店舗併用住宅の取得に要した支払利息

Q.店舗併用住宅の建設に必要な借入金の利息で、建物の使用開始日までの期間に対応する分はどのように扱うべきですか?

A.店舗併用住宅の場合、現在営んでいる業務(例えば書籍販売)、今後営む予定の業務(例えば新たに貸す店舗)、そして住宅として使う部分にわけて考えます。既に行っている業務として使う部分のために支払った利息は、経費として計上できます。使用開始日までに支払う利息に関しては、経費として計上するか、建物の取得価格に含めるかを選ぶことができます。新たに貸す店舗部分に関しては、その業務を始める日までの利息は建物の取得価格または取得費に含めることになります。これらの利息の計算は、借入金利息を含む前のそれぞれの部分でかかった費用を基にして、合理的に分割して計算します。

買換資産の取得に充てた借入金利子

Q.物品販売業および月極貸駐車場を営む者が、駐車場の一部を譲渡し、その土地に賃貸マンションを建設する場合、譲渡所得の申告において特定の事業用資産の買換えの特例を適用した際、マンション建設資金に充てた借入金の利子を不動産所得に係る必要経費に算入できますか?

A.特定の事業用資産の買換えの特例には、譲渡資産の譲渡代金を買換資産の取得に充てることは適用条件に含まれていません。したがって、質問のケースでは、マンション建設資金を借入金で賄い、そのマンションを賃貸用として供する場合、その借入金の利子は不動産所得算定の際の必要経費として考慮できるとされています。

製材業者が植林から製材まで行う場合

Q.私は製材業を経営しており、自分で植林した山林が伐採時期に達しました。この山林を伐採して製材し販売した場合、生じる所得の区分はどうなりますか?

A.通常、製材業者が自分で植林したり、若い森林を購入して育てたりして、その山林を伐採後に製材して販売する場合、植林から製品の販売までの全ての所得は、製材業者の事業所得になります。ただし、自分で植林したり若い森林を購入して伐採するまで育てた場合、その森林を取得してから伐採するまでの所得は、伐採した木材を製材業者の通常の木材保管場所などに運んだ時点での価格をもとに計算した所得を山林所得として、そして製材から販売に至るまでの所得は、その製品が販売された時点での事業所得として分けても問題ないとされています。

損害賠償金の必要経費算入時期

Q.事業を営む個人が、事業運営中に交通事故を起こし、被害者に損害賠償金を支払うことになりましたが、総額が年末までに確定せず、翌年に持ち越されました。しかし、被害者には既に内払いとして100万円を支払い、損害賠償金がこの金額を下回ることはないとされています。この場合、内払い金については支払った年度の必要経費に算入できないのでしょうか?

A.損害賠償金を必要経費に算入する条件について、基本的には債務の総額がその年度内に確定している必要があります。具体的には、その年の終わりまでに債務が成立しており、債務に基づく具体的な給付の原因が発生していて、その金額を合理的に算定できる必要があります。しかし、もし確定していなくても、最低限確実に発生する費用については、その部分は算入できると考えられます。この理論に沿って、損害賠償金の場合、支払の根拠となる事実がその年内に発生しており、総額が確定していなくても、その年の終わりまでに申し出た金額(保険等で補填される部分を除く)に関しては、必要経費に算入できます。従って、質問のケースでは、相手方との間で争いがなく、支払った100万円が最低限確実に発生することが確認できていれば、その金額を支払った年度の必要経費に算入することが認められます。

将来の病院用予定地の取得のための借入金利子

Q.現在A市で医院を経営している者ですが、将来B市に病院を開設する予定で昨年4月同市内の土地を購入しました。この土地代金の一部を銀行の借入金で支払い、この借入金利子を毎月支払っています。これは事業所得の金額の計算上必要経費として認められますか?なお、開設予定の病院の規模、設備等については未定で、土地はそのまま空地としています。

A.医院を経営している方が、その事業用として使うために資産を購入する際に発生する借入金の利息は、その資産を事業用に使うことが明確な場合、通常は事業所得計算上の必要経費に含めることができます。しかしながら、土地のような多目的資産の場合、それが事業用に使用されるかどうかは当初から明らかではありません。土地は後に何らかの目的で使用される場合にのみ、事業用資産と見なされるかが決まるため、その用途は変わる可能性があります。そのため、ご質問の土地に関する借入金利子は、その土地に病院が建てられるまでは、事業用に使用されることが明確ではないため、土地の取得価額に算入する必要があります。

立木を自家消費した場合

Q.来年の大学受験を控えて子供の勉強部屋を増築することになり、その用材は自分の持ち山を伐採することにしています。このような場合でも所得税(山林所得)が課税されるのでしょうか。

A.はい、自分の持ち山から立木を伐採して自家消費した場合には、所得税が課税されることになります。たとえば、あなたが商店を経営して商品を自分で使ったり、何かのために提供したりする場合と同じように扱います。あなたが所有する山林を家の用事に使用する際、その伐採した木の価値に基づいて所得があるとみなされます。

保有期間が5年超の山林では、売却した場合の想定価格を所得として計上します。保有期間が5年以内の場合は、以下のように扱われます。製材業や素材業を仕事としている人は、使用した木の価値が事業所得として計上されます。製材業者以外の場合は、その使用価値が雑所得として計上されます。また、製材業者が自家消費用に5年以上の山林を伐採し、加工した場合、その価値が事業所得とみなされます。ただし、製材業者が自分で植林や若い林を購入して成長させた木を自家消費に用いた場合は、別の扱いとなります。

業務の用に供するまでに支払った借入金利息

Q.私は喫茶店を営んでおり、新しく賃貸マンションを建てました。このマンションの土地と建設資金のほとんどを銀行からの借入でまかないました。この借入金にかかる利息は、マンションが賃貸に使われるまでの期間も含めて、不動産所得の計算で必要経費として計上できるのでしょうか。

A.事業を運営する人が、その事業用に資産を取得する目的で借り入れたお金の利息は、その事業に関連する所得額を計算する際の必要経費として計上できます。ただし、利用開始日までの期間に該当する利息は、その資産の取得価格に含めることが許されています。また、固定資産を取得するために借入れた金の利息に関しては、その借入れから利用開始日にかかる期間の利息を資産の取得費または取得価格に計上できます。あなたのケースでは、新しく賃貸マンションを取得し不動産所得を得るための事業を行っているため、マンションの利用開始日までの借入金利息は土地や建物の取得価格に計上することができます。

医師が支払った損害賠償金

Q.私は病院を経営する医師ですが、誤診により手術が手遅れになったため、患者を死亡させてしまいました。そのため、紛争が生じ、私は職業柄、外聞を恐れ遺族との間で交渉した結果、示談が成立し、2,000万円を支払いました。この場合の示談金は事業所得の金額の計算上、必要経費に算入されますか?なお、示談書・領収書は所持しており、刑事責任は追及されていません。

A.誤診が原因で患者さんが亡くなり、その結果紛争が起こり示談金2,000万円を支払ったケースについて、刑事責任が問われていないため、誤診が故意や重大な過失によるものではないとみなされます。このため、支払った示談金は事業所得の計算において必要経費として考慮することができます。しかし、誤診が故意や重大な過失による場合は、必要経費として扱うことはできません。

松(立木)の枝の譲渡

Q.裏山にある松(立木)の枝を切り、その枝を生花用として某園芸会社へ売却しました。この所得は山林所得となるでしょうか。

A.あなたが売却したのが枝のみであれば、山林所得には該当しません。通常、このように枝だけを売る場合は、譲渡所得(総合課税の対象)になります。しかし、もしこれが毎年続いているような場合は、雑所得または事業所得に該当することがあります。

中小企業倒産防止共済契約に係る掛金

Q.商工会議所の勧めにより独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済契約を締結し、共済契約に係る掛金を支払っています。この場合の掛金は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるでしょうか。

A.はい、中小企業倒産防止共済は、取引先の倒産によって中小企業者が影響を受けることを防ぐための制度です。加入者は毎月一定の金額を中小企業基盤整備機構に支払い、取引先が倒産して売掛金等の回収に困った場合、支払った金額の10倍までの融資を条件なしで受けられます。この共済契約に関する掛金は、事業所得を計算する際の必要経費として認められています。したがって、この共済契約に加入し掛金を支払っている場合、その金額を事業所得から引くことができます。ただし、確定申告をする際には、掛金の必要経費としての算入を明記した明細書を添付する必要があります。