高額な差額ベッド料金

Q.病気で入院し、差額ベッド料金として、1日2万円を支払っていますが、医療費控除の対象として認められますか。

A.差額ベッド料金や医療器具の購入費など、治療を受けるために直接必要で通常必要とされるものは、医療費控除の対象になります。ただし、医療費控除に計上できるのは、一般的に要する費用を大きく超えることなく、病状などに応じた適切な範囲内での費用に限ります。そのため、例えば患者の病状により高額な個室を利用しなければならなかったり、他に部屋が空いておらずやむを得ず個室を利用したケースなど、客観的に見て避けられなかった理由がある場合は、その料金も医療費控除の対象として扱われる可能性があります。

非課税財産の種類

Q.相続税の非課税財産にはどのようなものがありますか。また、その非課税の範囲などを説明してください。

A.相続税の非課税財産は、大きく分けて相続税法に基づく非課税財産と、租税特別措置法に基づく非課税財産の2種類があります。具体的には以下のようになります。

1. 相続税法に基づく非課税財産:

  – 皇室経済法の規定により、皇位に伴って受け継がれる由緒ある物。

  – 墓所、霊廟、祭具およびこれらに準ずる物品。

  – 公益を目的として宗教、慈善、学術等の事業を行う者が相続または遺贈によって取得した財産で、公益事業のために使用されることが確実なもの。

    ただし、公益を目的とする事業を行っていても、個人が特別な利益を享受する場合や、公共性の低い無人格社団や財団の場合などは、公益事業者とは認められません。公益目的での使用が確実であるとは、具体的な計画があり実際に使用される状況にあることを意味し、取得から2年以内に使用されなければ、取得時の市価で評価され相続税の課税財産に含まれます。

2. 租税特別措置法に基づく非課税財産:

  – 国や地方公共団体、特定の公益法人や特定公益信託に相続財産を贈与した場合、これらの財産は非課税とされます。この非課税特例を受けるためには、一定の手続きが必要です。

これらの非課税財産の制度は、相続税の負担を軽減し、公益活動を支援することを目的としています。

医療費控除の対象となる入院費の範囲

Q.私は、4月に人間ドックで健康診断をしてもらったところ内臓に障害があり、直ちに絶対安静治療が必要とされ、治療上の都合から個室に入院し治療を受けています。この場合に人間ドックの診断費用や個室料金は、医療費控除の対象となるでしょうか。

A.医療費控除とは、個人が医療で支出した費用を一定額まで税額から控除できる制度です。この制度は、医療で発生した費用が税金の負担にどれだけ影響するかを考慮して設けられています。控除の対象となるのは、治療や診療、薬品の購入など医療に関わる通常必要とされる費用です。その中で、特に病状を考慮したケースや治療上避けられない場合の個室料金なども含まれます。従って、あなたが受けた人間ドックでの健康診断費用および個室使用料は、病状に必要とされる治療の一環として医療費控除の対象になります。

災害関連費用の控除年分

Q. 昨年の暮れに類焼により居宅の一部が焼失し、本年2月に居宅の原状回復のための焼失部分の除去や修繕も完了し、同時にその費用(災害関連費用)を支払いました。この場合の災害関連費用は災害のあった年分で控除することはできないのですか。

A. 災害で被害を受けた資産の除去や修繕にかかった費用は、一定の条件を満たす場合、税金の控除の対象になることがあります。災害が発生した翌日から1年以内(特別大規模な災害の場合は3年以内)に支出した修繕費用や、災害によって発生した障害物の除去費用は、雑損控除の対象として考えられます。通常、この控除額は、その年に発生した損失の金額から、その年の所得合計の10%以上の部分を引いたものが対象です。ただし、災害関連で支出した金額が5万円を超える場合は、災害関連支出から5万円、もしくは損失金額から所得金額の10%を引いた金額のどちらか多い方が控除されます。災害が起きた翌年に関連支出を行ってしまうと、所得金額の10%と5万円のどちらか少ない金額での控除となり、不利になる場合があります。

そういう時、災害が発生した年の翌年3月15日までに災害関連の支出があれば、その年の損失金額に含めて雑損控除を適用できるようになっており、これにより災害関連支出の限度額計算を一度で済ませることができます。これは選択制であり、適用を希望する場合は災害が発生した年分で雑損控除を求めることになり、そうしなければ翌年分での控除適用となります。

受益者連続型信託の受益権の評価

Q.遺言で設定された受益者連続型信託において、私の後に弟の息子が受益者になる定めについて、何か注意すべき点はありますか?

A.受益者連続型信託において、あなたが受け取る権利が何らかの制約、例えば利益を受ける期間に制限がある場合、そのような制約が存在しないかのように権利の評価が行われます。つまり、あなたの受益権の価値はその制約が影響しないと見なされて評価されることを意味します。

受益者連続型信託の課税関係

Q.子供がいないため、財産を亡き後妻に、その後は甥に継いでもらいたい場合、これを可能にする信託の形態とその課税関係について教えてください。

A.あなたがお求めの状況には、「受益者連続型信託」と呼ばれる信託の形式が適しています。これは、受益者の死亡によって受益権が消滅し、他の人が新たな受益権を得るよう定めた信託です。具体的には、まずあなたの妻を受益者とし、その死後に甥が新たな受益者となるよう遺言信託で定めます。課税関係については、あなたが亡くなったとき妻が信託に関する権利を遺贈として取得し、妻の死後は甥がその受益権を遺贈として取得したとみなされます。つまり、受益者の変更が発生する際は、その都度遺贈による権利移転として扱われ、相続税法の規定に従って課税されることになります。

遺言により信託の設定をした場合

Q.私は、遺言で長男を受益者とする信託を設定しようと思いますが、課税関係はどうなりますか。

A.あなたが亡くなった後、長男がその信託に関する権利を遺贈として取得したとみなされ、相続税がかかります。この場合、信託の効果が発生するのは委託者が亡くなった時で、適切な対価を支払わずに受益者になる人は、その信託に関連する権利を委託者から遺贈によって得たと見なされます。さらに、その信託が特定の条件を満たしている場合、信託の権利を取得した人は、信託財産に含まれる資産と負債を引き継いだとみなされます。

受益者の死亡により信託受益権を取得した場合

Q.父が死亡し、私がこの信託の受益者になった場合の課税関係はどうなりますか。

A.お父様がお亡くなりになり、その結果、あなたが信託の受益権を引き継いだ場合、相続税が課税されます。信託の受益者が亡くなった時、その信託の受益権を適正な対価を払わずに新たに獲得する人は、その権利を故人から遺贈によって獲得したと見なされます。さらに、一定の条件を満たす信託の場合、信託財産にある資産や負債を、新たな受益者が獲得または引き継いだと考えられます。従って、あなたの状況では、お父様から土地とその土地に建てられた賃貸ビル、そしてその建設費用のための借入金の責任を遺贈として受け継いだとして、相続税の対象になります。

生前に退職した会社から受けた特別弔慰金

Q.生前に退職した会社から受けた特別弔慰金と、別の会社から受けた退職慰労金について、相続税の課税関係はどのようになるか教えてください。

A.父が亡くなり、以前勤めていたA社から特別弔慰金500万円、再就職先のB社から退職退職慰労金300万円を受け取りました。この二つの金額に関する相続税の取り扱いは以下の通りです。 最初のA社からの特別弔慰金は、相続税法における退職手当金とはみなされないため、相続税は発生しません。しかし、この金額は相続人が一時所得として受け取り、所得税の対象となります。次に、B社からの退職慰労金については、故人が勤務中のサービスへの報酬と見なされ、相続税法で定義される退職手当金に該当します。そのため相続税の対象となります。この状況は、お父様がA社から退職時に退職手当金をもう受け取っているため、A社からの特別弔慰金が相続税の範囲外である理由と合致します。この金は雇用関係にある者からではなく支払われ、お父様の生前の仕事に対する報酬ではないからです。

被相続人の死亡後確定した退職手当金の相続税上の取り扱い

Q.被相続人が死亡した後に確定した退職手当金は、相続税の課税上どのように取り扱われるのでしょうか?

A.被相続人が死亡した後に支給額が確定した退職手当金は、相続税法によってみなし相続財産として扱われます。具体的には、退職手当金が被相続人の生前退職によるものであっても、その支給が被相続人の死亡前に確定していない場合、その死亡後3年以内に支給金額が確定する退職手当金についてはみなし相続財産とみなされます。ただし、死亡後3年を超えて支給金額が確定する退職手当金に関しては、相続人の一時所得として扱われます。