山林の延払条件付譲渡

Q.今年山林を1,000万円で譲渡しましたが、代金は5年の年賦にして毎年200万円ずつ受領することにしており、今年の分は既に受け取っています。代金を年賦で受け取る場合でも山林所得の申告は契約した本年分としてしなければいけないといわれましたが、納税する資金がありません。何か特例がないものでしょうか。

A.山林を延払い条件付で譲渡した場合、一定の条件を満たしていれば、その年の確定申告時に所得税額の全部あるいは一部を5年以内で納付できるように申請することが可能です。この延納申請が可能なのは、次の条件をすべて満たす場合です:1)3回以上の分割払いで山林の代金を受け取ること、2)代金の最終支払い期日までの期間が2年以上であること、3)初期の支払い総額が代金の3分の2以下であること。さらに、延納申請には以下が必要です:1)延払い条件付で譲渡した年の確定申告を期限内に提出すること、2)その税額がその年の所得税の半分を超え、かつ30万円を超えること、3)指定された保証を提供すること(ただし、延納税額が100万円以下で期間が3年以下、または3ヶ月以下の場合は保証が不要)。

医師の社会保険診療報酬に係る所得計算の特例と青色申告特別控除額

Q.私は、青色申告の承認を受けている内科医です。e-Taxにより申告予定ですが、社会保険診療報酬について租税特別措置法第26条による所得計算の特例の適用を受けたいと思っています。その適用後の所得について、青色申告特別控除は可能でしょうか?

A.青色申告をしている医師や歯科医師の場合、社会保険診療報酬には所得計算の特例が適用されます。これは、社会保険診療報酬の収入に対して定められた必要経費率を使って所得を計算することができるというものです。しかし、この特例を適用した所得には、青色申告特別控除が適用されません。控除を計算する際には、この所得を除外し、自由診療報酬に関する所得のみを計算基盤とします。青色申告特別控除には65万円の制度と10万円の制度がありますが、どちらを選ぶかによって計算基盤となる金額が変わります。65万円の控除制度を適用する場合、基盤となる金額は不動産所得と自由診療報酬の合計、すなわち7万円です。10万円の控除を適用する場合、基盤となる金額には山林所得も含まれ、合計207万円になります。したがって、10万円の青色申告特別控除制度を適用することとなり、各種所得の金額は次の通りになります:不動産所得0円、事業所得 (その他の事業) 1,197万円、山林所得200万円。社会保険診療報酬に関する所得は、青色申告特別控除の計算では除外されますが、控除額を計算する際に除外する必要はありません。

山林の収用の場合の特別控除の特例

Q.先祖伝来の山林が公共事業のために買収され、土地(林地)の買収価額のほかに立木補償金を受け取りました。この場合、5,000万円の特別控除ができると聞きましたが、土地に対する譲渡所得、立木に対する山林所得のどちらからも、それぞれ5,000万円控除できますか?

A.5,000万円の特別控除額は、まず山林所得から控除し、足りない部分については譲渡所得から控除することになります。山林が収用された場合、立木補償金に対しても、特定の条件を満たす場合には5,000万円の特別控除が適用されます。しかし、この特別控除はすべて合わせても5,000万円が限度であり、最初に短期譲渡所得から控除し、次に譲渡所得、山林所得、最後に長期譲渡所得から控除する順序になっています。

損失がある場合の青色申告特別控除額の計算

Q. 次のような所得を有する青色申告者の場合、青色申告特別控除額の計算方法を説明してください。事業所得がマイナス80万円、雑所得が20万円、不動産所得が30万円、山林所得が20万円、分離長期譲渡所得が80万円です。

A. 青色申告者の特別控除額の計算は、基本的に二つの制度があります。第一の制度では、55万円または65万円のいずれか低い額が控除の限界です。この制度の適用を受ける場合、事業所得や不動産所得など「黒字」の所得を基に計算します。損益通算前、つまり損失を差し引く前の収入が基礎になります。例えば、不動産所得が30万円だとすれば、55万円や65万円と比較して低い30万円が控除されます。さらに、この制度では不動産所得や事業所得から優先的に控除します。

第二の制度では、不動産所得、事業所得、山林所得の合計から最大10万円まで控除することができます。もし不動産所得が30万円、山林所得が20万円の場合、合計50万円の所得から10万円が控除されます。この10万円の控除も、不動産所得や事業所得、山林所得から順に適用されます。

青色 申告特別控除制度の概要

Q.青色申告特別控除制度について、内容を教えてください。

A.青色申告特別控除制度は、正確な記帳を奨励し、青色申告の利用を促進するために設けられた制度です。この制度には、55万円、65万円、そして10万円の青色申告特別控除という3つの主要な控除額があります。

1. 55万円の青色申告特別控除は、適切な帳簿記録を行い、不動産所得または事業所得を持つ青色申告者が利用できます。ただし、現金主義を選択した人は対象外です。所得から55万円または所得合計額のいずれか小さい金額を控除できます。この特別控除を受けるためには、確定申告書に特別控除の申請とその計算に関する情報を記載し、所要の帳簿書類に基づく貸借対照表や損益計算書などを添付し、期限内に提出する必要があります。

2. 65万円の青色申告特別控除は、令和2年分以降の所得税から適用されるもので、電子記録を行い、またはe-Taxを使用して確定申告書などを提出するなどの条件を満たす青色申告者が利用できます。これにより、不動産所得や事業所得から65万円または所得合計額のいずれか小さい金額を控除することができます。

3. 10万円の青色申告特別控除は、上述の65万円や55万円の控除が適用されない青色申告者が利用できるものです。不動産所得、事業所得、山林所得から10万円または所得合計額のいずれか小さい金額を控除できます。

それぞれの控除は特定の条件を満たす必要があり、正確な確定申告とともに適切な書類の提出が求められます。

山林の収用の場合の課税の特例

Q.私の所有する山林が公共事業のために収用されることになった場合、課税の特例はありますか?

A.山林が公共事業のために収用された際に受け取る補償金には、譲渡所得に適用される様々な税の軽減措置が存在します。ですが、保有期間が5年未満の山林の場合はこれらの軽減措置は適用外です。通常、山林が収用される際には、その土地に生育する立木の伐採も必要になる場合が多く、伐採により受ける損失に対して補償が行われます。この補償金には、次の課税の特例が適用されます。一つは、収用等された山林の代わりに新たな山林を購入した場合、その山林所得に対する課税を繰り延べられる代替資産の特例です。また、収用された山林に代えて別の山林を取得した場合で、対価補償金がない場合には、課税の繰り延べが適用される交換処分の特例があります。さらに、代替資産を購入しない場合にも、一定の要件を満たせば、5,000万円の特別控除が適用されますが、代替資産の特例との併用はできず選択する必要があります。特例を適用する際の山林所得の計算方法には具体的な式があります。詳細な適用要件や手続きについては、税法の関連章を参照してください。

従業員に係る在宅勤務費用

Q.新型コロナウイルス感染症対策として、従業員が自宅での在宅勤務に関わるスペースの消毒やPCR検査等の費用を、外部業者へ支払う予定ですが、これらの費用は事業所得から必要経費として差し引くことができるのでしょうか?また、これらを従業員に支給する場合、給与としての扱いになり税金が発生するのでしょうか?

A.所得税法では、事業で直接必要な費用や販売費、一般管理費など、収入を生むためにかかった費用が必要経費として認められます。従業員の在宅勤務に関わる費用は、事業を行うために通常必要な費用と見なされるため、事業所得の計算で必要経費として差し引くことが可能です。在宅勤務のスペースの消毒やPCR検査の費用も、業務のためかかった通常の費用として、事業主がこれらを従業員に支払う場合、支払い方法に関わらず、これらを従業員の給与として課税する必要はありません。但し、従業員が自分で支払った場合や事業主が前払いした金額を業務以外の目的に使用し、それを返還しない場合は、その金額は従業員の給与として課税されます。

山林所得の損益通算

Q.山林所得の金額の計算上生じた赤字は、他の所得の金額と通算できますか。

A.山林所得で損失が出た場合、その損失は最初に利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得から差し引かれます。その後、損失がまだ残っていれば、譲渡所得と一時所得から差し引き、それでもまだ残っている場合は退職所得から控除されます。譲渡所得から損失を控除する際に、短期譲渡所得と長期譲渡所得がある場合、最初に短期譲渡所得から差し引かれ、それでも損失が残る場合には長期譲渡所得から控除します。さらに、その後でも赤字が残る場合、青色申告書を提出しているか、または山林の赤字が山林災害によるものである場合、3年間の繰越控除が認められます。

強制換価手続による山林の譲渡

Q.私は事業を経営していましたが、事業不振で倒産し、担保に入れていた財産は全部債権者に処分され、親から相続した山林まで競売されました。この山林について所得税がかかりますか。現在、私は生活にも事欠くような状態で、納税する能力がありません。

A.あなたの状況のように、経済的に困難な状態で債務を返済するのが非常に困難と判断され、競売などの強制換価手続きにより財産が処分された場合は、そのような競売等による山林の譲渡については一般的に所得税が課税されません。具体的には、強制的に処分された山林の代金で直接債務が返済された場合、その収入は非課税とされています。ただし、もし山林を経済活動として営利目的で、継続的に伐採や譲渡を行っていた場合には、これが非課税対象外となります。つまり、個人の経済的困窮状態により強制的に譲渡された場合の所得は課税されないが、営利目的で継続的に山林経営を行っていた場合は非課税扱いではないということです。

保証債務の履行による山林の譲渡

Q.保証人となった義兄が倒産し、義兄の借入金の支払いのために先祖の山林を売却しました。この山林所得の計算上で何か考慮されることはありますか?

A.保証債務のために5年以上保有していた山林を売却し、その売却代金の一部を借入金の返済に使用した場合、返済が不可能となった分の金額は山林所得の計算上考慮される場合があります。これには二つの条件が必要です。まず、保証債務の履行であること、そして、求償権の行使が不可能であることです。求償権の行使が不可能であるかどうかは、主たる債務者の破産、事業閉鎖、行方不明などの状況から判断されます。この特例を受けるには、確定申告書に必要な情報を記載し、関連書類を添付する必要があります。あなたのケースでこれらの条件に該当している場合、銀行に支払った500万円は、指定された計算により山林所得から除外されます。ただし、山林経営を業としている人や、営利目的で山林を譲渡している人の場合はこの特例の適用はありません。