連帯保証人間の求償権

Q.私の長男が代表者として関わっていたM建設株式会社が、経営不振で倒産しました。私と長男は連帯保証人となっていたため、私が所有する不動産を売却して借入金の返済を行いましたが、M建設株式会社には残余財産もなく事業再開の見込みもありません。この場合、保証債務の履行のために資産を譲渡した場合の課税の特例の適用を受けることはできますか?

A.あなたは長男に対して求償権を行使することが認められるため、その求償権を行使できる部分に関しては課税の特例の適用がないことになります。解説によると、M建設株式会社は残余財産もなく、事業再開の見込みもないため、M建設株式会社に対する求償権の行使は不可能です。しかし、民法では複数の保証人がいる場合、一人の保証人が全額または自己の負担を超える部分を弁済した際には、他の保証人に対して各々の負担部分について求償権を持つと規定されています。

外国法人である「新設法人」

Q.消費税法第12条 の2第 1項の「新設法人の納税義務の免除の特例」は、国外に本店や主たる事務所を持つ法人(外国法人)にも適用されますか?また、消費税法でいう「新設法人」とはどのような法人を指し、外国法人にもこの法の適用がある場合、「資本金の額や出資の金額」はどのように判定されるのでしょうか。

A.消費税法の「新設法人」に関する規定は、外国法人にも適用されます。これは、外国で設立されてから2年間で、事業年度開始日時点での資本金の額や出資の金額が1,000万円以上あれば、その法人も新設法人と見なされ、課税資産の譲渡などを行った場合でも、消費税の納税義務は免除されません。資本金や出資金の判定については、設立初年度は日本国内での登記上の資本金や出資金額で、2年目は前事業年度の貸借対照表の額で判定されます。外国通貨で表示された資本金や出資金の円換算には、法人税基本通達の考え方が適用され、事業年度開始日の電信売買相場の仲値によって換算されます。

参考:法12の2①、法基通20-5-36

他人のために農業協同組合等から借り入れた債務の弁済

Q.私は、A社の代表取締役でしたが、3年前A社の運転資金をB農協から借り入れる際に、B農協の要求により私個人名義で借り入れました。これは、A社がB農協の組合員でないため組合員である私名義で借り入れたもので、借入金は全額会社が受け入れ、帳簿及び決算書にもB農協よりの借入金として計上しています。ところが、A社が倒産しましたので、B農協の借入金は、名義人の私が農地を譲渡して返済することになりました。この借入金は、実質上A社の債務ですので保証債務の履行があったものとして取り扱われますか。

A.はい、実質上の債務者であるA社に対する求償権を行使できない場合、保証債務の履行があったものとして扱われます。これは、名義上の借り手であるあなたがその資金を直接運用せず、またその資金から利益を得ていない場合に、実質上の債務者のために債務を保証したものと見なされるためです。ただし、この特別の取り扱いが適用されるには、以下の条件をすべて満たす必要があります:1) 実質上の債務者が農業協同組合等の組合員ではないことにより、組合からの借入れが不可能で、その組合員が自身の資格を利用して組合から資金を借り、それを実質上の債務者に融資した場合のように、債務保証に代わるものとして行われたこと、2) 実質上の債務者が融資を受ける際に資力を喪失していなかったこと、3) 名義上の借り手が借り入れた資金を直接実質上の債務者に融資し、その運用がなかったこと、4) 名義上の借り手が、その融資により実質上の債務者からの利益や金利相当の金銭を受け取っていなかったことです。もし、実質上の債務保証に関して保証料等の利益を受け取っている場合、この特例は適用されず、求償権の行使不可能な額は損失としてその年の雑所得の費用となります。

新設法人の範囲

Q.消費税法第12条の2第1項の規定により、創立初めの2年間で納税義務が免除されないこととなる資本金または出資金が1,000万円以上である法人は、法人税法第2条第9号に定義されている普通法人だけですか?

A.いいえ、株式会社などの普通法人だけでなく、農業協同組合や公益法人、さらに地方公営企業等も、出資金が1,000万円以上ある場合は、消費税法第12条の2第1項の規定に基づく納税義務の免除の特例の対象となります。ただし、社会福祉法人については、通常は非課税の資産の譲渡などしか行わないため、出資を受け入れる場合でもこの規定の適用外となります。

参考:法12の2①、令25、基通1-5-16

個別評価による貸倒引当金制度の概要

Q.白色申告者にも貸倒引当金が認められると聞きましたが、貸倒引当金とは、どのようなものですか。

A.貸倒引当金とは、個別に評価する金銭債権に関するもので、一括評価の貸倒引当金とは異なり、白色申告者でも必要経費として計上することが可能です。この制度では、不動産所得や事業所得、山林所得を得る事業を営む居住者が対象となります。対象となる債権は、その事業によって生じた売掛金、貸付金など金銭的な債権です。貸倒れの可能性がある債務者に対しては、そのすべての貸金等がこの制度の対象となります。貸倒引当金の計上できる限度額は、債務者の状況や再生手続開始の申立てなどの事由によって異なりますが、それらによって貸倒引当金が必要な金額の範囲内で計上できます。また、対象となる債務者が外国の政府や中央銀行などで長期にわたる債務履行遅滞がある場合も、その経済的価値の減少が認められる債権の50%相当額までが計上可能です。ただし、これらの事実が生じているとする書類が保存されていない場合には、貸倒引当金を計上することはできません。個別評価による貸倒引当金を計上した場合も、一括評価の貸倒引当金と同様に、翌年の事業所得などの総収入金額には算入されます。

借入金により保証債務の履行を行った後に資産を譲渡した場合

Q.友人の債務保証をしていたところ、友人が事業に失敗し、借入金の返済ができなくなりました。私は返済のため銀行からお金を借りて、その後自分の土地を売って借りたお金を返しました。このような場合にも、保証債務の履行のために資産を譲渡したことになるのでしょうか?

A.はい、保証債務の履行のために資産を譲渡したとみなされます。このようなケースでは、資産の譲渡が保証債務の履行を行った日からおおむね1年以内に行われた場合、特定の税制上の特例を受けることができます。もし譲渡が1年を超えて行われた場合でも、その譲渡が実質的に保証債務を履行するためだと明確に証明できれば、同様に特例の対象となります。ただし、この際の借入金の利息は、資金調達のための費用として計上されるため、保証債務の履行に含まれません。

設立2期目に「新設法人」に該当する場合の納税義務の免除の特例

Q.当社は資本金300万円で設立された株式会社ですが、設立初年度と次の年度の消費税の納税義務が免除されます。もし初年度の途中で資本金を1,000万円に増資した場合、次の年度の消費税の納税義務はどうなるのでしょうか。

A.消費税法に基づくと、設立時に資本金又は出資の金額が1,000万円以上であると新設法人に該当し、納税義務免除の対象外となります。したがって、設立初年度の途中で資本金を1,000万円に増資した場合、その次の年度は新設法人に該当することになり、消費税の納税義務免除は適用されません。

参考:法12の 2①、基通1-5-15

割引手形、裏書譲渡手形に対する一括評価による貸倒引当金の設定

Q.受取手形を割引したり、仕入先へ裏書譲渡した場合でも一括評価による貸倒引当金を設定することができますか?その受取手形が、いわゆる融通手形の場合でもかまいませんか?

A.一括評価による貸倒引当金の設定は、売掛金や貸付金の債権として取得した受取手形を、支払いや割引のために裏書譲渡した際にも適用されます。この対象には、手形の相手方からの請求が可能な偶発債務に関連する売掛金や貸付金等も含まれます。ただし、金融業などを営む場合には、関連性のない手形を取得し、それを裏書譲渡するとき、手形債権は消滅し、貸金には該当しなくなります。保証債務については、偶発債務と同様に扱われますが、保証によって生じる求償権自体は貸倒引当金の設定対象外です。ただし、実際に保証債務が履行され、求償権が生じた場合には、その求償権に対しては貸倒引当金の設定が可能です。融通手形については、実質的な債権と見なされない額は対象外とされており、融通手形自体は貸倒引当金の対象となりません。

新設法人における納税義務の免除の特例

Q.令和5年6月25日に新設した資本金1,000万円の法人ですが、消費税の納税義務は免除されますか?

A.新設法人の場合、最初の2年間は基本的に消費税の納税義務が免除されますが、その期間でも資本金が1,000万円以上の場合は免除されません。従って、貴社の場合は納税義務が免除されないことになります。この納税義務の免除条件は、第1期目だけでなく第2期目においても同じ条件が適用されます。ただし、合併や分割等で設立した法人や、納税義務が免除される法人でも課税事業者を選択することは可能です。

参考:法9①④、11~12、12の2①、基通1-4-6、1-5-17

保証債務の範囲 (相続開始があった場合)

Q. 私の父が経営していた会社が破産し、会社の銀行借入金5,000万円を担保としていた父が支払う必要があります。現在、医師から回復不可能と診断された父が亡くなった後、私がその居宅と保証債務を相続し、既に所有している土地を売却して債務を弁済したいと考えています。この場合、資産を売却する際の特例の適用を受けることは可能ですか?

A. 保証債務を相続し、それを返済するために相続資産以外の資産を売却した場合でも、特例の適用を受けることが可能です。保証債務が誰かが返済できない場合に支払うもので、その債務に求償権の行使が不可能な状況であれば、その保証債務は債務控除の対象となります。したがって、相続により保証債務を引き継ぎ、それを返済するために相続財産やその他の財産を売却する場合、税制上の特例が適用されます。また、保証債務の返済のために借入金を利用し、その借入者が亡くなり、相続人がその返済のために財産を売却した場合も、売却が保証債務の履行後1年以内であれば特例の適用が受けられます。