災害に対する被害の発生防止費用

Q.台風などの被害に備え、台風シーズン直前に200万円をかけて老朽化した屋根や雨戸を修繕した場合、これらの費用は災害の発生を防止するための雑損控除の対象になりますか?

A.雑損控除の対象となる災害関連支出には、実際に被害が発生する可能性がある場合において、その住宅や財産の被害を拡大させない、または発生を防ぐために緊急に必要な対策にかかった費用が含まれます。しかし、この費用は被害が間近に迫っているときに行う応急措置に関わる費用で、その効果が被害の発生を具体的に防ぐことにのみ寄与するものである必要があります。例としては、大雪時の雪下ろし費用などが挙げられます。したがって、台風通過後も効果が持続するような修繕費用は、被害の発生を防ぐための緊急の措置としての費用とは認められず、雑損控除の対象にはなりません。

生命保険金の課税関係

Q.被相続人が死亡したことによって相続人等が取得した生命保険契約に基づく保険金または保険契約に関する権利について相続税が課税されると聞いていますが、どのような場合に課税されるのですか。また、計算方法についても具体的に説明してください。

A.相続税が課税される財産には、民法上の相続や遺贈によって取得された財産だけでなく、相続税法において相続や遺贈と同じように扱われる、いわゆる「みなし相続財産」があります。生命保険金などもこの「みなし相続財産」に含まれますが、課税される具体的な条件を以下に説明します。一つは、被相続人が亡くなって得られた生命保険金で、その保険料の全部もしくは一部を被相続人が支払っていた場合です。この場合、保険金額の一部が相続または遺贈として扱われ、相続税が課されます。保険金の計算方法も特定されています。二つ目は、保険事故がまだ起こっていない生命保険契約で、被相続人が保険料の全部もしくは一部を負担し、かつ、被相続人以外の者が契約者である場合です。この場合も相続税の対象となります。生命保険契約に関する権利の評価は、相続税法に基づいて時価で行われます。

保険金または保険契約に関する権利が課税される条件は、保険料の支払い関係や契約者の状況により様々です。具体的には、契約者、被保険者、保険料の負担者、受取人の関係によって異なり、これらの関係に応じて相続税や贈与税、所得税の対象になりえます。例えば、契約者と被保険者が同一人物で、その人が亡くなった場合、その生命保険金は相続財産とみなされる場合があります。一方で、保険料を雇用主が負担している場合、死亡退職金など特定の目的で支払われるものは、その相続人が取得した場合、相続財産とみなされます。

屋根の雪下ろし費用等に係る雑損控除

Q.私の住む地方では、年により豪雪に見舞われることがあり、その被害は必ずしも少なくありません。雪による被害は、どの程度まで雑損控除の対象になりますか。

A.雑損控除は災害によって家屋が倒壊したり損失を受けたりした場合に適用されます。もし豪雪で家屋に被害が出た場合、その損失額を雑損控除の対象とできます。さらに、災害で住宅や家財に被害が出る可能性があり、その被害の拡大や発生を防ぐため緊急で必要な対策にかかる費用も雑損控除に含めることができます。例えば、豪雪で家屋の倒壊を防ぐための屋根の雪下ろしや、家の周りの雪を取り除く費用、それに直接関連する雪捨ての費用が雑損控除の対象になります。ただし、生活に不要な家屋や事業用の家屋にかかる費用は除外されます。

隣家の火災発生に伴って生じた損失

Q.隣家が火災で全焼しましたが、我が家は消防署の消火活動による放水で家と家財が損害を受けました。この損害は雑損控除の対象になりますか?

A.雑損控除に含まれる災害には、「人為による異常な災害」も含まれます。火災時、消防隊が延焼を防ぐために行った消火活動による損失は、「人為による異常な災害」に該当すると考えられます。そのため、火災保険等で補填されない部分について、家屋や家財の損害は雑損控除の対象となります。

住宅ローンの残額が団体信用保険の保険金で返済された場合の債務控除

Q.住宅ローンの残額が団体信用保険の保険金で返済された場合、相続税の課税上どのように取り扱われるか?

A.このケースでは、住宅ローンの残額が無いものとして扱われます。詳しく説明すると、甲が亡くなった際にA銀行からの住宅ローンが免除されるため、甲の死と同時に住宅ローンの残額も免除されることになります。その結果、相続が開始された時点で実際に存在する債務には含まれないため、相続税の計算からは除外されます。

失火により支出した見舞金

Q.私の居宅の増築工事に従事していた大工が、たき火の不始末で隣家を全焼させてしまいました。その大工には資力がなかったため、私は火元である責任から300万円を隣家に支払いました。この支払った見舞金は、雑損控除の対象となりますか。

A.一般に、災害によって第三者に損害を与え、その損害賠償金を支払った場合、その行為に故意や重大な過失がない限り、雑損控除の対象になることがあります。あなたが支払った見舞金については、あなたが雇った大工が不注意で他人の資産に損害を与えたことにより支払われたものです。あなたに大工を雇う際に重大な過失がなかった場合は、この支払いは雑損控除の対象となる可能性があります。

所有権留保契約に基づいて買い入れた物品の課税財産の取扱い

Q.父が生前にA割賦販売会社から所有権留保契約により100万円で購入していたピアノを相続することになりましたが、父の死亡日現在で未払金が50万円あります。この場合、相続税の申告の際、どのように取り扱えばよいでしょうか。

A.ピアノを相続財産として申告し、未払金50万円を債務として計上することができます。所有権留保契約とは、売買代金の完済まで物品の所有権が売主に残る契約です。ただし、この契約が割賦未払代金の保証目的であり、買主が物品を使用、収益、処分できる状態の場合、相続税の申告ではその物品を財産として、未払の代金を債務として申告することが適切です。

通勤用自動車の災害による損失

Q.サラリーマンですが、通勤用に使用している自動車を駐車場に入れていたところ、火災のために焼失してしまいました。この損失額を給与所得から控除することができますか。

A.給与所得者が通勤用として使用している自動車が火災で焼失した場合、その損失は生活用動産とみなされ、所得税法に基づく雑損控除の対象となる可能性があります。つまり、納税者が災害などで損失を受けた場合、その損失額を所得から控除できる規定があります。雑損控除は、納税者本人またはその家族が所有する、生活に必要な資産に対し、災害や盗難、横領によって損失が生じた際、一定条件を満たす損失額を所得から控除できる制度です。ただし、趣味や娯楽目的の自動車(スポーツカーなど)の損失は雑損控除の対象外とされています。災害により損失が発生した場合の雑損控除の適用範囲や計算方法には、一定の条件が設けられています。

相続財産の意義

Q.相続税の課税の対象となる財産とはどのようなものをいうのでしょうか。

A.相続税の課税対象となる「財産」とは、金銭に換算することが可能な経済的価値を持つ全てのものです。これには被相続人が亡くなった時点で持っていた土地、建物、借家権、借地権、株式や債権などの有価証券、銀行預金、現金、金や銀などの貴金属、美術品や古美術品、さらには立木など全ての財産が含まれます。具体的詳細には、物権や債権、無形の財産権のほか、信託受益権や電話加入権なども対象になります。また、法的に正式な根拠がないものでも、経済的価値があれば財産として扱われます。例として、営業権のような無形の価値も対象に含まれます。ただし、質権や抵当権のような権利は、他の権利の値を高める役割を持つので、それ自体が独立した財産とはみなされません。また、通常の相続や遺贈で得られた財産でない場合でも、被相続人の死亡退職金や生命保険金など、実質的に相続や遺贈を通じて得られたものと同じ経済的効果があるものは、相続税法上、相続や遺贈を通じて得たとみなされ、相続税の対象となります。

居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算と繰越控除

Q.自宅を譲渡し、赤字になった場合、その損失はどう取り扱われますか?また、次に購入する家屋に関して住宅借入金等特別控除の適用はありますか?

A.令和5年12月31日までに所有期間が5年以上の居住用の家屋や土地を売って、その売却から次の年の12月31日までに新しい家をローンで買ってそこに住んだ場合、その売却で損失が出たら、その年の他の所得と損益を合算することができます。もし損益通算してもまだ損失が残っている場合は、その損失を翌年から3年間で使えます。ただし、敷地が500平方メートルを超える部分に関しては、繰越控除の対象外です。住宅を取得する際には、特定の住宅借入金があると、繰越控除が適用される条件がありますし、合計所得金額が3,000万円以下であれば、譲渡損失を翌年に繰り越すことが原則として可能です。つまり、購入する家についても住宅借入金等特別控除を受けることができるかもしれません。