看守料

Q.山守に支払った看守料は山林所得の計算上どのように取り扱われますか。

A.看守料は、立木の育成や管理に関連するサービスの対価として考えられるため、管理費として処理されます。ただし、看守料の中に立木の伐採や売却、売却に向けた仲介や立木の調査など、売却に直接関連するサービスの対価が含まれている場合は、その部分は売却にかかった費用として取り扱われます。また、看守料は原則として概算経費率の適用時には別途控除することができません。但し、売却にかかった費用に相当する部分がある場合には、その部分の金額を控除することが可能です。

譲渡契約を解除し違約金を支払った場合の取扱い

Q.知り合いの素材業者に山林を700万円で売る契約を結んで手付金100万円を受け取ったが、後日その山林を1,000万円で購入したいという人が現れたため、100万円の手付金と違約金100万円を合わせた200万円で契約を解除した場合、支払った違約金100万円は山林所得の申告において必要経費になりますか?

A.はい、必要経費に算入されます。すでに結ばれた譲渡契約を別の条件で他者への譲渡のために解除し、そこで発生した違約金は山林譲渡のための費用として、計算上、必要経費として扱われ、控除が認められます。ただし、手付金の返還部分が含まれる場合は、その部分を除いた金額が適用されます。

譲渡に要した費用

Q.所得税法第37条第2項に規定されている山林の「譲渡に要した費用」の範囲はどのようなものですか。

A.山林を売る際にかかる特定の費用を指します。この費用には山林の売却に直接かかった仲介手数料、運搬費、登記や登録の費用などが含まれます。さらに、すでに売却契約が結ばれた山林をより良い条件で他の人に売るため、契約を解除する際に支払った違約金などもこの費用に該当します。ただし、山林の植林費や下刈り費、山守の給料など山林の購入や育成・管理にかかった費用は、売却費用ではなく、山林所得を計算する際の必要経費とされます。

間伐山林の必要経費 (2)

Q.私の所有する山林(杉、ひのき20~30年生)1ヘクタールを間伐することになり、間伐するに際し1ヘクタール全山について下刈りしましたが、その下刈経費は全額譲渡経費として控除できるでしょうか。

A.山林所得を算出する際の必要経費は、その山林の伐採や譲渡に必要な費用だけに限定されます。ですから、間伐した部分の経費のみが必要経費と認められます。理論上、間伐経費を個別に精確に計算できる場合は、その計算に従うべきです。一般的には、「下刈経費(全山の費用)×間伐された面積の割合」によって計算されます。

間伐山林の必要経費 (1)

Q.山林を間伐して譲渡した場合には、どんな計算をすればよいのでしょうか。

A.間伐して譲渡した山林の所得を計算する際に必要な経費には、山林の伐採及び譲渡にかかった費用に加えて、間伐された部分に関わる植林費、その山林の取得にかかった費用、管理費、そして育成費が含まれます。もし、その山林を譲渡の年の15年前の12月31日以前から所有している場合は、概算経費率を用いて簡易に計算する方法が適用可能です。

山林所得の必要経費 (3)

Q.山林所得の必要経費とされる管理費や育成費は、支出した年分の山林所得の金額の計算上必要経費とすることができますか。

A.伐採譲渡しない山林に関して支出した管理費や育成費などは、その年に伐採譲渡した山林の所得の計算上で必要経費として差し引くことはできません。山林所得を計算する際に必要経費として控除できるのは、実際に伐採譲渡された山林ごとに行われます。そのため、伐採譲渡しない山林にかかる費用は、将来その山林を伐採譲渡する際に、必要経費として控除できるようになります。

山林所得の必要経費 (2)

Q.父が植林してくれた山林を伐採して譲渡しましたが、伐木用の機具がなかったため、本年に小型のチェンソー(2個9万円)と大型のチェンソー(3個90万円)を購入して使用しました。これらの購入費は譲渡のための費用として全額控除できるでしょうか。

A.小型のチェンソーについてはその購入費全額が必要経費として控除可能です。一方で、大型のチェンソーに関しては購入費のうち減価償却費相当額のみが必要経費として控除可能です。これは、山林所得において機械器具の減価償却費も必要経費に算入できるためです。小型のチェンソーは1個あたりの価格が10万円未満であり、少額減価償却資産に該当するため全額を必要経費として計上できます。大型のチェンソーは1個あたり30万円で少額減価償却資産に該当しないため、減価償却対象資産として扱われ、減価償却費相当額が必要経費に算入されます。減価償却資産の価額が10万円以上20万円未満の場合、特定の条件のもとで一括償却することが可能です。

山林所得の必要経費 (1)

Q.私は今年山林所得を計算しなければなりませんが、必要経費として、どんなものが控除できるのでしょうか。具体的にご教示ください。

A.山林所得の計算で考慮できる必要経費には、植林費、山林取得費、管理費、伐採費、そしてその山林の育成または売却に関連する費用が含まれます。ただし、償却費やその年においてまだ確定していない債務に関連する費用は除外されます。具体的には、以下のような費用が考えられます。

1. 植林費: 苗木の購入費用や植樹作業に必要な人件費など。

2. 取得費: 山林を購入する際の費用、仲介手数料など。

3. 管理費: 租税、火災保険料、機械器具の減価償却、管理人の給料など。

4. 育成費: 肥料代、防虫費、除草や枝打ちのための人件費など。

5. 伐採費: 立木を伐採する際に必要な人件費など。

6. 譲渡費: 切り倒した木を運び出すための人件費、トラック運賃、木の測定費用、仲介手数料、商談費など。

さらに、必要経費の計算を簡単にするために、租税特別措置法第30条では概算経費控除の制度も提供されています。

山林所得の計算方法

Q.昭和26年に買った山林を立本のまま素材業者に譲渡した場合、その山林所得の計算方法を教えてください。

A.山林所得の金額を計算するには、所得税法に基づく一般的な方法と租税特別措置法の概算経費控除を使う方法の2つがあります。

(1) 一般的な計算方法では、収入から植林費、取得費用、育成費、管理費、伐採費、譲渡費用、青色専従者給与または専従者控除(伐採費や譲渡費用以外の部分)を差し引き、さらに山林所得の特別控除額(最大50万円、特別控除前の金額が50万円未満の場合はその金額)を引いた金額が山林所得となります。なお、山林所得に関連する必要経費の詳細は別の説明があります。また、山林所得に係る森林計画特別控除があれば、それも特別控除前の所得金額から控除されます。

(2) 概算経費控除の方法では、収入から伐採費、譲渡費用、青色専従者給与または専従者控除の中で伐採費や譲渡費用に関する部分を差し引いた金額に、概算経費率(50%)を乗じて得た値と先に差し引いた伐採費、譲渡費用、青色専従者給与や専従者控除の部分を再度加えた金額が必要経費となります。この必要経費を収入から差し引いた金額から、山林所得の特別控除額を引いた金額が山林所得になります。概算経費率の詳細は別の説明があります。

山林の取得の日

Q.山林の取得の日はどのように判定すればよいのでしょうか。

A.山林の保有期間を判定する際に重要となる取得の日は以下の通りです。1)売買による取得の場合、基本的には山林を引き渡し受けた日が取得日となります。ただし、山林譲渡契約の効力が発生した日を取得日としても構いません。2)自分で植林した場合は、植林完了日が取得日です。他人に植林を依頼した場合は、植林完了し引き渡しを受けた日が取得日となります。植林の完了日や引き渡し日は、各林分ごとに判断します。3)相続や遺贈で取得した場合は、一部例外を除き、被相続人がその山林を取得した日が取得日とされます。例外に該当する場合は、所有権が移転した日が取得日となります。4)贈与で取得した場合、贈与者がその山林を取得した日が取得日となります。