立本を委託販売した場合の譲渡時期

Q.昨年2ヘクタールの山林(立木)についてA森林組合と委託販売契約を結んだが、本年中に約7割の立木を伐採し販売し、残り3割は来春に清算することになった。本年中に伐採譲渡した部分は、来年の3月15日までに申告しなければならないと聞いたが、どうなのでしょうか。

A.あなたが本年中に伐採譲渡した部分については、確かに来年の3月15日までに申告する必要があります。契約に基づき、A森林組合が伐採して市場に出し売買が成立するたびにあなたへ売却代金が支払われる形態では、その年に譲渡された立木の対価の合計が、その年の山林所得の収入として計上されます。

山林所得の収入すべき時期

Q.去年11月に樹齢50年の杉を売却し、1,500万円で売買契約を結び、手付金として300万円を受け取りました。残代金の決済は本年3月とし、その日に引渡しをしました。出材の時に材積が多く、200万円の追加払いを含めて3月の引渡しの日に受け取りました。この場合、山林所得についてどのような申告をすればよいのでしょうか。

A.山林を売却した場合には、合計1,700万円の収入を山林所得として申告する必要があります。山林の引渡しが行われた日、つまり今年の場合ですと、来年の3月15日までに所得税(山林所得)として申告すれば良いことになります。山林所得の総収入金額を申告するタイミングは、原則として山林が引き渡された日に基づきます。しかし、売買契約が成立した日に収入があったとして、その総収入金額を申告することも可能です。

賃借人を立ち退かせるための弁護士費用

Q. 20世帯のマンションを建築し、昨年から賃貸していますが、賃借人の1人が無断で他人に転貸していることが判明しましたので、弁護士に依頼して明渡しを求めています。この弁護士費用は不動産所得の必要経費となりますか。

A. 不動産所得や事業所得などを生じる業務を遂行する上で生じた紛争を解決するために支払った弁護士報酬やその他の費用は、特定の例外を除き、その年の所得計算上、必要経費として計上できます。質問された場合の弁護士費用は、マンション賃貸に関連して生じた紛争の解決のためにかかったものであり、資産取得費に該当しないため、支払いが発生した年の不動産所得の必要経費に算入できることになります。

建物の建替えのため建物賃借人に支払う立退料と借地の更新料

Q.20年ほど前から権利金を支払って借りた土地に木造の貸家を建て、賃貸していました。この建物が古くなったため、鉄筋コンクリート製の5階建ての建物に建て替え、1階を店舗、2階以上をマンションとして賃貸する計画を立てました。この建替えに際して、入居者には立退料を、地主には建築に関する承諾と借地の更新料を支払います。その際、入居者へ支払う立退料は不動産所得の必要経費になるのか、それとも新しい建物の取得価額に含まれるのか。また、地主に支払う更新料は税務上どのように扱われるのか。

A.従来の貸家を取り壊して新しい建物を建築するために、賃借人に支払われる立退料は、その年の不動産所得の計算上、必要経費として扱われます。これは、建物や土地を譲渡する目的で支払われるものではないためです。一方、借地上の建物を建て替えるために土地の賃借契約を更新し、その際に支払われる更新料は借地権の取得価額に算入されます。しかし、不動産所得等を生じさせる業務の用途で借地権の存続期間を更新する場合、その更新料については、特定の計算式に基づいて算出された金額が必要経費として扱われます。これにより、更新料を支払った部分の金額が必要経費として認められることになります。

土地の返還に伴う借地人への立退料の扱い

Q.土地を賃貸しているところ、土地の返還に伴い借地人に1,500万円の立退料を支払うことになりました。この立退料は不動産所得の計算上、必要経費に算入できますか?

A.土地の賃貸において、借地人に立退料を支払い、土地を返還してもらう行為は、上地部分を買い戻して完全な土地所有権を取り戻すことに相当します。そのため、支払った立退料は借地権の買い戻しの費用とみなされ、資産の部分に計上されることになります。これは不動産所得の計算における必要経費として扱うことができないため、立退料を必要経費に算入することはできません。

山林所得の収入すべき時期 (2)

Q.銘木販売会社の社長が個人所有の立木を販売することになりましたが、立木を伐採していない場合でも山林所得として課税対象になりますか。もしそうなると、どの時点の所得として申告すべきですか?

A.はい、その立木を扱う行為は山林所得として課税対象になります。具体的には、プラスチックの板を巻く作業のために立木の管理を相手方に移した時、すなわち実際に契約が成立した時点の所得として申告する必要があります。山林所得には、立木を伐採せずにそのまま譲渡したことによって生じた所得も含まれるため、ご注意ください。また、プラスチックなどを巻くことによって商品価値が高まった部分については、山林所得ではなく雑所得(または事業所得)に該当することもあります。

建物を自己の事業の用に供するために支払った立退料

Q.今まで貸家としていた建物を、自分で衣料品店の店舗として使用するため、借家人に立ち退いてもらうことになりました。この場合、借家人に支払った立退料は、開業費に準ずるものとして、衣料品店の事業所得計算上の繰延資産に計上することになりますか。

A.貸家としていた建物を自己の事業である衣料品店のために使用する為、退去をお願いした借家人に支払う立退料についての処理方法が質問されています。このような立退料は、一般的に不動産所得の計算で必要な経費として計上することができます(基本通達37-23に規定)。ただし、建物を売るためや、建物を取り壊して土地を売るために支払った立退料はこの対象外です。貴方のケースでは、不動産の所得計算において、必要経費として処理できます。もし将来的に賃貸をやめて建物を自己の居住用や利益を生まない目的で使用したとしても、経費として計上できます。また、事業用の建物を賃借する際に旧借家人に支払う立退料は、繰り延べ資産として計上することも可能ですし(所得税令7条①三口、基本通達2-27)、土地や建物を購入する際に支払う立退料はその購入費に含めることができます(基本通達38-11)。

森林経営管理制度に基づき経営管理を市町村に委託した場合

Q.今年、植林された山林を相続で取得しましたが、林業未経験であるため適切な林業経営の方法がわかりません。そのため、森林経営管理制度に基づき山林(森林)の経営管理を市町村に委託したいと考えています。この場合、市町村が山林を伐採し木材を販売したことによる収益は、私の山林所得の対象となりますか?

A.はい、森林経営管理制度において市町村(または市町村から再委託された林業経営者)が伐採し木材を販売した場合の収益は、あなたの山林所得に含まれます。この制度は、経営や管理に問題のある森林の改善を図るために市町村が適任の林業経営者と連携し、適切な経営や管理を実現することが目的です。あなたの場合、委託により得られた収益を山林所得として確定申告しなければならず、林業経営者が投じた経費も必要経費として申告できます。

割賦購入代金に含まれている支払利息

Q.営業用トラックを450万円で、24か月の割賦購入をしましたが、これには総額48万円の利息が含まれています。この利息相当額は営業用トラックの取得価額に含めるべきでしょうか。それとも支払のつど必要経費とすべきでしょうか。

A.営業のために使用する固定資産を購入した際の借入金の利息は、原則としてその固定資産の取得価額には含めずに、経費として計上します。しかし、その固定資産を使用開始する日までの期間に発生した利息については、取得価額に含めることが可能です。割賦購入における利息や賦払金回収費用も、借入金の利息と同様に取り扱い、これらは直接的に資産の価値を増加させるものではないため、明確に区分されていれば取得価額に含めず、経費として計上することになります。ただし、資産使用開始日までの利息相当分に限り、取得価額に含めることができます。従って、ご質問の48万円の利息相当額は、支払の都度経費として計上することになります。

体業期間中の費用

Q.織物業を営んでおり、不況のため受注がなく2〜3カ月間休業することになりました。この間の織機の減価償却費、工場の維持補修費、固定資産税等の費用は、収入がなくても認められますか。

A.会社が正式に業務を廃止していない場合、つまり業務を続ける意志があり、受注があればいつでも対応できる状態であれば、収入がない期間中でも織機の減価償却費や工場の維持補修費、固定資産税などの費用は事業に関連する必要経費として認められることがあります。あなたの場合、市況が悪化しているために一時的に受注を受けない状態にしているだけで、業務を完全に廃止したわけではなく、状況が好転すればすぐに業務を再開できるよう織機や工場を維持しているという状況なので、休業期間中の費用もその年の必要経費として扱うことが適当とされています。ただし、実質的に業務を廃止してしまったような状況ではない限りです。