災害見舞金に充てるために同業者団体等へ拠出する分担金等

Q.私が加入している同業者組合では、その組合員が災害に遭った場合、災害見舞金に充てるために組合員からそれぞれ分担金を集めることとしています。この場合の分担金は、必要経費となりますか。

A.通常、同業者への見舞金の拠出は、事業と直接関係が薄いため、必要経費とはみなされません。しかし、組合などが明確な規約を設けており、その規約に則って組合員が災害による事業での損失を支援するために分担金を支出する場合、これは必要経費として認められます。質問の状況にあてはまるかは規約の存在や支援の目的、分担金の算定基準など具体的な条件に依存しますが、これらの条件を満たすならば必要経費になり得ます。相互支援を目的とする規約には、(1)災害見舞金が組合員の事業用資産の損失に基づくこと、(2)見舞金が組合員にのみ交付されること、(3)分担金が規約に基づき合理的な基準で算出されること、が必要です。また、災害後に新たに設けられた規約もこれに含まれます。

被災事業用資産の損失の金額と概算取得費控除の特例

Q.被災事業用資産の損失の金額は課税上どのように取り扱われるのでしょうか。

A.被災事業用資産の損失の金額は、災害によって被害を受けた山林や林業経営用の業務用固定資産が生じた損失や、その復旧のために災害発生年から1年以内に支払った費用を指します。この損失や復旧費用は、その年の山林所得を計算する際、必要経費として控除できます。もし山林所得の計算で概算経費率を用いる場合、これらの災害関連費用は概算経費とは別に控除が可能です。

浸水により借家人に支払った見舞金

Q.集中豪雨によって貸家が床上浸水し、借家人の家財に相当の被害が生じた場合、家主が借家人に支払った見舞金を不動産所得の計算上、必要経費に算入できるか。また、この見舞金は貸家の建築上のミスなど家主の責に帰すべき事由に基づいて支払われた損害賠償的なものではない。

A.一般的に、業務上支払う損害賠償金などで故意や重大な過失により他人の権利を侵害した場合、その支出は必要経費には算入されません。しかし、あなたが述べた見舞金のケースでは、それが集中豪雨という不可抗力による災害によって支払われたものであり、不法建築などの損害賠償請求の原因があって支払われたものではないため、この規定は適用されません。その結果、不動産所得の計算上、この見舞金は必要経費として算入されます。

勝訴により受け取った損害賠償金と訴訟に係る弁護士費用

Q.10年前に営んでいたカバン製造業で特許権を侵害され、収益が激減したため特許権侵害の損害賠償請求訴訟を提起しました。勝訴して800万円の損害賠償金を受け取りましたが、この損害賠償金は非課税になりますか?

A.不法行為によって資産に損害が加えられ、そのために支払われた損害賠償金は通常非課税です。しかし、不動産所得、事業所得、山林所得、または雑所得を生じる業務に関連して、棚卸資産、山林、工業所有権や技術に関する権利等で損失を受け、それによって受け取った損害賠償金や保険金などは、それらの所得の収入として計算されます。質問のケースでは、特許権が侵害されたことによる800万円の損害賠償金は、業務に関連するため、非課税所得ではありません。現在は事業を営んでいないため、この損害賠償金は雑所得として扱われます。また、訴訟に関する弁護士費用は、特許権の争訟にかかった費用であるため、雑所得を計算する際の必要経費として扱われます。

所有権等を確保するために要した訴訟費用等

Q.10年前にひのき山を購入しましたが、当時から隣接の所有者と境界争いをしていたものです。私も弁護士に依頼して訴訟を続けていましたところ、やっと和解が成立しました。問題解決までに相当弁護士費用を支払っていますが、この費用は山林所得の計算上、どのように取り扱われるのでしょうか。

A.所有権の確保のために直接かかった訴訟費用や和解費用などは、その費用を支払った年に山林所得の計算で必要経費として考慮することができます。ただし、その費用が山林の管理や成長に関連するものであれば、その山林を伐採または売却する年に扱います。これら以外の費用は、資産取得費用として扱われます。さらに、譲渡契約の有効性に関する争いが解決し契約が成立した場合の費用は、山林所得を計算する上で譲渡費用として扱われます。

退職を条件に支払う示談金

Q.勤続期間3年未満の従業員に退職金を支給しないとされている場合、争いの解決のために退職条件として従業員に支払われる示談金はどのように処理すれば良いですか?

A.勤続期間3年未満で退職金が基本的に支給されない場合でも、従業員Aに対して支払われる示談金は、Aが退職することを条件としているため、退職金と見なされます。この金額は、退職に伴って一時的に支払われ、勤務条件に関する争いを解決するためのものであり、雇用契約を終了させることが条件です。したがって、示談金は雇用関係に基づき支払われたものとして退職金に該当し、事業所得の計算上で必要経費として扱われます。なお、この支払いに際しては、所得税と復興特別所得税の源泉徴収が必要ですので注意が必要です。

出材作業中の事故に対して支払った見舞金の取扱い

Q.私の持ち山で立木の出材作業中に労務者が誤って死亡しました。山主として放っておけないので、その遺族に立木の売却代金から見舞金として500万円を支払いました。山林所得の計算上、控除していただけますか。

A.あなたが遺族に支払った見舞金の500万円は、山林所得の必要経費として控除することはできません。山林所得で控除できる必要経費には、植林費、取得費、管理費、育成費、伐採費、譲渡費用といった特定の費用が定められています。しかし、労務者の不慮の事故に備えて支払われる労災保険料は、その年に支払った保険料をその年の山林所得の必要経費として控除することができます。

修繕積立金

Q.サラリーマンである私は、転勤に伴い今まで住んでいた分譲マンションを賃貸に出すことにしました。このマンションでは毎月、管理費と一緒に修繕積立金も支払っていますが、この修繕積立金を不動産所得の計算で必要経費として扱えますか?修繕積立金は将来の修繕のために積み立てており、将来返還されないとされています。

A.マンションの区分所有者として管理組合に支払う修繕積立金は、通常そのマンションの将来の修繕に使用されるため積み立てられ、実際に修繕が必要になった時にはその費用として、または大きな修繕の場合には資本的支出として会計処理されます。しかし、支払った修繕積立金は通常返還されないため、特定の条件を満たす場合はマンションを賃貸に出す際の必要経費として計上できます。これは管理組合の運営が適切な管理規約に沿っていて、修繕積立金が返還されないことが明記されており、区分所有者は管理組合に対して修繕積立金を支払う義務があり、修繕積立金が将来の修繕のみに使用されること、そしてその額が長期修繕計画に基づき合理的に算出されている場合などです。

林道分担金の取扱い

Q.村当局と森林組合が共同して林道を新設するため、私の所有している山林にもその費用の一部に充てるために賦課金がかかってきました。この賦課金は、山林所得の計算をする際どのような取扱いになるのでしょうか。

A.林道を新設する際に、独立行政法人森林総合研究所、地方公共団体、森林組合、または森林組合連合会から山林所有者や林地所有者に負担が要求された賦課金には、以下の取り扱いがあります。

1. **林地賦課金**: これは、受益地の面積に応じて賦課される金額で、元本相当部分を林地改良費として土地の取得費に加算すること、利息相当分をその土地の管理費として、後に木を売った時の経費に含められます。

2. **立木賦課金**: これは、所有する山林の価値に応じて賦課される金額で、その金額を山林の管理費として計上します。

実際には、林道の新設費用として賦課される「林地賦課金」と「立木賦課金」の区分がはっきりしない場合があります。その場合、賦課金の90%を立木賦課金とし、残りの10%を林地賦課金として取り扱うことになっています。

立木を取得した時の借入金の利子の取扱いについて

Q.私は投資の目的で山林(立木)を購入しましたが、これまでに支払った利子を山林所得の計算上必要経費として差し引くことは可能ですか?

A.借入金で購入した山林に関する利子は、その借入金が特定の山林の購入に使われた分に限り、山林所得の計算で必要経費として考慮することができます。しかし、概算経費率を利用する場合は、この利子を概算経費の計算からは除外しなければなりません。山林所得の必要経費には、植林費、取得費用、管理費、伐採費など山林の育成や売却に必要な費用が含まれますが、概算経費を用いる際はこれらの利子を除外する点に注意してください。