確定申告税額の延納 に係 る利子税

Q.事業所得者として、令和5年3月の確定申告で3期分の所得税額について、資金繰りの都合で半額を5月31日まで延納しました。この延納による利子税は、所得税を滞納した際の延滞税と同様に、必要経費にはならないのでしょうか。

A.所得税とその附帯税は基本的に必要経費に算入されません。しかし、不動産所得、事業所得、または山林所得などの事業から得た所得に関連する所得税額に対する延納による利子税は、特定の計算方法に基づく金額に限り必要経費に算入することが許されています。具体的には、延納による利子税を特定の収益から生じた金額に対して算出し、その金額を必要経費に含めることができます。この計算方法は、総合課税の長期譲渡所得や一時所得、分離課税の譲渡所得においても適用され、特定の条件を満たす場合に限り、これらの所得税の利子税も必要経費として扱うことが可能です。さらに、延払条件付き譲渡に関する所得税の利子税で、その事業から生じた山林所得に関する利子税の額も山林所得の必要経費に算入できます。

免税販売における旅券等の提示要件

Q.外国人が多く利用する物品販売業を経営しています。免税販売をする際、旅券や上陸許可証印を提示する必要があると聞いたのですが、提示がないと免税販売はできないのでしょうか。

A.はい、外国人が免税で物品を購入する際には、販売者が以下の書類のいずれかを提出してもらう必要があります。これは購入者の身分や上陸状況を確認するためです。

1. 上陸許可証印がある旅券

2. Visit Japan Webの二次元コード(旅券情報を含む)

3. 船舶観光上陸許可書

4. 乗員上陸許可書

5. 緊急上陸許可書

6. 遭難による上陸許可書

日本国籍を持つ人が免税購入の対象となる場合、在留証明または戸籍の附票の写しのいずれかの提示が必要です。提示された書類に基づき、販売者は情報の提供や証明書類の写しを受け取る必要があります。

提示された書類がなければ、たとえ対象者が免税購入資格を有していても、免税での販売を行うことはできません。

参考:法8①、令18

交通事故による損害賠償金の扱い

Q.商品の配達途中に交通事故を起こし、相手の入院治療費20万円、収入の補償30万円、慰謝料50万円で和解した場合、この損害賠償金は必要経費に算入できるか?また、休日に店の車で事故を起こし、損害賠償金20万円を支払った場合、これも必要経費に算入できるか?

A.業務遂行上で生じた交通事故による損害賠償金は、故意や重大な過失がなければ原則として必要経費に算入できます。損害賠償金には、慰謝料や示談金など、他人への損害を補填するために支払ったすべての費用が含まれます。しかし、故意や重大な過失によって他人の権利を侵害した場合や、家事関連の損害賠償金は必要経費にはなりません。提出された質問の場合、業務の遂行中に起きた事故であり、故意や重大な過失がない限り、損害賠償金の合計100万円は事業所得の計算上、必要経費として考慮されます。一方で、使用人が休日に事故を起こし損害賠償金を支払った場合も、事業主に重大な過失がなく、雇用主としてやむを得ず負担したものであれば、これも必要経費に算入できます。

免税販売における旅券等の提示要件

Q.外国人が多く利用する物品販売業を経営しています。免税販売をする際、旅券や上陸許可証印を提示する必要があると聞いたのですが、提示がないと免税販売はできないのでしょうか。

A.はい、免税販売をするためには、購入者から以下のいずれかの書類の提示を受け、その書類に記載された情報を提供してもらう必要があります。

1. 旅券(上陸許可証印があるもの)

2. Visit Japan Webの二次元コード(旅券に関する情報が記載されている)

3. 船舶観光上陸許可書

4. 乗員上陸許可書

5. 緊急上陸許可書

6. 遭難による上陸許可書

また、日本国籍を持つ免税購入対象者に対して免税販売する場合、以下のいずれかの証明書類の提示後、それに記載された情報の提供や証明書類の写しの提出を受ける必要があります。

– 在留証明

– 戸籍の附票の写し

したがって、これらの書類の提示がない場合は、対象者が免税購入対象者であることが確かであっても、免税での販売はできません。

参考:法8①、令18

転勤により自宅を貸した場合の支払家賃

Q.会社の都合で転勤になった個人が、転勤前に居住していた自宅を他に貸し、自分は転勤先で借家に入居して家賃を支払っています。支払家賃を、自宅の貸付けによる不動産所得の計算上必要経費に算入することはできませんか。

A.自宅を貸し出して得た不動産収入を得るために直接要した経費のみが不動産所得計算上の必要経費として認められます。ですから、転勤先で支払っている家賃を不動産収入から差し引くことはできません。転勤先での家賃は生活費の一部とみなされ、通常の所得計算で考慮されるべきものではありません。ただし、理論上、自家賃やインピューテッド・インカム(自己所有の住居にかかる家賃相当額に税を課する概念)を考慮する考え方もありますが、日本の税制ではこのような考え方は採用されておらず、社会的にも受け入れがたいとされています。

事業主の通勤費

Q.店舗と居宅が離れているため、車で通勤しています。この場合、通勤に要するガソリン代等の費用は必要経費に算入できますか。

A.事業所と自宅が離れている場合に、車で通勤する際のガソリン代を必要経費にできるかについては、事業上の理由で離れているのであれば必要経費として扱うことができます。しかし、家庭の事情で離れている場合は、家事用の費用として分類されます。この判断は一般的に難しいとされていますが、給与所得者に対する通勤手当が一定の金額までは非課税とされていることから、通常の通勤距離であれば、その通勤にかかる費用を最も経済的な方法で算出した金額を必要経費として認められます。ガソリン代に関しては、その車の使用が事業に関連している部分については、明確に区分した上で、事業用としての部分は必要経費に算入することが可能です。事業と家庭の区分が可能な場合、または事業遂行のため直接必要だったと記録から明らかな場合、必要な部分が50%を超えるかどうかにかかわらず、事業の遂行に必要な部分として明確にされた場合は必要経費に算入できます。

輸出物品販売場の許可に関する合併後の手続き

Q.当社は電気製品の小売業を営んでおり、一般型輸出物品販売場及び手続委託型輸出物品販売場の許可を受けている法人を吸収合併することになりました。合併後、どのような手続が必要ですか?また、現在の販売場店舗を引き続き使用したいと考えています。

A.合併によって被合併法人の輸出物品販売場の許可は、貴社に自動的に引き継がれるわけではありません。従って、貴社は改めて「輸出物品販売場許可申請書(一般型用または手続委託型用)」を、貴社の納税地を管轄する税務署長へ販売場ごとに提出し、新たに許可を受ける必要があります。さらに、「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」も各販売場毎に提出することが求められます。また、合併後の法人は、「輸出物品販売場廃止届出書」を被合併法人の納税地を所轄する税務署長へ提出する義務もあります。

参考:法8⑦、令18⑦ 、18の 2①⑫、規 6の 2①、様式通達第20-(1)号 様式、 第20-(2)号 様式、第21-(1)号 様式 

お稲荷さんの神棚の設置費用

Q.呉服店を経営する私は、店舗内に「お稲荷さん」の神棚を設け毎日お参りしています。この場合の設置費用30万円は商売繁盛のためであり、事業所得の金額の計算上、必要経費になると思いますがどうでしょうか。

A.事業と直接関係のない個人的な行為である神仏への信仰による祭壇や神棚の設置費用は、所得税法上、家事上の支出とみなされます。このため、店舗内に神棚を設けたことで事業を遂行する上で必須とは認められず、事業所得の計算で必要経費として扱うことはできません。

輸出物品販売場の移転に伴う手続き

Q.当社は土産物業を営んでおり、複数の店舗で輸出物品販売場の許可を受けています。この度、本店事務所を移転することになりましたが、輸出物品販売場の許可に関して必要な手続きについて教えてください。

A.本店事務所のみを移転する場合は、輸出物品販売場の許可に関する手続きは必要ありません。しかし、輸出物品販売場自体を移転する場合は、以下の手続きが必要です。

1. 移転前の輸出物品販売場に関して「輸出物品販売場廃止届出書」を提出する。

2. 移転後の販売場で新たに輸出物品販売場の許可を受ける。

3. 移転後の販売場に対して「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する。

特定商業施設内で輸出物品販売場を移転する手続委託型輸出物品販売場の場合、改めて輸出物品販売場の許可と購入記録情報の提供方法等の届出の提出は不要です。ただし、移転する日の前日までに「手続委託型輸出物品販売場移転届出書」を提出する必要があります。

参考:令18、18の2①②③⑫、規6の2①、10①③④、10の3①、基通8-2-2、様式通達第20-(4)号様式、第20-(6)号様式、第21-(1)号様式

保証債務の履行による損失 (そ の 2)

Q. 弁護士として業務を行っており、数年前に顧問先の子会社設立の際に融資と債務保証を実施しました。顧問先と子会社が倒産し、保証債務の支払いを行いました。この損失は、弁護士業務上必要な経費として認識できますか?

A. 事業を運営する上で発生する売掛金や貸付金などの損失は、必要経費として認められます。これは、業務遂行中に自然発生する債権に限られます。しかし、弁護士業務は訴訟や法律相談などに限定されており、融資や債務保証は直接必要な業務ではありません。そのため、顧問先との関係があるとしても債務保証から生じる損失を必要経費として扱うことは適切ではありません。