療用機器を取得した場合、特別償却を適用することができます。この制度では、取得価額の12%までの特別償却が可能ですが、適用には条件があります。該当する医療用機器は、直接医療のために使用される機械や装置で、厚生労働大臣が指定したものに限られます。ただし、一定期間内の新しい機器で、価格が500万円以上のものが対象です。特別償却の申告には、確定申告時に必要経費としての記載と、償却額の計算明細書の添付が必要です。特別償却を全額利用しなかった場合、不足額を翌年に繰り越すことも可能です。なお、社会保険診療報酬の計算に特例を適用している場合は、特別償却を利用できない点に注意が必要ですが、自由診療報酬に対応する経費として特別償却額が適切に計算された場合は適用が認められます。歯科用ユニットは、厚生労働大臣が指定した医療機器に該当するため、特別償却の適用が受けられます。しかし、診療室の冷房装置については、「医療用機器」には該当しないため、特別償却の適用は受けられないことになります。

年の中途で死亡した者の特別償却不足額の承継

Q.青色申告者が租税特別措置法第12条の2により医療保健業者の医療用機器の特別償却を利用して機械を取得し、事業で使用した後にその年のうちに亡くなった場合、その機械の特別償却不足額は、事業を引き継いだ相続人が翌年の所得計算で必要経費に算入できるか?

A.事業を引き継いだ相続人が、相続した年から青色申告者であり、その機械を事業で使用し続けている場合、相続した年とその次の年だけ、亡くなった人の特別償却不足額を相続人の事業所得の計算で必要経費として算入することが可能です。この取り扱いは、特別償却不足額を次の年に繰り越しできるその他の特別償却や割増償却にも適用されます。

中小事業者が機械等を取得した場合の特別償却(年の中途で譲渡した場合)

Q.青色申告者が中小事業者として機械等を取得し、2か月間使用した後に個人事業を廃止して法人になり、その機械を法人に譲渡した場合、特別償却を適用できますか?

A.中小事業者の機械等の特別償却制度は、平成10年6月1日から令和7年3月31日までの間に特定の機械等を取得し、それを事業に使用した場合に適用されます。この制度では、機械等を事業に使用していた期間の長さやその後も継続して使用しているかどうかなどの条件は設けられていません。したがって、たとえ使用期間が2か月と短期間であっても、実際に事業に使用していた事実があれば、特別償却の適用を受けることができます。ただし、機械等を事業に使用した年が事業を廃止した年である場合は、この特別償却の適用が認められないとされています。よって、質問のケースのように、機械等を事業に使用した年内に法人成りに伴い個人事業を廃止した場合は、特別償却の適用は認められません。

中小事業者が機械等を取得した場合の特別償却(医療用機器の取得)

Q.中小事業者が機械等を取得した場合の特別償却について、器具及び備品についても対象となる場合があると聞きましたが、例えば、開業医が超音波診断装置、人工腎臓装置、CTスキャナ装置、歯科診療用椅子などの医療機器を設置したような場合にも、この特別償却は適用されますか。

A.中小事業者が機械等を取得した場合の特別償却は、次の条件を全て満たす必要があります。まず、従業員数が1,000人以下の青色申告者であること、取得するものが新品の機械及び装置等であり、取得価額が一定額以上あること、そして、製造業や農業など特定の業種に属していることが要件です。質問の医療用機器は「器具及び備品」のカテゴリに属しますが、開業医が取得した場合は、これらの条件に該当せず、特別償却の対象とはなりません。なお、平成29年度の税制改正以降、器具及び備品は特別償却の対象外となっていますが、それ以前に取得した特定の機器については、以前の規定が適用されます。また、今後の税制改正によっては、特定の資産が特別償却の対象から除外されることもあります。

少額減価償却資産の即時償却

Q.私は洋服店を営む青色申告者で、本年25万円のショーケースを購入し事業用として使用しています。このショーケースは、法定耐用年数8年で償却することになりますか?また、本年はこのショーケース以外に取得した減価償却資産はありません。

A.お問い合わせの件ですが、中小事業者にあたる青色申告者が平成18年4月1日から令和6年3月31日の間に、取得価額が30万円未満の少額減価償却資産を購入し、それを事業で使う場合、その年に購入価格の全額を経費として計上することが可能です。ただし、一年間に購入した少額減価償却資産の合計額が300万円を超える場合は、300万円分までが経費計上の上限になります。したがって、ご質問の25万円のショーケースは、全額を経費として計上できます。この特例を適用するには、確定申告書に資産の詳細が記入された明細書を添付する必要がありますが、青色申告決算書の減価償却費の箇所に特例適用の旨を記載し、資産の詳細を別途保管している場合は、明細書の添付を省略できます。

太陽光発電設備の設置における余剰電力の売却

Q.私は小売業をしており、2階建ての建物の1階を店舗、2階を自宅としています。この度、太陽光発電設備を設置し、発電した電力を自宅兼店舗で使用するほか、太陽光発電の余剰電力買取制度に基づきその余剰電力を電力会社に売却しています。この場合、余剰電力の売却収入に係る所得区分及びこの設備の減価償却費等の計算はどのようになりますか。なお、年間発電量は10,000kWh、売却電力量は3,000kWh、店舗の使用割合は70%であり、発電した電気は自宅と店舗の両方で使用されますが、どちらでどのくらい使われたかが分かる仕組みにはなっていません。

A.もし、あなたが小売業を営むビルで太陽光発電設備を設置し、その余剰電力を売っている場合、その収入は一般的に雑所得または事業所得のどちらかになります。太陽光発電設備があなたのビジネスに直接貢献している場合、その設備は事業用の減価償却資産とされ、その収入は事業所得と見なされます。減価償却費の計算においては、設備の事業利用の割合をもとに算定します。この割合は、設備の年間発電量に対する売電量とビジネス使用量の合計の割合で求められ、あなたの場合、79%が事業用割合となります。そして、減価償却費の計算に用いる耐用年数は17年です。

日本国籍を有する者が免税購入対象者であることの確認

Q. 日本国籍を有する者が免税購入対象者であるかどうかを確認するには、どのように行うのですか?

A. 日本国籍を有する者が免税販売を受けるためには、その人が最後に日本へ入国してから6か月以後に作成された「在留証明」または「戸籍の附票の写し」を提示し、国外に2年以上連続して住所または居所を持っていることを証明する必要があります。さらに、証明書類は、作成された時点で国外に2年以上居住していることが確認できるものでなければなりません。免税購入対象者への該当を判断する際は、これらの証明書類に関する規定に留意する必要があります。

「在留証明」では、「住所または居所を定めた年月日」と「本籍地の地番」の記載が必要です。

「戸籍の附票の写し」では、「本籍地の地番」の記載が必要です。

参考:令18①一、③―口、規6①③