非営業貸金の貸倒れ

Q.建築業者として、資金繰りに困っていた兄の会社に2年前に400万円貸していて、今年6月にその会社が倒産し本体および利息の回収が不可能になりました。これらの貸倒損失を事業所得の必要経費に計上することはできますか?また、前年分に雑所得として申告した未収利息20万円も回収できず、どのように対処すべきか、教えてください。前年分の総所得金額は500万円でした。

A.事業を運営する中で発生した売掛金や貸付金などの貸倒れは、損失が発生した年の事業所得の必要経費に算入できます。しかし、事業とはみなされない規模での貸付金およびその利息の貸倒れの場合には、貸倒れ発生年の不動産所得や雑所得を基としてそれらの損失を必要経費に計算することが可能です。ただし、貸倒れの金額はそれぞれの所得計算上での必要経費として扱われます。そして、利息の全額または一部が回収不能になった場合、特定の金額を限度として、その回収不能となった金額は考慮されずに所得が計算されます。あなたのケースでは、貸付金は建築業の運営上ではない普通の貸付とされ、元本に関しては雑所得の金額を限度として必要経費に算入できます。未収利息の20万円も同様に前年の雑所得金額を限度として考慮されます。利息の回収が不可能な場合、貸倒れ日の翌日から2か月以内に更正請求を行う必要があります。

臨時販売場制度の概要

Q.臨時販売場を設置することができると聞きましたが、その概要を教えてください。

A.「臨時販売場制度」とは、7ヶ月以内の期間で設置する販売場(臨時販売場)を管理する事業者(輸出物品販売場を経営する事業者に限る)が、事前に納税地の所轄税務署長から承認を受け、臨時販売場の設置日の前日までに所轄税務署長に臨時販売場設置届出書を提出することによって、当該臨時販売場での免税販売を行うことができる制度です。臨時販売場での免税販売手続きは、「一般型または手続委託型」と「自動販売機型」に分けて行います。

設置期間(7ヶ月以内)の計算方法は、月の途中から販売場を設置する場合、期間の計算において、その期間は最後の月の起算日に応じる日の前日に満了することとされています(応じる日がないときは、その月の末日に満了する)。

参考:法8⑨⑩、令18の 5、 規10の 8、 9、 基通8-2-5、 様式通達第20-(14)号様式、第20-(15)号 様式

相互に債務保証を行っている場合の貸倒れ

Q.私は弟の経営する会社に保証人として名を連ね、同時にその会社が私の銀行借入れの保証人になっていました。このように相互に債務保証をしている状況で、弟の会社が倒産し私が負った保証債務の損失は、私の事業所得から必要経費として控除することは可能ですか?

A.まず、一般的なケースとして、事業で用いる資金を得るために、他者と融通手形を交換し、その結果生じた受取手形が不渡りになった場合、その貸倒損失は必要経費として扱われます。この基準は、事業の遂行に必要な資金の調達に関連した債権であれば、取引関係の存在有無にかかわらず、貸倒損失の対象とする考え方に基づいています。しかし、あなたのケースでは、相互の債務保証が事業遂行に直接関連するかの判断が焦点となりますが、債務保証は融通手形のように一つの契約で同時に債権債務が発生する性質のものではありません。そのため、各保証契約を個別に事業遂行上必要なものかどうかを判定する必要があります。あなたの場合、保証契約が事業遂行に直接関連しているとは認められないため、その損失を必要経費として控除することは認められないと考えられます。また、債務保証は事業上のみならず、私的な関係でも行われることが一般的であるため、自動的に事業遂行のためのものとは見なされません。

自動販売機型輸出物品販売場制度の概要

Q.自動販売機型輸出物品販売場を設置することができると聞きましたが、その概要を教えてください。

A.自動販売機型輸出物品販売場とは、免税する商品の販売手続きが自動販売機だけで行われる場のことを指します。この自動販売機で免税販売ができるようにするため、財務大臣が設けた基準を満たす必要があります(国税庁長官と観光庁長官の協議に基づく)。基準を満たし設置された場合、人員の配置が不要となり自動販売機だけで商品の免税販売が可能です。この「自動販売機型輸出物品販売場」として許可を受けるためには、以下のすべての要件を満たしている必要があります:

1. 消費税の税務における課税対象の事業者であり、国税の滞納がなく、過去3年間輸出物品販売場の許可取消しを受けていない、などの条件を満たしていること。

2. 免税購入対象者が利用する場所、または利用が見込まれる場所にその販売場があること。

3. 免税販売手続きが可能な機能を持つ、特定の自動販売機(規定に基づく基準を満たすもの)のみを設置していること。

参考:法8条7項、令18の2条2項、基通8-2-1(3)

保証債務の履行による損失

Q.10年ほどの取引関係にある得意先から借入金の保証人になりましたが、相手が倒産し行方不明になったため、保証額100万円を支払いました。この損失は必要経費に算入できますか?

A.税法によると、事業遂行上生じた保証債務の履行により、求償権の行使が不可能な状況であれば、その損失は事業所得の計算上、必要経費として認められます。このケースでは、得意先との長年の取引関係や、その取引が全収入の50%を占めるなどの事情から、保証債務は事業遂行上生じたものとみなせます。そのため、回収不能となった100万円に関しては、本年度の事業所得における必要経費に加えても問題ありません。

担保がある場合の貸倒損失

Q.得意先の売掛金残高が300万円に増加したため、300万円相当の他社株券を担保として預かりました。翌年、得意先が倒産した際、担保として預かっていた株券の時価が200万円になっていました。この場合、100万円の損失を認められますか?

A.貸倒損失が認められるのは、相手方の財産状況や支払い能力を評価し、債権が全額回収不可能と明らかになった場合です。この場合、担保がある場合、その担保を売却した後でないと、貸倒損失を必要経費に算入することは認められません。あなたが預かっている株券が担保であるため、売掛金の300万円全額が回収できないとはみなされません。従って、担保権を行使しない限り、貸倒損失を計上することはできません。

承認免税手続事業者の承認申請手続

Q.承認免税手続事業者になるための手続きを教えてください。

A.消費税の課税事業者で他の事業者が運営する販売場で販売された物品の免税販売手続を代理したい場合、その販売場がある特定商業施設ごとに免税手続カウンターを設置するためには、納税地の所轄税務署長の承認が必要です。申請には、「承認免税手続事業者承認申請書」に免税手続カウンターとそれを設置する特定商業施設の見取図などを添付して行います。承認を受けるためには、以下の三つの要件を全て満たす必要があります:

1. 現在、国税を滞納していないこと(滞納額の徴収が困難なものに限る)。

2. 免税手続カウンターに免税販売手続に必要な人員を配置すること。

3. 輸出物品販売場の許可や承認免税手続事業者の承認を取り消された後、その取消しの日から3年を経過していること、及び免税手続カウンターを設置する承認免税手続事業者として特に不適当と認められる事情がないこと。

参考:法8、令18の2⑦③、規10の2①②、基通8-2-3

金銭債権の譲渡による損失

Q.得意先であるA商店の売掛金残高が100万円あり、そのA商店が業況不振で銀行から取引停止の通知を受けた状況で、別の債権者が売掛金を50%の額で譲り受けたいと申し出があり、譲渡することにしました。この金銭債権の譲渡損失は事業所得の必要経費に算入できるか。

A.金銭債権の譲渡によって生じる利益は、通常、それが元本を超える部分については、金銭債権が値上がりしたことによるものではなく、金利に相当するものとして考えられます。そのため、この種の譲渡利益は一般的に事業所得や雑所得に分類され、譲渡所得には含まれません。しかしながら、売掛金や受取手形などの金銭債権には利息がつかないことが多く、債権者は集金手数料や貸倒リスクなど追加の負担を負うことがあります。そのため、債権を元の額より低い価格で譲渡することが一般的です。特に、今回の場合では、債務者であるA商店が業況不振により銀行からの取引停止処分を受け、倒産寸前にあるため、貸倒損失が発生することは避けられないと考えられます。このような状況を考慮すると、金銭債権の譲渡によって生じた損失は、形式上譲渡損失としてではなく、実質的には貸倒損失として扱われ、したがって必要経費として算入することが可能になります。ただし、債権の譲渡先が債権者との間に親族関係や同族会社など特別な関係がある場合、贈与と見なされる金額については、貸倒損失から除外される点は注意が必要です。

会社倒産によって無価値となった株式

Q. 個人KがM社との取引開始の条件として株式を取得したが、M社が倒産し、所有する株式が無価値になりました。この株式に関する損失を事業所得の計算上、必要経費に算入できますか?

A. 個人KがM社の株式を取得したのは、M社に対する資本参加を意味しており、この取得が取引開始の条件だったとしても、M社との取引で発生した売掛金や貸付金とは異なる性質のものです。さらに、損失を受ける資産として有価証券が含まれていないため、質問の株式に関する損失を事業所得の計算で必要経費として認めることはできません。また、事業所得以外では、通常、発行会社の状況悪化などを理由に有価証券の評価損を所得から控除することも認められていません。ただし、特定中小会社の株式の譲渡損失に関する繰越控除など(エンジェル税制)については別途規定があります。

商店街の地区等に所在する大規模小売店舗内の販売場に係る特例

Q.商店街の地区等に所在する大規模小売店舗内の販売場に関する特例について教えてください。

A.商店街振興組合や事業協同組合の組合員が商店街の地区等にショッピングセンターや大規模小売店舗を設置している場合、その店舗内で販売場を経営する他の事業者は、その販売場を商店街の地区にある販売場として扱え、手続委託型輸出物品販売場の許可を受けることができます。この許可を受けるには、輸出物品販売場許可申請書(手続委託型用)に必要な書類を添付し、所轄の税務署に申請しなければなりません。また、この許可を受けた販売場は、同じ商店街の地区にある他の手続委託型輸出物品販売場と同様、免税販売の手続き代行を認められた業者(免税手続カウンター)を通じて、免税販売の購入下限額を判断する際、各販売価額(税抜)の合計を一般物品と消耗品別に合計して判定することができます。

参考:令18の2