業務上死亡 と業務外死亡の判定基準

Q.私の父は社用で出張中に自動車事故のため死亡しましたが、「業務上の死亡」に該当するでしょうか。

A.お父様が出張先で業務に関連する活動をしている最中に自動車事故に遭い、その結果亡くなられた場合は、「業務上の死亡」と考えられます。しかし、具体的な状況が明確でないため、一概には言えません。業務上の死亡か業務外死亡かの判定は、亡くなった原因が直接業務に由来するかどうかに基づいて行われます。業務というのは、その人に課せられた仕事のことを指し、業務上の死亡とは、その仕事が直接の原因である、または業務と密接な因果関係が認められる場合の死亡を意味します。

弔慰金の取扱い

Q.先月、夫が死亡し、勤務していた会社から、退職手当金以外に弔慰金が支給されましたが、その取扱いについて説明してください。

A.弔慰金は通常、相続税の対象にならないものの、それが「弔慰金」なのか「退職手当金」なのかは名前ではなく、内容によって判断します。退職手当金にあたるかどうかの判断は、特定の方法によって行われます。その方法で退職手当金に該当しないと判断された金額、または判断が難しい金額については、次の基準によって算定された金額が弔慰金として扱われます。具体的には、亡くなった方の死亡が業務上のものであった場合は、死亡時の賞与を除く普通給与の3年分に相当する金額が、業務上の死亡でない場合は賞与を除く普通給与の半年分に相当する金額が弔慰金として取り扱われます。弔慰金に該当しない金額は、退職手当金として相続税の課税対象になります。

退職手当金の取扱いとその判定

Q.退職手当金はみなし相続財産として課税されると聞きましたが、その場合の「被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金、その他これらに準ずる給与」について、その取扱いや判定方法を説明してください。

A.退職手当金、功労金、その他これらに準ずる給与とは、名称に関わらず、被相続人が生前に勤務していた期間のサービスに対して、退職手当金や功労金として支給されるべき金銭や物品を意味します。これらが現金や実物の形で支給されるかどうかは重要ではありません。相続により相続人や他の人が受け取る金品が退職手当金に該当するかの判断は、以下の二点に基づきます。一つ目は、もし退職給与規程やこれに準ずる規定に基づいて支給される場合は、その規定に従って判断します。二つ目は、それ以外の場合には、被相続人の地位や功績などを考慮し、被相続人が勤めていた事業と同様の事業で被相続人と同等の地位にある人が受けると認められる額などを評価し判断します。

雑損控除の対象となる原状回復のための支出

Q.今年の集中豪雨により住宅が損害を受け、さらに災害復旧のために350万円を支出しました。この支出には住宅の改良等に充てた部分もありますが、明確に区分することはできません。この場合、雑損控除の対象となる損失額はいくらですか?

A.雑損控除の対象となる損失額は、特定の計算方法にしたがって求められます。まず、被災前の住宅の価値(300万円)から被災後の価値(50万円)と保険金(100万円)を差し引くことで、個人が被った損失額として150万円を算出します。次に、災害復旧費用から原状回復のための支出を計算しますが、このケースでは350万円の30%つまり105万円と定められています。しかし、この105万円はすでに計算された損失額150万円に含まれているため、別途加算する必要はありません。結果として、雑損控除の対象となる損失の金額は150万円となります。

退職手当金等の支給を受けた者の判定

Q.相続税における「支給を受けた者」の判定はどのようになっていますか。

A.相続税において、被相続人に支給されるべき退職手当金、功労金、その他これに類する給与の「支給を受けた者」の判定基準は以下のようになっています。まず、退職給与規程やそれに類似した規定で支給受取り者が具体的に定められている場合は、その規定に従うことになります。しかし、退職給与規程等で具体的に支給受取り者が定められていない場合、あるいは被相続人がこれらの規程の適用対象外である場合、以下のように判定されます。一つ目は、相続税の申告書提出時や、国税通則法に基づく更正や決定前に、実際に退職手当金等を取得した人がいる場合、その取得者が支給を受けた者とされます。二つ目は、相続人全員の協議で退職手当金等の受取り者を定めた場合、その定められた者が受取り者です。それ以外の場合は、被相続人についての相続人全員が受取り者になります。注記として、この場合に相続人が複数いるときは、それぞれの取得すべき金額を民法で定める相続分によらず、均等に分けることになります。

債務保証による損失

Q.友人の債務の保証人となり、友人の事業倒産後、その債務を給与から弁済しています。友人が無財産のため、求償権を行使できません。この場合、雑損控除は適用されますか?

A.雑損控除は災害、盗難、または横領による資産の損失に限られているため、債務保証による損失は雑損控除の対象外です。しかし、保証債務のために自分の資産を売った場合や、保証債務の履行のために借りたお金で行い、その返済のために資産を売った場合に、その求償権を全くまたは部分的に行使できなくなった場合、その金額に相当する資産の譲渡については、「譲渡がなかった」と見なされる場合があります。これは所定の申告をすることで、譲渡所得の計算上考慮されます。

共有建物が焼失した場合の雑損控除

Q. 2年前に夫婦共有で建てた家が火事で全焼しました。この建物は夫婦それぞれが半分ずつ所有しており、私たちは共働きです。この火災による損失を夫名義で雑損控除として適用できますか?

A. 雑損控除は、災害や盗難などによって生じた損失に対する税務上の控除制度です。生計を共にする家族の中で、年収が基礎控除額を超える人が複数いる場合、損失はそれぞれの資産に対して適用され、共有資産の損失は共有者間で按分されることとなります。したがって、ご夫婦が共働きで共有していた家が火事で焼失した場合、その損失は夫婦の所有割合に応じて分けて、それぞれが雑損控除の対象とすることが必要です。全ての損失を夫名義で申請することはできません。

契約者貸付金を差し引かれた場合の生命保険金の額

Q.私の父が自宅を新築するために2年前に保険会社から借りた契約者貸付金の影響で、父の死亡時に受け取った生命保険金から500万円が差し引かれました。この場合、税務上の生命保険金の額は、差し引き前と差し引き後のどちらになりますか?

A.生命保険金について税務上考慮される額は、契約者貸付金の元利合計を差し引いた後の額、つまり3,000万円から500万円を引いた2,500万円となります。これは、生命保険の契約者が、保険会社から解約返戻金の範囲内で借入れすることができる制度(契約者貸付金)により、投保者が保険事故(例えば、保険の契約者の死亡)時に受け取る保険金から借りた元利合計が差し引かれるためです。さらに、保険契約者が亡くなった場合(あなたの父のケース)、生命保険金を受け取る人は、契約者貸付金の差し引き後の額を受け取るものとし、契約者貸付金相当の負債は存在しないものとして扱われます。

借地権の放棄と雑損控除

Q.失火により借地上の建物が滅失しましたが、新築する資力もなく近隣との折り合いも悪化したので、借地権を放棄して立ち退いた場合、その借地権放棄による損失は、火災に起因して発生したものといえるでしょうか?雑損控除の対象となる災害損失に当たりますか?

A.借地権は、建物が火災で失われた後も、最初の契約期間が続いている限りはなくなることはありません。新しい建物を建てることや借地権者がお金がない場合でも、その借地権を他人に売ることでお金に変えることが可能です。ですから、お尋ねの借地権の放棄は、火災が間接的な原因とはなり得ますが、火災によって借地権そのものの価値が完全になくなったわけではありません。このように、災害による損失には該当しない借地権の放棄による損失は雑損控除の対象外です。さらに、火事の原因が借地権者にあったためにその土地に住めなくなり、他所へ移動することになった際の借地権の無償返還も、災害に関連するやむを得ない支出とは見なされません。したがって、ご質問のケースでは、どのような視点から見ても雑損控除の対象にはなりません。

年金払の生命保険金に対する課税関係

Q.相続税、贈与税に係る定期金に関する権利の評価方法について教えてください。

A.定期金に関する権利の価額評価は、相続税法に基づいて次のように定められています。まず、定期金の給付条件がすでに成立している場合、その権利は解約返戻金の金額、定期金を一時金に変換できる場合の一時金の金額、または契約に基づく定期金の残期間に応じた平均年間額に予想利率を適用して得られた金額の中で最も高い金額で評価されます。この評価方法は、有期定期金、無期定期金、終身定期金で異なる計算が適用されます。一方、定期金の給付条件がまだ成立していない場合、定期金給付契約(生命保険契約を除く)でその権利の価額は、解約返戻金がない場合とある場合で異なり、それぞれにおいて、予定された利率による複利計算か、経過期間に応じた掛金または保険料の平均年間額に複利年金終価率を乗じて得られる金額に、90%を乗じた金額で評価されます。